コロナ禍の影響で、昔とはすっかり様変わりしてしまった大学生の就職活動。オンラインで実施されるインターンシップが増え、企業の選考もWEBでの実施が大半を占めるようになってきた。

そのためか、「自分以外の就活生の動きがわからない」「就職活動の実態が見えにくくなってきた」という声がよく聞かれる。

そこで、就活に取り組む学生の動きや、採用活動を進める企業の動きに関するさまざまな調査データをもとに、大学生の就活と企業の採用動向の実態を読み解いていきたい。

今回は、2022年10月に発表された2つの調査データ、「2023年卒大学生活動実態調査(10月中旬)」と「2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)」をもとに、2023年卒の就活生の内定状況と、2024年卒の就活準備状況を探っていく。

企業の採用意欲は高く
2023年卒の内定状況は順調に進捗

「2023年卒大学生活動実態調査」によると、2023年卒業予定の大学生・大学院生の2022年10月10 日時点での内定率は89.6%で、前年比で2.4ポイントのプラスとなっている。調査が開始された2022年3月1日以降、継続して前年比増で推移しており、企業の採用意欲の高さが見て取れる。

グラフは掲載していないが、この調査では82.0%の学生が10月10日時点で就職活動を終了すると回答しており、8割を超える学生が入社予定先を決めて就職活動を終えている状況だ。

  • 「マイナビ 2023年卒 大学生 活動実態調査(10月中旬)」より

これらの学生を受け入れるために催される内定式だが、今年は10月1日が土曜日、2日が日曜日ということもあって、10月3日に開催する企業が多かったようだ。

また、開催形式については、今年は対面形式での実施が大幅に増加し、「直接対面形式で実施され、全員集まって参加した」が58.1%で最多となり、前年最多であった「オンライン形式で実施され、全員オンラインで参加した」は31.0%と大幅に減少した。

  • 「マイナビ 2023年卒 大学生 活動実態調査(10月中旬)」より

同調査では、2024年卒の学生に向けたアドバイスも調査しており、「自己分析はあらゆる角度から徹底的に行うべき。人によっては時間がかかるため、3年生のはじめに友達など誰かと始めるのが理想的」や「3月からは想像しているより忙しくなるので、とにかく早め早めの行動が大切です! また、本選考でエントリーしようと思っている職種は、1社でも良いのでインターンシップに参加しておくと良いと思います。参加を通して職種理解が深まるので、ESをスムーズに書き始められます」など、とにかく早めの動き出しをすすめるコメントが多く寄せられている。

  • 「マイナビ 2023年卒 大学生 活動実態調査(10月中旬)」より

WEBと対面、ハイブリッドのインターンシップで
2024年卒の参加状況は過去最多に

先輩学生の就活の動きに危機感を抱いたのか、2024年卒の学生はかなり早めに就活準備に取り組んでいるようで、インターンシップ(ワンデー仕事体験を含む)への参加が昨年以上に増加している。

「2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)」によると、2022年6~10月調査時点までにインターンシップ・ワンデー仕事体験に「参加した割合」は、87.6%と、前年比4.0ポイントの増加。また、一人あたりの平均参加社数は5.7社で、前年と比較して1.3社増加している。

下記のグラフを見てもわかるように、学生のインターンシップ参加状況は、2017年卒以降は右肩上がりで盛り上がりを見せてきたが、コロナ禍の影響で2021年卒をピークに一作年、昨年は伸びが停滞していた。

しかし、実施形態をオンラインに移行したり、対面型で実施する際も万全の感染対策を施したりなど、企業側が努力を重ねた結果、2024年卒のインターンシップ参加状況は過去最多となっている。

  • 「マイナビ2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~」より

同調査では、インターンシップの参加形式についても集計しており、「WEBのみ」が32.2%となっているものの、「どちらかというとWEBが多かった」(38.6%)、「WEBと対面が半々」(13.1%)、「どちらかというと対面が多かった」(7.9%)の3つの回答の合計は59.6%で、対面とWEBの両方を取り入れて実施する企業が半数以上にのぼっているようだ。

  • 「マイナビ2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~」より

参加した学生の手応えとしては、「自分に合う仕事・合わない仕事など、職業適性が分かった」が最多で58.1%。次に「『仕事・働くこと』に対する意欲が高まった」が42.3%、「興味のある業界・企業・仕事内容の絞り込みができた」が35.2%と、たとえWEBで実施されるインターンシップであっても、自己分析や仕事研究の成果につながっていることがわかる。

  • 「マイナビ2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~」より

今回は、2023年卒と2024年卒の大学生の調査データをもとに、ポイントを絞ってそれぞれの活動状況を確認した。

コロナ禍がなかなか収束が見通せない状況であるが、企業側の採用意欲は引き続き高く、学生側も危機感を持って就活準備に取り組んでいるようだ。