地上8メートルの跳躍でみせるアクロバティックな演技

空中でのアクロバティックな演技で、美しさ・難しさ・高さを競う「トランポリン」。技の出来栄えを見る演技点と、回転とひねりの数で算出する難度点、滞空時間を計測する跳躍時間点、さらに、どれだけトランポリンの中心で演技を行うかを評価する移動点を加算し、それらの合計得点で順位を競う。

縦4.28メートル(プラスマイナス6センチメートル)、横2.14メートル(プラスマイナス5センチメートル)の、テープ状のナイロンなどを編んだベッドと呼ばれる弾力性の強いシートをスプリングでフレームに固定し、反動によって高く跳躍する。

男子選手のジャンプの高さは地上8メートルにも達するほどダイナミックだが、空中でわずかでも傾いたり姿勢を崩すと中央のゾーンに着床できないという繊細な一面も持っている。選手には卓抜したバランス感覚と運動能力が求められ、観客はその迫力に息を呑む。

まるで空中遊泳をするような浮遊感を伴って、連続して行われる跳躍や宙返りは、ダイナミックさ、姿勢の美しさが注目ポイントだ。選手はジャンピングゾーンと呼ばれる赤い枠内で、高さのある安定した演技を目指す。

もっとも重要な点は、それぞれの跳躍でより高く垂直方向に跳ぶことだ。高さと滞空時間を稼ぐために、トランポリンの中央に着地するよう意識し、次の跳躍の高さへと繋げていく。だが足元が不安定なうえ、空中で少しでも体勢が崩れただけで着地位置が大きくずれてしまうという危うさがある。演技中、目印として中心部に描かれた7センチメートル(プラスマイナス3センチメートル)の赤い十字マーク付近にきちんと降りられるか、また外れてしまった場合には次の跳躍でうまく体勢を持ち直すことができるかが見どころとなる。

ちなみに、跳躍や宙返りの空中姿勢には、タック(抱え型)、パイク(屈伸型)、レイアウトあるいはストレート(伸身型)の基本的な3種類がある。さらに回転数やひねりを加えることで技の難易度が上がり難度点が計算される。

オリンピックの予選では、第1自由演技および第2自由演技の合計で予選が行われる。第1自由演技は、ルールで定められた特別要求(特定の技や演技構成により加点される)を含む、異なる10種目の技を構成し演技を行う(10種目中4種目が難度加算される)。また、第2自由演技は任意の異なる10種目の技を構成し演技を行う。そのため、第1自由演技より、さらに高難度の技の連続を見ることができる。

また、演技の美しさ(Eスコア)、技の難しさ(Dスコア)に併せ、高さ(滞空時間)の跳躍時間点(Tスコア)、およびどれだけ平行に移動しないかを評価する移動点(Hスコア)すべてを合計し、上位8名が決勝に進出する。連続で10種目、しかも1種目ずつ高難度の技を実施しなければならないため、体力と集中力、さらには強い精神力が要求されるシビアな競技と言える。世界の男子選手のトップクラスだと、10種目のDスコアは17.0点を超える。メダル争いに絡むには、このラインが目安となるだろう。

なお決勝での自由演技は、予選の得点は加算されず0点スタートとなり、決勝の得点のみで順位が決定する。しかも、やり直しがきかないため、たとえ8位通過の選手でも一発逆転優勝の可能性がある。そのため上位通過者といえども油断できず、予選とはまったく順位が入れ替わるようなスリリングな勝負が繰り広げられることになるのだ。

約20秒と短い競技時間は、一発勝負の緊張感に満ちている。一瞬も目を離さずに、1本1本の跳躍を見守ろう。メダルの行方は、最後の選手の演技が終了するまでわからないのだ。

イラスト:けん

出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会