頑張って稼いだお金は、基本的に全て自分のために使える「おひとりさま」。教育費が重く肩にのしかかるファミリー世帯とは違い、余裕のある暮らしぶりが叶いそうです。実際、「とくに節約を気にしなくても生活に困ることはない」というおひとりさまは多いでしょう。

しかし今はよくても、いざという時や老後はどうでしょうか。あとになって、「もう少しお金のことをきちんとしておけば良かった」と後悔しないようにしたいものです。そこで今回は、おひとりさまだからこそ見落としがちなお金の注意点と、その解決法について解説します。

  • 生活費や老後…おひとりさまのお金、見落としがちな5つの注意点とは? (画像はイメージです)

1.生活コストが高くなっている

ファミリー世帯と単身世帯では、お金について大きく異なる点があります。それは、「教育費の支払いがあるかどうか」です。子ども1人を大学まで行かせるには、少なくとも1,000万円以上のお金がかかります。もちろん、子どもの人数だけ教育費が出ていきますので、子育て世帯の家計負担はとても大きなものです。

さらに家族が増えると、マイホーム購入を考え始める家庭は多いでしょう。子どもを育てながら住宅ローンも返済するとなると、自分たちにまでなかなかお金を回せない……という世帯は少なくありません。

一方のおひとりさまは、基本的に収入を自分だけのために使うことができます。もちろん、もらえる給与額によって差はありますが、30代ともなれば、買い物の際に「普通より少し高級なもの」を選んでも、十分生活していける人は多いのではないでしょうか。

ただしだからこそ、おひとりさまは生活コストが高くなる傾向にあります。たとえば、自炊が面倒で外食や出来合いの食事が続いても気を遣う人はいませんし、プライベートを充実させるため旅行や娯楽にもお金をかけられます。このように余裕がある分、よほど気を付けないと、出ていくお金はどうしても増えていくものなのです。

大きすぎる生活コストを圧縮するには、支出項目ごとに予算を設けることが有効です。たとえば、食費なら「月○万円」と決め、さらに1週間ごとに予算を細分化する。こうして予算内に収めるようにすれば、無駄に出費が膨らみすぎることはありません。

2.ライフイベントが少なく貯金しづらい

ファミリー世帯の場合、教育費などで出費が多く、自然と節約や家計管理を意識しているものです。それに、出産や進学、住宅購入などライフイベントに合わせ、貯金する習慣も身についています。となると、必然的に自分たちの老後資金にまで頭を回していることも珍しくありません。

一方おひとりさまの場合、ライフイベントが少ないことで、特定の目的のために貯金する機会があまりありません。そうなると、何となくお金を使って贅沢をしてしまいがち。現役の時はそれでよくても、老後は一転、持ち家もなく貯金も早々に尽き、不安な毎日を過ごす……という事態にならないよう、対策が必要です。

ライフイベントが少なく目標を立てにくいかもしれませんが、ファミリー世帯と同じように、将来必要となるお金を意識的に貯めることが重要です。「住宅取得資金」「老後資金」など目的別の口座を持ち、計画的に積み立てていきましょう。

3.一人暮らしの節約は意外と難しい

一人暮らしの生活において、「意外と節約が難しい」というのも盲点の一つです。特に、一人分の食材を無駄にせず使い切るというのは大変なもの。無駄な出費を減らす意味でも、買い物の回数は少ないほうがいいのですが、一人暮らしの場合、まとめ買いをすると食材をうまく消費しきれないという問題があります。一度、週にどのくらいの頻度でどのくらいの量を購入すればベストなのか、研究してみるといいかもしれません。

また固定費にしても、おひとりさまの節約は難しそうです。たとえば通信費。「家族割は自分には無関係」と思っている人は多いでしょう。しかし最近では、別居の家族同士でも家族割が適用されるケースが多くあります。実家の家族と通信会社を合わせて家族割を適用させるなどすれば、おひとりさまでも固定費の節約が可能になりますので、ぜひ確認してみましょう。

  • 通信費を見直すと固定費の節約につながるかも (画像はイメージです)

4.世帯年収を上げるという選択肢が取れない

おひとりさまは、自分一人の生活費しかかからない一方、共働き世帯のように「2人で働き世帯年収を上げる」という選択肢が取れません。また、病気やケガ、失業で働けなくなるなど万が一の場合、共働きであれば、どちらかの収入でとりあえず生活していけますが、おひとりさまはそうもいきません。

そのため、いざという時に慌てないよう、自分はどのような給付がいつまで、いくら受け取れるのか確認しておきましょう。また、それだけでは資金が不足する場合、保険の加入も検討します。たとえば、病気やケガで入院した時に出せるまとまったお金がないなら、必要最低限の医療保障を確保する、などです。さらに、日ごろから貯金に励み、どのような用途にも使える現金を蓄えておくことも欠かせません。

5.老後資金を多めに貯める必要がある

おひとりさまは、老後、身の回りの世話を頼める家族がいないケースが考えられます。そのため、介護費を多めに用意しておく必要があります。さらに共働き世帯と比べ、将来受け取れる年金額が少なくなる可能性がありますので、「共働き世帯の倍貯める」つもりで積み立てていきましょう。

老後の住まいについても、リタイアを迎えるまでに結論を出しておくべきです。賃貸、持ち家いずれにしても必要な資金を老後までに用意しておきましょう。

このように、おひとりさまの老後には課題がとても多いものです。30代のうちから老後について真剣に考え始めても、早すぎることはありません。


自由で余裕があるからこそ、お金には無頓着になりがちなおひとりさま。しかし、いざという時ピンチに陥ってしまうこともあるのです。見落としがちな盲点を意識し、お金に不安のない日々を実現させましょう。