「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第77回のテーマは「価値観の大掃除もしていきたい」です。

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大掃除してますか?

私は一応、気が向いたときにがーっと掃除をする傾向があるので、「やりたいときにやる」という感じにしています。しかし、なにぶん時間の裁量権があるフリーランスなので、そんな感じでもOKなだけ……とも言えますが。

子どもができてから仕事は基本9時~17時で、残業は子どもが寝た後に睡眠時間を削る……という感じです。なので、子どもが生まれてからはかなり「定時」で仕事をしています。となると、好きなときに好きなだけ掃除をする……というわけにもいきません。

私は離婚をした後、反省会をして「人生は欲しいものが手に入るんじゃなくて、必要なものしか手に入らないんだな」と思ったことがあります。自分が生きるために必要なものというのは、実は「欲しいもの」とは違うのかもしれないと思ったのです。

私は「ちゃんとした大人になりたい」と思っていました。たぶんそれが「欲しいもの」だったと思います。30歳までに結婚して、子どもを作って家を買おうと思っていたのです。でも結果的に、よくよく考えてみたら……自分の人生に「ちゃんとした大人」として、「結婚/子ども/家」の3セットは必ずしも「必要なもの」ではなかったのでは? と思いました。

そもそも、フリーランスで家を買うのはハードルがすごく高いのです。ローンの審査がなかなか通りません。それで、結婚したらそういうことが可能なのかも……? というふわっとしたイメージで結婚してしまったんです。でも、実際の結婚生活を考えると、35年ローンを組んで家を買うのは、自分には全然向いてなかったと思いました。一体なにが欲しかったんだろう? と深く深く反省して落ち込みました。

その経験から、自分には「ちゃんとした大人になろう」という自分以外の枠にはまりにいきたがる傾向があることを知りました。でも、そもそも「ちゃんとした大人」ってなんだろう?

家がピカピカなこと? ローンが組めること? 毎日自分で作った手料理が食卓に並ぶこと? 子どもが2人いる家庭を作ること?? どれもこれも「モデルケース」として魅力があることは否めないのですが、本当に自分に向いてることで、自分がやってて幸せを感じることなのか……。向いてないことを無理してやると、結局「幸せ」を見失うのでは? と思いました。

そして、「人生は欲しいものが手に入るんじゃなくて、必要なものしか手に入らない」という気持ちになったのです。

でも「欲しいものが手に入るわけではないけど、必要なものなら手に入るのかも」とちょっと楽になったのです。親や世間が自慢できる「ちゃんとした娘」「ちゃんとした大人」でなくても、別に私が日々ストレスなく暮らしていければ、それが幸せなんじゃないのかなと思いました。

それからは年の瀬になって大掃除とか、世の中の「通例」となっている行事があると「これは本当に私に必要なものだっけ?」と自分に問いかけるようになりました。必要だと思えばやればいい。やりたいと思ったらやればいい。一番よくないのは「やらなきゃいけない」と思ってやること、または「やらなきゃいけないのに……」と思ってやらないこと。これだと、やってもやらなくてもストレスがあるからです。

私は掃除は好きなので、できれば家の中はキレイにしたいです。かといって毎日エアコンの上のホコリも棚の下のホコリも、時間がないので「見て見ぬ振り」をしてます。だから、大掃除する機会があればしたい。でも、それは「したい」からであって、「年末だから大掃除しなければならない」と思ってやらない。年末に時間がなければ、別に年が明けてからでも掃除したらいいじゃないと思うようにしてます。

おせちやお正月料理や、お正月の習慣も、自分がやって楽しい気持ちになることだけやればいいと思っています。よく考えなくても、賃貸住宅に立派な門松がいらないというのはわかります。でも、ドアにしめ縄飾りくらいは飾りたい。最近は純和風なものだけじゃなくて、ちょっとオシャレなリース風のしめ縄飾りもあるし、それを選ぶのは楽しいです。

「必要なものは手に入る」というのは生きるために必要なもの、という意味でもありますが、「楽しいと思って手にとるもの」は自分にとって必要なものなんじゃないかなということでもあります。

誰かから評価されるためにやるのではなくて、自分が快適で楽しいからやること。それが本当はなんなのかを見極めるのは、実は結構難しいです。なぜなら「評価される」のは嬉しいから。家の掃除をしながら、いつも「これは自分が快適になりたいからなのかな? それともキレイな家だと誰かから評価されたいから?」などと考えてしまうのですが……。

なんだか、そういうのって、心の掃除みたいだなあと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。