昨年から続くコロナ禍やそれに伴う収入減により、「もっとしっかり家計管理をしたい」という人が増えています。それは、子どもの教育費や住宅ローンを抱えるファミリー世帯だけに限りません。家計管理や見直しに真剣に取り組み、支出を減らそうと努力しているおひとりさまも多いのです。

では、30代のおひとりさまなら、どのような家計を目指せばいいのでしょうか。支出項目ごとの目安や、家計管理のポイントについて解説します。

  • おひとりさま、生活費の目安は? (画像はイメージです)

支出項目ごとの目安はどれくらい?

家計管理をするには、まず、「手取り収入に対して、各支出項目をどのくらいの割合に抑えればいいのか」を意識してみましょう。下記は、一人暮らしの場合の「手取り収入に対する支出項目ごとの理想的な割合」を示したものです。

・住居費30%
・食費18%
・水道光熱費5%
・日用雑貨費4%
・被服費5%
・保険、医療費3%
・通信費5%
・娯楽費5%
・交際費5%
・貯金、投資20%

ご自身の家計と比較すると、いかがでしょうか。人によってお金のかけどころは異なりますので、全く同じ割合にする必要はありませんが、あまりに金額が突出した項目があるならこの機会に見直してみましょう。

たとえば、現状食費が35%になっていれば、それが家計を圧迫したり貯金ができなかったりする要因となっているかもしれません。また、住居費はどうしても家計に占める割合が大きくなります。住居費30%は最大値と考え、収入に余裕があるなら、25%や20%を目指しましょう。

金額に換算するといくら?

では、この支出割合を実際の手取り収入に当てはめてみると、それぞれいくらくらいになるのでしょうか。

国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、年齢階層別の平均給与(年収)は、30~34歳では410万円、35~39歳では445万円でした。そこで、35~39歳の平均年収をおおよその手取り月収に換算し、支出項目ごとの割合に当てはめてみると、以下のようになります。

・住居費8万9,100円
・食費 5万3,460円
・水道光熱費1万4,850円
・日用雑貨費1万1,880円
・被服費1万4,850円
・保険、医療費8,910円
・通信費1万4,850円
・娯楽費 1万4,850円
・交際費 1万4,850円
・貯金、投資 5万9,400円

人によって、「けっこう使える金額が多い」と感じる項目もあれば、「これだけではやりくりできない」と感じる項目もあるのではないでしょうか。また、コロナ禍という状況も加味すると、普段とはお金のかかる部分が異なっているかもしれません。たとえば、交際費はほとんどかからないけれど、在宅時間が多く日用雑貨費や水道光熱費が上がっている、などです。

まずは、自分の手取り収入を、先ほどの支出項目ごとの割合に当てはめて、家計の目安を把握します。そしてコロナ禍という現状も踏まえつつ、項目ごとに毎月の予算を設定し、お金を使うようにしましょう。

家計管理の4つのポイント

1. 家計簿をつける

家計管理をするには、「毎月の収入から、何にいくら使っていいのか」を知ることから始まります。同時に、実際のお金の流れを把握していない人は、家計簿をつけてみましょう。家計簿といっても、自分のやりやすい方法でけっこうです。手帳にメモ書きする、もしくは、スマートフォンに家計簿アプリを入れるのもおすすめです。

2. 節約は固定費から

「出費が多いので減らしたい」と思ったら、まずは固定費から手を付けましょう。固定費は比較的金額が大きいうえ、一度見直せば何もしなくても節約効果がずっと続くからです。反対に、食事や趣味にかけるお金をいきなり我慢する「苦しい節約」は、いずれ挫折するケースがほとんど。「節約は固定費から」を鉄則にしましょう。

3. 予備費もしっかり確保する

家計管理で多くの人が見落としがちなのが、「予備費」です。予備費とは、急な病気やケガでかかるお金、冠婚葬祭や帰省の費用、年払いの税金や保険料など、普段の生活費以外にかかる費用のこと。予備費を設定していないと、急な出費を生活費や貯金から出すことになり、家計を圧迫したり、貯金がどんどん目減りしたりしてしまいます。とくに単身世帯は想定外の出費にも一人で対応する必要がありますので、予備費はしっかり確保しておきたいところです。

4.先取り貯金が基本

「家計管理をしてもっと貯金がしたい! 」という人は多いでしょう。貯金成功のカギとなるのは、「先取り貯金」です。先取り貯金とは、生活費として使う前に、先にお金を貯金してしまうことです。たとえば、勤め先の社内預金制度や財形貯蓄制度、金融機関の自動積立定期預金などを利用すれば、給与口座から自動的に貯金分のお金を別口座に移すことができます。あとは、残りのお金を生活費として使えばいいので、無理にお金を余らせようとする必要はありません。

なお、おひとりさまの貯金の目安は手取り収入の20%ですが、収入によっては難しい、もしくは、もっと貯められるという人もいるでしょう。いずれの場合も大切なのは、「先に貯めて残りのお金で生活する」ということです。貯められる金額は人によって違いますが、先取り貯金をすれば、確実に貯金を増やせるのです。

お金の使い道を自分で決められる強みを生かそう

この先も自分一人の収入で生きていくことに、不安を感じる瞬間もあるかもしれません。だからこそ家計に関心を持ち、有意義にお金を使いながらも、しっかり貯めていく必要があります。給与の使い道を全て自分で決められる強みを、上手に生かしましょう。