「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第87回のテーマは「結婚○周年パーティ」です。

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再婚とか晩婚のカップルだと、結婚式しない人はわりといますよね。まあ……全体的に結婚式はライトに写真だけみたいな人も増えてはいるようですが。我々は2人とも再婚……すでに一度結婚式を経験しているので「もうやらなくていいよね…」という感じでした。

私は「やったことはあるので、もうやらなくていいです」という気持ち&「2回も祝ってもらうとか、どの面下げて……?」みたいな気持ちでした。初婚で、150人くらいのパーティをやりまして……あんなに盛大にお祝いしてもらったのに3年半で離婚した私としては「申し訳ないので、また祝ってもらうとか無理です」っていう気持ちでした。

しかし、私の親に「事実婚だろうと、結婚するならば何かやってほしい」と希望されました。私の母が「せっかくだから、着物でも着てほしいわ」と言うので、母が結婚式のときに着たという着物を借りました。パートナーも「さるころが着物とか着るならオレも」と袴を借りました。記念に写真くらいは撮っておこう、という気持ちはあったので、写真撮影ができて個室で会食ができる場所を探して両家の両親を呼んで「顔合わせ会」と称して、本人と両親のみの超ミニマム簡易結婚式っぽいことをやりました。

私は親が「何か式っぽいことをしてほしい」というのを希望したことに対しては、わりと肯定的でした。私は「式/セレモニー」に対しては普段から肯定的な考え方をしているのです。

「入園式/入学式」「卒園式/卒業式」とか「成人式」とか、コミュニティーを形成して生きている人類には「式」を行うことで精神的な「区切り」ができて、大人と子どもの役割の線引きができたり……そういうのは社会的な機能として有効だな~と日頃から感じています。

なので親が望む「式」っぽいことをすることで、親が事実婚で再婚同士の私達を「夫婦」として認識できるなら、やったほうがいいと思いました。あと元々記念撮影とかは嫌いじゃないので、親の希望というだけでなく、自分達の記念として撮影をしました。記念撮影って「区切り」の記録なんですよね。

親戚にはその写真を「事実婚しました」という手紙と一緒に送りました。「式」に参加せずとも「式っぽいことをした」と周囲に知らせることで関係性が認知されるので、我々にとってはちょうどいいセレモニーだったなと思いました。

というわけで、我が家は「セレモニー」そのものに関しては肯定的です。基本的に結婚式とか呼ばれたいですし、行きたいです。おめでたい席に参加して祝福とか~した~い! と思っているのですが……。30代のころはたくさんあった結婚式の機会……40歳過ぎると減りますね……。次の結婚式の機会は甥っ子姪っ子の結婚式かしら……みたいな感じになってきました。

「晴れの日」がずっとないのも寂しい……。普段しないオシャレとかして、ハッピーな会に行きたい……!

という気持ちになった我々は、パートナーの50歳のお誕生日祝いと事実婚5周年を記念してパーティをすることにしました。再婚のタイミングでパーティをしたくなかった理由は、「2回目なのに申し訳ない」という気持ちだけでなく、合理的でない慣習がたくさんあるようなスタイルの「式」がイヤだな……と思ったこともあります。

初婚のときも、私は「花嫁の手紙」を「なぜ妻側だけ親子関係が終わるような儀式が必要なの!?」と読まなかったし、ジェンダーバイアス多めの演出は全部やりませんでした。それでも「結婚式」というのは慣習とかマナーが重んじられるものなので、今の自分達には合わないな……と思ってできなかったんですよね。

初婚が3年半で終わった私には、事実婚でそれよりも長く生活できているということのほうが祝ってもらうに相応しいように思いました。パートナーの親戚は遠方なので、私も親戚は呼ばずに友達だけを呼ぶ会にしました。慣習、マナー、ご祝儀その他一切ナシのただ「最近パーティとか行ってないから来たい人~! みんなきてね~」みたいな会になりました。

元々パートナーは都市河川が好きで、都心で船に乗るのが好きなのです。前から「船を借りて宴会したい……」と思ってたというのもあって、クルージングパーティをしました。私は「たまには着物とか借りてみたいなあ」と思ったので、レンタルで着物を着ました。どこどこにどういう立場で出席するならなんの着物……とか、そういうしきたりとか一切無視のヤツです。参加者からは、必要な会費のみをもらって、おめかしでもTシャツでも、好きな服装で来てもらいました。

その日は運良くお天気にも恵まれ、とても楽しい会ができました。我が家の事実婚は「結婚の型にはまらず、結婚の形を自分達が快適になるようにカスタマイズする」というのがコンセプトなのですが、このパーティも自分達用にカスタマイズした「セレモニー」だったなあと思います。合わない慣習から自由になるために何かを「やらない」という選択肢もありますが、慣習抜きで自由にやるっていう選択肢もアリだなあと。

この先もなるべく快適に、周りの人も楽しくなるようなことを考えていけたらいいなと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。