原材料として「乳製品」と表示された商品の例

「乳製品」は25区分に分けられたものの総称

コンビニの人気コーナーのひとつである「スイーツ」。その原材料表示に、「乳製品」と書かれたものを見ることがあるかと思います。この「乳製品」、何を指しているかご存じでしょうか?

「乳製品」については、食品衛生法に基づく乳等省令(乳および乳製品の成分規格等に関する省令)の中で定められています。定義中には「バター」や「アイスクリーム」など、25の区分があります。原材料表示に「乳製品」と書かれている場合、それらの定義に合致したものが単独、あるいは複数使われていることを示しています。

例えば、「バター」だけを使用した場合でも、「乳製品」と表示することもできます。逆に区分に合致しないようであれば、その原材料の状態を表示する必要があります。

乳等省令で定められた「乳製品」25区分

では、以下で「乳製品」と「その原材料の状態を表示している」ものの例として、クリーム類を例に説明したいと思います。

「生クリーム」は乳製品、「ホイップクリーム」は乳製品外

さて、読者の皆さんに「クリーム」と聞くと何を想像しますか? おそらく「生クリーム」と答える方が多いのではないかと思います。

いわゆる「生クリーム」(左)といわゆる「ホイップクリーム」(右)の商品の例

左上の写真の商品には、種類別名称として「クリーム(乳製品)」と書かれています。これは、先ほど紹介した25の区分のひとつである「クリーム」の定義に合致しています。そのため、食品表示には「クリーム」と表記することができるのです。ただ、乳脂肪分を除去したり添加物を加えたりしてしまうと、「クリーム」ではなくなってしまいます。

「クリーム」でなくなったひとつの例が、右上の写真の商品。世間では「ホイップクリーム」と呼ばれているものです。その多くには写真のように「乳等を主要原料とする食品」という表示がされています。つまり、私たちが「ホイップクリーム」と認識しているものは、「クリーム」でも「乳製品」でもないのです。

筆者プロフィール : 梶原 茂(かじはら しげる)

食品表示コンサルタントとして「食品表示情報ネット神戸」を主宰。「無果汁と書いてあるのになぜキリンレモンはOKなのか?」という疑問から、商品表示に関心を持ち始め、法令知識を深めるために行政書士の資格を取得。有料通信講座「食品表示関連業務担当者の為の知っておくべき法規制とQ&A講座」(技術情報協会)の講師を務める。現在はホームページ「食品表示情報局」で食品表示関連情報を発信するとともに、個人・法人問わず食品表示に関する質問に無料で答えている。

「食品表示情報局」