「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第89回のテーマは「『愛してる』と言う『型』を打つ」です。

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いきなりですが、このマンガはかなり盛ってます!

家の中でこんなに熱血指導はしていない……というか、そもそも空手の稽古場でも強めの指導とかはしていません(笑)。

大人が趣味でやってる空手なので、熱血とか、強制的な立ち振る舞いをしたら……あっという間にみんな辞めます。というわけで、基本的に穏やかです。穏やかですが、まあ、主義主張としては変わりありません。「普段から鍛錬してないことは、いざというときに出てこないし使えない」ということです。

私は「普段から言わないことを、一番言わなきゃいけないタイミングで言えるか」というと、無理があるんじゃないかな~と思っています。コミュニケーションは練習しないとうまくならないと考えています。練習してないことをいきなりできる人もいるとは思うのですが、それってものすごい秘めた才能のある天才……つまり極々少数なんじゃないかな? と思います。私は天才じゃないので、日々鍛錬しないとな~と思うのです。

私は人間関係がうまくいっていない時期に、空手にはまったんですよね。空手をしていたら「空手と会話って似てるな」と気が付きました。大体気の強い人は会話でもグイグイくるけど、空手の組み手のスタイルもグイグイタイプ。スタイルが同じなんです。受け身の人は組み手でも受け身だし。そうか、組み手って、会話と同じなんだ。コミュニケーションなんだなと思ったのです。

そして、空手は練習するだけちゃんとうまくなる。最初苦手だったことも、できるようになる。ってことは、会話も練習すればうまくなるんじゃ? と思って意識が変わりました。

実際、夫婦ゲンカも練習するとうまくなると思うんですよね。

ただただ、己の正しさだけを主張して相手が加害者、自分が被害者というスタンスでケンカをしてると、いつか信頼が完全に0になって、一緒にいる意味がなくなってしまう。そういうケンカじゃなくて「どうやったら相手に伝わるか」というケンカ……というか「夫婦の話し合い」じゃないと意味がないと思うのですが、それは実際にやってみて「あれはよくなかった」とか「あれをちゃんと言ったから結果的によかった」とか後から反芻して、反省したり次はこうしようとか考えたりしないとダメだと思っています。

ただ、空手の練習では組み手の稽古の後は振り返って反省したりするときに、指導してくれる人がいるんですよね。夫婦の話し合いとかケンカは指導してくれる人もジャッジしてくれる人もいないので、2人でやらなきゃいけない。それはなんだか「修行」っぽいな~と思ってます。

それと同時に、相手を褒めたりリスペクトしたり、感謝の意を伝えることも普段から意識してやるようにしています。問題解決の話し合いだけじゃ、お互いの自尊感情が補えないときもあると思うんですよね。

日本人って、基本的に「褒めるのが下手」な人が多いと思うのです。昔の人なんか全然褒めないですよね。今は「子どもは褒めて育てましょう」という流れだと思うのですが、うちの親は子どもを褒めない親でした。子どもは「しつける」もので、ダメなことを「矯正」する対象みたいな感じが多かったように思います。

褒められる経験がない人が人を褒めるのは自然にはできないと思っていて、私はある時期から積極的に人を褒めることにしました。簡単なのは「いいな」と思ったことを口にして、「いまいち」と思ったことはよっぽどの親しい人以外では言わないというものです。

これをやっているうちに、自然と人への会話の中で「褒める」ことができるようになりました。自然に褒めることができるようになると、コミュニケーションがポジティブになって、信頼関係が深まると思ってます。

なので、我が家では「一緒にいてよかった」とか「結婚してよかった」とか「愛してる」とかは、思いついたら言うようにしています。「愛してる」の大安売りをすると、いざというときに価値が下がる……みたいな考えもあると思うのですが、練習しておいたほうがいいよね、と思います。とはいえ……かなり「型」っぽい言い方なんですが。

「型」っぽい、というのは「実践的でない」ということです。「とりあえず、言ってる」感じが満々ってことですね……。言ってる気持ちは嘘じゃないんだけど「わざわざ言う」。

じゃあ、実践的っていうのはどういうときかというと、それこそ「今それを言わないと関係が終わる」というような、決定的な瞬間じゃないか……と思います。我が家に離婚の危機は一度ありましたが、心のうちをちゃんと明かすという日々の鍛錬のおかげで乗り越えられたんじゃないかな……? と思います。……「愛してる」とは言われなかったけど、まあ、必要な言葉が「愛してる」じゃないこともありますし……!

とりあえず、一度もパートナーに言ったことがない方は、練習でパートナーに「愛してる」とか言ってみてはいかがでしょうか!?

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。