“トクホドリンク”には何が入ってるの?

キリンの「メッツコーラ」やサントリーの「ペプシスペシャル」、それに続くように「三ツ矢サイダープラス」と、現在では様々なトクホマーク(特定健康食品)の炭酸飲料が展開されています。しかし、一体どのへんがトクホなのでしょう? そのキーワードは「難消化性デキストリン」にあります。

「難消化性デキストリン」という食物繊維

まず、トクホマークをごくごく簡単に言うと、研究実績のある食品でなおかつ、健康増進作用があると考えられる成分を含んだ食品に付けられる印です。「厚生労働省」という文字が入っていることが多いのですが、2009年からは消費者庁の管轄になっています。

近年展開されている炭酸系“トクホドリンク”のラベルをよく見てみると、「難消化性デキストリン」という言葉が並んでいます。難消化デキストリンというのは、デンプンを特殊な環境で加水分解することで得られる食物繊維です。

また、難消化デキストリンは消化されにくいことからカロリーは非常に低く、腸内で食べ物と混ざり合い、血糖値の急激な上昇を抑えたり、便通を改善したりする働きがあると言われています。それが理由で特定保健用食材として認可を受け、マークを付けているのですが、「なるほど、それなら本当に健康に良いんだ!」と合点するのはちょっと早いのです。

効果が出るのは20本以上から?

さて、日本の 難消化性デキストリンの老舗製造元、松谷化学工業の実験レポートによると、健康な男性6人に1週間、毎日30gの「難消化性デキストリン」を投与したところ、便通の改善、腸内細菌群のバランスや腸内バランスの改善がみられたようです。また、毎日10gの「難消化デキストリン」で血糖値が長時間安定し、減量にも成功したといった実験結果が書かれています。

ですが、良く考えていただきたいのです。「難消化性デキストリン」でダイエット効果や、便通の改善諸々(もろもろ)の有益な効果を得ようとすると、最低1週間、毎日1本~3本もの大量の“トクホドリンク”を飲まないといけない計算になります。

とはいえ、難消化性デキストリン自体は悪いものではないので、気になる人はショッピングサイトで「難消化性デキストリン」などで検索してみましょう。1kgで2,000円~3,000円前後で買うことができて経済的です。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。