京阪電気鉄道が9月15日に実施したダイヤ変更では、出町柳発淀屋橋行の朝「ライナー」が新設されたほか、夜間時間帯にも淀屋橋発出町柳行「ライナー」が2本新設された。朝「ライナー」は認知度が上がっている様子だが、夜「ライナー」はどうか。

  • 夜間時間帯の「ライナー」は淀屋橋発出町柳行を2本運行

夜間時間帯に新設された「ライナー」は2本とも平日のみの運行で、停車駅は現行の特急と同じ。夜「ライナー」も朝「ライナー」と同様に8000系を使用し、6号車には「プレミアムカー」が連結されている。

筆者は18時30分頃、京阪本線の始発駅である淀屋橋駅を訪ねた。御堂筋線から多くのビジネスパーソンが京阪電車の改札機を通る。「ライナー」に乗車する際、乗車券とは別に「ライナー券」が必要だが、駅の自動券売機では購入できない。インターネットもしくは駅構内にある「プレミアムカー券 / ライナー券うりば」で購入することになる。「ライナー」の発車15分前まで改札口付近に立っていたが、駅員が「ライナー券」を発売する臨時発売所のような場所はなかった。

優等列車が入線する3・4番線ホームは帰宅客であふれていた。10分間隔で発車する特急の乗降口付近には長い列ができ、着席を狙って次の特急を待つ姿も見かける。特急の車内はロングシートの車両であっても立客が目立つ。

  • 「ライナー」へ乗車する際は「ライナー券」が必要

18時50分頃、「ライナー」の文字がホームの電光掲示板に表示された。「ライナー」は白地に赤文字で表示されるため、赤地に白文字の特急と比べると目立つ。そのせいだろうか、駅利用客は見慣れない「ライナー」表示に戸惑っているように感じられた。ホームでは駅員が繰り返し、「ライナー」が全車座席指定の列車であることを説明していた。

4番線ホームにも列ができていたが、「ライナー」が入線してもほとんどの人が乗らず、8分後に発車する特急出町柳行を待っているようだった。

19時3分、わずかな乗客を乗せ、「ライナー」は淀屋橋駅を発車した。大阪のオフィス街に位置する北浜駅・天満橋駅でも乗車はわずか。ホームではドアカットされた8000系(京都方面の上り「ライナー」は七条~出町柳間の停車駅を除き、1・3・5・7号車はドアカットされる)を不思議そうな眼差しで見つめる帰宅客がいた。

JR大阪環状線・学研都市線(片町線)・JR東西線、地下鉄(Osaka Metro)長堀鶴見緑地線と接続する京橋駅で初めてまとまった乗車があった。それでも筆者が乗車した車両に乗り込んで来た人は7人程度。枚方市駅から京橋駅までの区間で7割ほど埋まった朝「ライナー」とは異なり、空いた車内のまま夜「ライナー」は京橋駅を後にした。

ところで、京阪本線・鴨東線のダイヤを見ると、淀屋橋駅19時3分発「ライナー」の3分前に特急出町柳行が設定されていることに気づく。つまり、この「ライナー」は特急の後を追うように走る。そのため、複々線区間であっても徐行運転を行う区間があり、枚方市駅・樟葉駅といった特急停車駅の前では「ノロノロ運転」が続く。

19時28分、主要駅である枚方市駅に到着し、わずかだが降車が確認された。すぐに発車するかと思いきや、なかなか発車メロディーが鳴らない。19時30分にようやくメロディーが鳴り、扉が閉まった。19時36分、京阪本線最後の大阪府の駅、樟葉駅に到着。ここで、筆者の乗車した車両から5名ほどのまとまった降⾞があった。車内を見回すと、乗客は片手で数えられるほど。他の列車のにぎわいが嘘のように思える。

夜「ライナー」は中間駅における停車時間の長さが特徴かもしれない。たとえば、19時台に走る特急の樟葉駅での停車時間は1分程度だが、「ライナー」は2分も停車する。これは「ライナー」の3分前に⾛る特急を考慮し、少しでも「ノロノロ運転」 を防ぐための対策とも考えられる。ちなみに「ライナー」の3分前、19時0分に淀屋橋駅を発車した特急は、枚方市駅を19時23分、樟葉駅を19時29分に発車している。一方、「ライナー」は枚方市駅を19時30分、樟葉駅を19時38分に発車。樟葉駅の時点で9分の差がついている。

樟葉駅に次いでまとまった降車があったのが、近鉄京都線の接続駅である丹波橋駅だった。この駅では出町柳駅まで各駅に停車する準急と接続するため、「ライナー」から京都市南部の各駅へのアクセスも悪くはない。

京都市中心部の七条駅・祇園四条駅・三条駅に停車するとすべての扉が開き、「ライナー券」を購入しなくても乗車できるようになる。そのため、祇園四条駅や三条駅では降車客よりも乗車客が多いように感じた。淀屋橋駅を出てから1時間以上が経過した20時7分、ようやく「ライナー」は出町柳駅に到着した。なお、淀屋橋駅19時0分発の特急は「ライナー」より10分早く、19時57分に出町柳駅に到着する。

  • 「ライナー券」「プレミアムカー券」は「プレミアムカークラブ」からインターネット予約で購入可能

夜「ライナー」は運行開始から1カ月しか経っていないこともあり、朝「ライナー」と比べて認知度がまだまだ低い印象を受ける。朝「ライナー」以上に手探り状態の中でのスタートではないかとも思う。実際に乗ってみての感想としては、とくに夜「ライナー」に関して、「ライナー券」の購入方法になにかしらの工夫が必要ではないかと感じた。インターネット予約や駅窓口での販売だけでなく、やはり「プレミアムカー券」「ライナー券」を購入できる自動券売機が欲しいし、それが難しければ改札前などに臨時発売所を設置しても良いのでは……とも思う。

朝の通勤時間帯は乗車する列車をある程度特定できるが、夜は仕事の進捗状況などに左右されやすく、列車に乗る時間帯を特定しにくい。他社線において、有料の特急列車または座席指定列車の時刻をパターン化するなどして帰宅時間帯の着席ニーズに対応している事例も見られるが、京阪線でそれができるのかどうか。夜「ライナー」が利用者に浸透するまで、少し時間がかかりそうな気がした。