東京2020オリンピック競技大会では、史上最多となる33競技339種目の開催が予定されている。本連載では、イラストを交えながら各競技の見どころとルールをご紹介。今回は「ホッケー」にフォーカスする。

一瞬で入れ替わる攻守。スピーディーでスリリングなゲーム展開を楽しもう

縦91.4メートル、横55メートルのフィールド上で、ゴールキーパー1名を含む1チーム11名の選手からなる2チームが対戦し、直径7.5cmのボールを相手チームが守るゴールへ入れて得点を競う球技、「ホッケー」。各15分の4クォーター制(計60分)で実施され、より多く得点したチームが勝者となる。同点の場合は相手ゴールキーパーと攻撃選手が1対1の8秒間の攻防を行うシュートアウト戦により勝者を決定する。

ゴールキーパー以外は手足でボールに触ることができず、スティックの片面のみでボールをコントロールする。スティックはカーボン製で長さは約90センチメートル。ボールは野球の硬球とほぼ同じ大きさ・重さのプラスチック製。

オリンピックではロンドン1908大会から正式種目となり、モスクワ1980大会より女子ホッケーも採用されている。

ホッケーの最大の特徴は、サークル(シューティングサークル)と呼ばれるゴール前の半円のシュートゾーンの中から打ったシュートのみが得点とみなされることにある。したがって、サークル内のせめぎ合いや駆け引きが大きな見どころとなる。

攻撃側は、ドリブルやパスを使って相手ディフェンスの網をいかにくぐり抜けてサークル内にボールを持ち込み、シュートを打って得点につなげるか。守備側は、それをどう防ぎ、失点を最小限に食い止めるかが勝敗のカギを握る。各プレーヤーのスティックワークの妙技、また守備から一瞬にして攻撃に入れ替わる展開とチームプレーが、ホッケー最大の魅力と言える。

そして、サッカーのようなオフサイドがないことも特徴のひとつだ。1996年のルール改正によってオフサイドが廃止されたことで、得点の入る確率が高まり、よりスピーディーでスリリングなゲーム展開が楽しめるようになった。

ホッケーでは選手の交代は何度でも自由に行えるため、交代のタイミングが試合の行方を左右する。試合の流れや、どの選手の運動量が落ちているかなどを読みながら観戦すると、試合への理解が一層深まり、楽しさも増すだろう。

なおモントリオール1976大会から、オリンピックの試合は人工芝のフィールドで行われるようになった。転倒した際、摩擦によるやけどを防ぐため、人工芝に散水してプレーをする。

人工芝フィールドでの試合実施によって、球速が速くなり、プレーヤーのスピードや体力、技術などが、より高いレベルで要求されるようになった。エキサイティングなスポーツへと劇的な進化を遂げたホッケーは、観戦する側も熱くする。

なおシュート時のボールのスピードは、世界のトッププレーヤーともなると時速200キロメートル以上に達することもある。新幹線並みの速さなので、見逃さないよう気をつけたい。

イラスト:けん

出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会