決して一般的な家庭料理ではなく、基本的に居酒屋でしか出会わないおつまみ、珍味に「梅水晶」があります。
ざっくりと言えば、加熱処理したサメの軟骨を梅肉やとびこなどとあえた料理。コリコリ食感と梅の酸味、旨味が相まって、特に日本酒のつまみに抜群なんですよね。
サメの漁獲量日本一の宮城県気仙沼市。そこでかつて大量に廃棄されていたサメの軟骨を有効利用できないかと考え、大阪の企業「サブ水産株式会社」が1990年ごろに考案したのが発祥とされています。渋いイメージと比べると、比較的新しいおつまみだったんですね。
ただ、全国的に見て、サメの軟骨は気軽に買える食材ではありません。既製品もあるようですが、どこのスーパーにも置いてあるほどメジャーではない。通販などで買おうとすると、業務用の大容量パックになりがち。やっぱり、居酒屋でしか食べられないというイメージは拭えません。もっと気軽に、家でも梅水晶をつまみに飲みたいのに。
■その手があったか!
ところが先日、おもしろい出会いがありました。
焼鳥や手羽先のからあげが名物のチェーン居酒屋「鳥良商店」。一部の店舗では24時間営業をしているほどに営業時間が長いのも特徴のひとつで、僕が先日、吉祥寺店にふらりと入ってみたのも、昼飲みができるからという理由でした。
加えて、生ビールが税込329円、ハイボールが219円、名物の「手羽先唐揚」が1本75円と、大変リーズナブルなところもありがたく。
この時は初めてだったので、まずは「生ビール」、それから「手羽先唐揚」の「大辛」を3本、珍しいので気になった「佐賀名物 ごとうふの刺身」(439円)を頼んでみました。
手羽先唐揚、濃い甘辛味に、しっかりとコショウの辛さが利いていて、ものすごくビールに合います。ごとうふの刺身は、驚きのとろける食感。豆乳と葛粉などから作られるものだそうで、沖縄のジーマーミ豆腐を少しあっさりさせたようなイメージかな。薬味とだし醤油で食べると、なんだか謎に高級なお刺身を食べているようで、お酒がすすみます。
すっかり気分が良くなり「ハイボール」も追加。
さらになにかもう1品くらい、軽いおつまみを頼もうかな〜とメニューをくまなく見回していたところ、気になるものを発見。それが「鳥軟骨の梅肉和え」(439円)だったんです。
メニューに写真はないので、まだどんなものが出てくるかはわからない。けれどもその食材の組み合わせ。“梅水晶の鶏版”みたいなものである可能性が、かなり高いのではないだろうか? そう推理して、注文してみました。すると出てきたものがこちら。
ご覧のとおり、想像以上に梅水晶だったんですよ。食べてみてもまるっきり梅水晶の味。言われなければ鶏軟骨だとは気がつかないと思います。
こうなってくるともう日本酒だろうと、思わず追加した「純米酒 鳥良」(659円)がものすごく巨大な利き猪口で出てきて、昼間からすっかりいい気分になってしまったのでした。
【家飲み用ヒント】
さて、ここからはおまけ。
実はここまで黙っていたんですが、僕はかつて、自分で思いつき、鶏軟骨でジェネリック梅水晶を作ってみたことがあるんですよね。その時に気がついた最大のポイントが、ボイルした軟骨についた肉を徹底的に取り除くこと。これにより、鶏の風味が限りなく消えて、梅水晶に近づきます。
ちょっと作ってみましょうか。
大きめのスーパーであれば売られていることも珍しくない、写真のような鶏軟骨を買ってきます。リーズナブルなのが嬉しいですね。
これを、熱湯でしっかりとボイル。5分ほどで火は通ると思います。
次がいちばん苦労するポイントで、指でやってもスプーンなどを使ってもいいんですが、軟骨の周りについた肉を徹底的に取り除きましょう。肉はけっこうな量になるので、お好きな調味料や薬味とあえればいいおつまみになりますよ。
けっこうがんばったあとなんですが、写真だとまだ少し肉が残っていますね。これもきっちり取り除いたほうが、確実に梅水晶に近づきます。
そうしたらこれを可能なかぎり細切りにし、叩いた梅肉と、味の橋渡し役として今回は白だしをちょろりと加え、よくあえます。
作るのにちょっとした手間はかかりますが、これでいつでも、自宅で梅水晶欲を満たすことができますね。
最後に補足情報。梅水晶を考案したサブ水産では、2011年の東日本大震災の影響でサメの軟骨が手に入りにくくなって以降、サメ軟骨と鶏のヤゲン軟骨を混ぜて梅水晶の原材料としているそうです。つまり、元祖がすでにその近似性に気づいていたというわけですね。そうだったんだ〜。














