会社員の副業や複業が当たり前となり、個人レベルでの起業も珍しくないなど、現代の働き方は一昔前に比べて非常に多様化してきています。それはすなわち、自らの優れたアイディアやスキル次第で、いくらでも仕事を生み出せるということを意味しています。

では一体、どのような知識や技術を有していれば仕事に結びつきやすいのでしょうか。本特集では、5人のFPの方に独自の視点で考えてもらった「これからの時代でお金を稼いでいくために有利に働くであろう資格」を紹介していきます。

資格で補強する3つの方法

「格差社会」「低成長時代」「グローバル化」……と不安をあおるキーワードが渦巻く中、何をしてどう生きるか悩む方も少なくないでしょう。まして、この原稿を作成している2020年4月はコロナ問題の最中です。仕事がなくなった方、在宅勤務の方、不安を抱えながら勤務を続けられている方、いろいろ考えさせられることも多くあるでしょう。

しかし裏を返せば、自分のスキルを補強し、より時代への対応力をつけるために、資格取得に取り組む絶好の機会かもしれません。これからの時代を乗りきるための有利な資格を考えてみましょう。

最初に、自分はどうしたいかを自分自身に問いかけてみましょう。ある程度安定した仕事があり、その中でより抜きん出たいのか、パートや契約社員、あるいは格段のスキルを必要としない仕事などの不安定さを改善したいのか、将来独立して仕事をしたいのか……など、置かれた状況は千差万別でしょう。資格を本当に生かすには時間もお金もかかります。まずはしっかりと人生設計を立てて必要な資格を見極めましょう。

資格取得の目的を少し整理してみると、次のような区分ができそうです。

(1)現在の業務を補強する

これは比較的恵まれた状況で、おそらく、どう補強したいかはわかっているケースではないでしょうか。会計や経理畑であれば、簿記からスタートして税理士を目指すなど、仕事上の資格取得の道があります。国際的に活躍したり、不動産や相続に強い税理士を目指したりと、幅を広げるための別分野の資格取得を考えるケースもあるでしょう。

(2)ダブルライセンスを目指す

これは保険を掛ける意味合いと、将来の独立に備えるケースなどが考えられます。最近は副業に従事するケースも水面下で広がっているように思います。正業とバッティングできないケースも当然あるので、その場合は他の分野の副業となるでしょう。趣味を生かしたり、興味のある分野の資格を取ったりすれば、正業が立ち行かないときには副業を正業にシフトチェンジすることもできます。もちろん、独立したときには別分野の仕事の経験値は大いに役立つと思います。

(3)本格的に新しい分野を目指す

働き方が多様化する中、これから将来にわたって食べていける分野を模索する方にとって、どのような分野が有利でしょうか。一時期、会社で普通の事務を担っていた女性会社員が、ある程度の年齢になり、社内の立ち位置も微妙になり、転機を求めてインテリアコーディネーターの資格取得を目指すケースが多くありました。

どんな資格が最適かは人それぞれですが、ここではこの(3)のケースの場合に有利な分野や職種を3つ考えてみたいと思います。

おすすめ資格は栄養士と建築士

私は生涯仕事に従事したかったので、職業を「衣食住」の中から選ぶことにしました。当時の女性にとって、仕事を続ける上での社会状況は厳しく、現在のほうがはるかに恵まれていると断言できます。「衣食住」であれば男性社会に巻き込まれず、不本意な仕事へのリスクを少なくできると考えました。暮らしの根幹にかかる分野なだけに、それぞれ関連業種のすそ野も広く汎用性が高いのも有利だと思ったのです。

また、最近は若い世代に社会貢献できる仕事が人気のようです。「衣食住」は生きていく上で必須のものですので、直接役に立っているという実感も得やすい分野ではないでしょうか。

そこで、この分野から2つの資格をピックアップしてみたいと思います。一つは「食」の分野の栄養士です。もう一つは「住」の分野の建築士です。所定の学業が必要ですが、通信教育も可能です。

下記の表は「食」と「住」に関する資格とおおよその難易度をまとめたものです。とりやすい資格からステップアップするか、汎用性の高い、より難しい資格に最初から挑戦するかは、状況に合わせて考えてみてください。

  • 「食」と「住」に関する資格と難易度

FPの資格は持っていて無駄にならない

私が大学を卒業してゼネコンの設計部で設計の仕事を始めたときに上司から言われたことは、「デザイナーになりたかったら、まずは自分の人生をデザインせよ」でした。のちに住宅メーカーで営業の仕事をしたときも、「優秀な営業マンは人生設計がしっかりしている」と同様なことを言われました。

つまりしっかりとした人生設計はどんな仕事にも大切なものだということです。ファイナンシャルプランニングのベースは人生設計ですので、勉強すればどんな業種においても役に立つはずです。

まだ若くて将来の目標が定まらない方は、FPの資格に挑戦してみるのもいいと思います。人生設計がいかに大切かを実感することができます。ただし、「パーソナルファイナンス」「タックスプランニング」「リスクマネジメント」「不動産運用設計」「金融資産運用設計」「相続・事業継承設計」と範囲が多岐にわたります。それぞれの分野の専門家と協力して仕事をすることになりますが、いずれかの分野の専門知識を持っていた方がはるかに有利です。FPにダブルライセンスが多いのもそのためです。

世の中にはさまざまな資格があふれています。各省が管轄業界を活性化しようと資格を創生することもあります。また各種団体が民間資格を作り、資格取得のためのセミナー受講料や教材販売、資格の登録料などを収入源としています。可能であれば、やはり有利な国家資格かそれに準じる外郭団体等が定める資格を目指してほしいと思いますが、ニッチな細分化した資格による仕事に興味があれば、それはその方の人生設計次第です。資格は生かしてこその世界ですので、生かせるかどうか、これからの人生をイメージしてみてください。

筆者プロフィール: 佐藤章子(さとうあきこ)

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。