「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第169回のテーマは「親から荷物が来る家庭? 来ない家庭? 」です。

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40代にもなったので、さすがに自分のことを「大人」だな……と思うことがあります。

パートナーの娘(私の息子の異母姉)がひとり暮らしを始めることになり、我が家のちょっとした使っていないものをあげることになりました。その準備をしているときに、「うわ~、こういうことを自分がやる側になったのか」と衝撃を受けました。

私の息子が実際にひとり暮らしするのはまだまだ先ですが、地方に住む姪が泊まりに来たときや、パートナーの子が独り立ちするときなどに、ちょっと先取り体験ができているのはありがたいなと思っています。

ちなみに私は短大卒業後20歳で家を出て以降、自活しています。仕送りをもらった経験はなく、いわゆる“オカン便”のような実家から来る荷物を受け取ったこともありません。

私の中で「実家から荷物が来る」というのは、遠方で簡単に行き来ができないので、地元のものとかを親が送ってくれるというイメージです。私の実家は電車で1時間の距離なので行き来は簡単にできるし、親とは都内で一緒に買い物したり食事したりもできる距離なので、「ものを送る」という経験はありませんでした。

パートナーも実家からものが届くことはあまりなかったということで、我が家にはどちらの実家からもなにも送られてきません。ちなみに義妹はよく、北九州ローカルのラーメンなど、地のものを送ってくれます。お互いの住んでいる土地のものを送りあうのはいいですよね。義妹と私は趣味が似ているので、東京の「地のもの」として好きなマンガ家さんやイラストレーターさんの個展会場のみで販売しているグッズなどを送っています。これも東京みやげ……!

パートナーの娘にものを送ったときに、私は息子が自立したら荷物を送るのかな……? とか考えてしまいました。自分が送られたことがないから、送るイメージがないんですよね。そして今どきは家電とかなんでも通販で買って送れるので、必要なものがあったら通販サイトで買って送るという流れになりそうだな~と思いました。とはいえ、息子が海外に行ったら「日本のもの」を頻繁に送ったりすることはありそうです。

私は妊娠したときから、心に決めていることがあります。「自分が死ぬまで母親であること」に執着したくないということです。というのも、自分が世話焼きしたがりのタイプであることを自覚しているからです。

もちろん小さいうちはある程度子ども優先の生活にはなりますが、子どもが自分でいろいろと決められるようになったら、子どもは子どもの人生を、自分は自分の人生を大事にしたいと思っています。

思春期以降に進路を勝手に決めたり、自分の理想を押し付けたり……そういったことをやらない親になりたい。本人がやりたいことをやってほしいいし、サポートはしても指示はしない親になりたいのです。なので、私が「オカン便」を送るとしても「私が与えたいもの」じゃなくて「本人が欲しいもの」をあげたり送ったりしたい。

子どもが家から巣立つときは絶対に寂しいと思うのですが、その日が来るのを怯えないために、いろいろと備えたいなと思っています。パートナーは離婚して子どもたちと離れたとき、孤独すぎて「このままでは自分は死んでしまう」と思ったそうです。大げさではなくて、実際にメンタルの健康が阻害されると命に関わります。子どもと離れるのは、親にとっても一つの試練なんですよね。

なので、私はそれに備える意味でも、夫婦の信頼関係を盤石にしなければ……と思っています。子どもを夫婦でにこやかに送り出せるようになりたい。なので、自分やパートナーよりも子どもを最優先して生きてしまうと、子どもが離れていくときに快く送り出せない親になってしまうんじゃないか。自分の存在意義の全てを「子どものため」にしてしまうと、子どもが大人になったときに自分の中に何も残らなかったらどうしようと不安になります。

なので、私は自分の仕事を手放さないし、パートナーとの関係も諦めたくない。趣味も友達も大事にしたい。子どもが巣立つのを阻害しないようにしたいし、阻害しないとしても子どもが巣立ったあとに抜け殻みたいにもなりたくない。子どもと同じくらい自分の人生を大事にしたいと考えています。

子育て期間は20年くらいだけど、人生はその後もまだまだ続いていく。だからその先の人生のこともしっかり考えないといけない。……と思ったのですが、パートナーの娘の独り立ちの話を聞いていたら、「大人になったらなったで、サポートの仕方が変わる」ということがわかってきました。

本当の意味での「大人」になるために、アドバイスすることもサポートすることもたくさんあるんですね。「子育ては20年くらい」と思っていた考え方がちょっと変わりました。子どもが成人しても、その後「大人として自立」するためには、なんだかんだと先達としてのサポートは必要なのかもしれないなと思いました。

ちなみに先日私は自分の経理と税金のことでわからないことがあったので、80代の父親に電話でアドバイスをもらいました。私はまだ親の世話をする側じゃなくて、元気な親の世話になっている40代なのでした……。息子が大人になっても、息子にとっていい親になりたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。