「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第90回のテーマは「解決が欲しいのか共感が欲しいのか問題」です。

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「女は解決を求めていない、共感が欲しいだけ」ってやつ、まだまだ聞きますよね。このステレオタイプな考え方、結構危険じゃないですか? と思ってます。本当に女は解決を求めてないのか? 男は共感を求めてないのかー!?

我が家では「そんなことない」という結論です。

最初は揉めました。私が仕事の愚痴を聞いてもらっていると、パートナーが「だったらこーすればいいじゃん!」と言い出し、私が「いや、その仕事は受けたい。受けたいから問題あるけど、そこは我慢するしかないと思っているんだってば」と返すと、パートナーが「聞いてるこっちがイライラするー! ……女ってほんと共感が欲しいだけなんだな!」みたいな流れ。何回か繰り返しました。

私は実は「女は解決を求めていない、共感が欲しいだけ」問題は、そのものよりも「今抱えてる問題をシェアするかどうか」ってことに男女差があるんじゃないかな? と思っています。

パートナーは仕事やその他のことでネガティブなことがあっても、昔はなかなか開示しなかったのです。リビングでむっつり……。不機嫌……。みたいな。すると、こちらが「なんでそんな態度なの」と恐怖を感じます。

「不機嫌をまき散らす」ことへの加害性について、無自覚だったんですよね。本人的には「ネガティブな気持ちの原因は家族にはないし、自分の問題を言っても無駄だし、家族に文句だって言ってないし、なんの加害性? 勝手に怖がられても困るんですけど」くらいの感じ。でも、残念ながらあなたは170センチ弱サイズの、この家で最も大きな生物であって、家の中で黙って不機嫌でいられると、大変威圧的で困る。家の中に不機嫌なマレーグマがいたら怖くないですか? 人なんだから、言葉を使って情報開示してほしいとお願いしました。

それを理解してくれたパートナーが自己開示をするようになってくれてよかったのですが、そのとき、こちらもすでに「女は共感が欲しいだけか」と言われたのが残っていたので「向こうは解決を求めているのだろう」と思って解決策の提案を頑張ってしちゃうんですよね。それで、あるケースでは「そういうんじゃない」って言われてしまった。結果的には共感・解決については……結局男も女も関係ないじゃん……! となりました。

男だって女だって「解決したい」タスクと「解決はできないのはわかってるから、不満だけ聞いてほしい」タスクの2つがある。ただそれだけです。本質的にこの問題は「共感・解決」を求めるのが男女差なのではなく、そもそも男性は自己開示するのが苦手、下手なことが根本にあるんじゃないかなあと思っています。

とはいえ……まあ、実はどっちを求めているのか自分でもわからなかったりしますよね。その結果、共感が欲しいケースに解決を提案してしまって「いや、そういうんじゃなくて」とかのマッチングミスがあるだけなのではないでしょうか。的確に返答できれば問題は起こらない。結局そのタスクにあった返答を求めているんですよね。

なので、我が家ではネガティブな話をするときに、最初から「これは解決しにくい問題なので、話だけ聞いてほしい」と、話のマクラをつけるようにしています。ただ、基本的に相談するときは「解決策を模索する」のが基本なので「話を聞いてほしい」ときだけマクラをつけます。

ちなみに「女は解決を求めていない、共感が欲しいだけ」っていう考え方。ちょっと「共感」をバカにしている要素を感じませんか?

私は基本的に「解決」タイプの人間です。……って、この連載コラムがずっと「問題をどう解決するか」がテーマになっています。ネガティブな問題に対して共感だけしていては、事態は何も改善しないままなので、なるべく解決したほうがいいと思っています。

でも、同時に「共感」もすごく大事だと思っています。

必ずしも全ての問題にすぐ効く解決策があるとは限らないですよね。どうにもならない問題を抱えてるときに、人に「確かにそれはどうにもならないねえ」と言ってもらえると、状況を冷静に確認できたりします。どうにもならないことを、仕方なしに受け入れるときに、他者からの「共感」には大いなる効果があります。

なので「相談」したり、されたりするときに「共感」をないがしろにしないほうがいい。私は相手の問題を解決できなくても、気持ちをいたわったり、慰めたりしたいです。

とはいえ「解決しなくていい、ただ聞いてほしいだけ」って話し始めたことが「あれ、それはこうしたらいいんじゃない?」とか指摘されることで「なるほど!」ってなることもあります。だから、1人でモンモンと考えてるより、話を聞いてもらうほうがいいんですよね。共感も解決もどっちも大事なのです。

どっちがエライとか優劣ではないものなのです。「男は、女は」とかのステレオタイプな考え方はなるべく捨てて、今相手に一番よいと思われることができれば、信頼関係はより深まるんじゃないかなあと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。