みなさんは過去の出会いにおいて、尊敬する上司や先輩に出会った経験はありますか? 筆者には尊敬し目標にする人物が2人います。それは仕事のノウハウやビジネスマンとしての常識や考え方を教えてくれた上司と、プロのファイナンシャルプランナーとしての仕事の取り組み方や実務を教えてくれた先生です。

おふたりとも素晴らしいキャリアをお持ちの方で、現在もバリバリ活躍されています。今回は素晴らしいキャリアをお持ちのおふたりから学んだキャリアアップのためのポイントをお伝えします。

  • 先輩たちからいろいろと学ばせてもらいました……!

仕事のスピード

(1)スピードを意識すること

筆者がそのおふたりの仕事を見て感じたのは、仕事のスピードが圧倒的に速いことでした。お問い合わせに対してのレスポンスが速いことに加え、問題解決までのスピードも圧倒的に速かったことがとても印象に残っています。

筆者も先輩たちを見習い、レスポンスの速さやわからないことはすぐに調べることを心掛けるようになりました。すぐに返事ができない場合は途中経過を報告し、すぐに解決できないことがあれば調べ、改めてご連絡する旨をお伝えするようにしています。

また、会社員時代は子どもの体調不良時に早退することや、急なお休みをもらうこともあったため、その分遅刻はしない、お昼休憩も5分前には業務に戻るなど、時間にルーズにならないように気をつけました。そう意識してからは、仕事とプライベートのメリハリができ、「仕事が速い」と他のお客様をご紹介いただく機会が増える結果となりました。

(2)空いた時間でできることが増える

スピードを意識して仕事を処理することで、空いた時間を準備に費やせます。

昔、上司に「仕事を成功させる秘訣は8割の事前準備だ」と言われたことがありました。その仕事の本題に取り掛かる前に、想定される問題点を具体的に洗い出して事前準備を行うことで、その仕事の内容も良くなっていきます。

筆者のお客様は女性が多かったため、一緒に共感できるような資料を多く用意したり、会社の難しい資料を絵や写真を使ってわかりやすく作り変えたりするなどの事前準備をしました。

「わかりやすくする」ということは、筆者にとって苦手分野でしたが、資料や話し方を訓練するため「小中学生でも理解できるように」を目標に、わが家の中学生にも協力してもらって本番と同じように話をしています。身近な人のダメ出しは強烈で衝撃を受けることもありますが、お客さまには「わかりやすくて良かった」とお声をいただくようになりました。

とことん相手のことを考えること

(1)誰に対しても配慮を怠らない

先輩たちはお客様だけでなく、一緒に働く会社の仲間や上司、業者の方、メーカーの方、郵便配達の方など、お仕事に関わるすべての方にとても丁寧に対応されていました。

丁寧なことは、みなさんもいつもの業務で行っている当たり前のことかもしれません。ただ、経験が未熟な筆者からすると、例えば、私が相手の気持ちになって2~3手先のことを考えているとしたら、先輩方は5手も6手も先のことまで相手の立場になって、嬉しいことや嫌なことを考えて行動されているのだなと感じ、「自分は全然配慮が足りなかった。先輩たちのようにもっと先まで配慮ができる人間になりたい」と思うようになりました。

勤務時間内の言動や対応は、お客様や先輩や上司が見ています。筆者の友人の会社員の方でも、丁寧な対応が周りの方に評価されキャリアアップしたというお話を聞いたことがあります。普段から「自分が思う一歩先の周りへの配慮」に気をつけて勤務することも、キャリアアップへの1つのポイントになってくるのだと思いました。

(2)本当に相手のためになることは、はっきり伝える

とことん相手のことを考えたとき、叱咤激励できる点も大きなポイントだと思います。仕事のやり方は人それぞれですが、おふたりの場合は相手のことを思い相手の状況に配慮しながらもしっかりと叱ったり指摘されたりしていました。

昔、お客様に対してもはっきりとものを伝える上司をみて、初めは怖い人なのかと思っていたのですが、そのお客様のためを想い、ご家族やバックグラウンドまで考慮して奔走している姿や、問題解決した後にお客様と一緒になって心から喜んでいる姿を見て、本当に相手のことを考えて叱咤激励しているんだと感銘を受けました。

「愛情を持って伝えることが大切」だということは、仕事でも家庭でも同じかもしれないと感じました。そんな気持ちで伝えるように心掛けてからは、お互いに信頼して長くお付き合いいただけるお客様が増えました。

関わった方への感謝

関わった方への感謝を忘れないところも、おふたりから学んだことの一つです。その感謝の方法も、ただ「ありがとう」と言葉で伝えるだけでなく、相手の方にいただいたご縁やご恩を返すということをしっかり考えた感謝の方法をとっていました。

その一つの方法として、筆者は感謝の気持ちを伝えたいときや「あの人は元気にしてるかな?」と思ったときに、その日のうちに手紙を出すようにしています。いきなり手紙はハードルが高いと思う方や、人づきあいが苦手で、感謝をうまく伝えることに慣れていない方は、はがきや小さな付箋に、直筆で一言添えるだけでもいいと思います。大それたことはできなくても、無機質な書類に「いつもありがとうございます」などの心遣いがわかる一言でも少し温かい気持ちになりますよね。

周りの方に感謝しそれを伝えることで、自然と仕事の仕方が変わってくると思います。筆者のお客様の中にはその手紙を大切に保管してくれ、後に連絡をくださる方もいます。1通の手紙やメッセージが、長くご縁をつないでくれることも多々ありました。

まとめ

先輩から学んだキャリアアップのポイントは、「相手に心から喜んでもらうこと」だと感じています。忙しいワ―ママがすべてを実践するのは難しいかもしれませんが、あなたの行動の積み重ねが、お客様や会社の関係者などに届き、感動したり、納得したり、腑に落ちたり、嬉しくなったりすることがキャリアアップにつながるのだと思います。

筆者も、子どもが小さいときは家庭と仕事の両立で悩み、くじけそうになった経験がありましたが、私が仕事をする姿をずっと応援してくれています。ワ―ママであるということは、こんな小さな、でも強い味方がいるということですよね。実際その笑顔が活力になって頑張れた場面もたくさんありました。今回紹介したポイントは、地味で基本的なことかもしれませんが、キャリアアップへの確かな一歩になると思います。

イラスト=オオノマサフミ