「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第168回のテーマは「ネガティブワードはやめてほしい」です。

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うちのパートナーは、僻みっぽいことをよく言います。第31回「夫婦って面白い」でも書いたのですが、本人的には冗談のつもりで言っているとのこと。でも、その手の発言は思考の癖になるのでやめたほうがいいよと言って以来、比較的減っています。

そうは言っても、そんな簡単に変われるわけではありません。なので未だに夫婦の会話でも「ずるい」みたいなことを言われることがあります。そして最近一番ストレスになりがちなのが、甘いものについてです。

息子はあまり“知らない食べ物”に興味がなく、息子の分をわざわざ買っても食べないことが多いので、好物以外はあまり買いません。なので我が家では、大人が1人で甘いものを食べているということはよくあることです。

それを見て、「1人で食べてずるい」と言うのと「それいいなあ、ちょっと食べさせて」と言うのでは違いますよね。パートナーは前者、私は後者のセリフを言うタイプです。

私は「ちょっとちょうだい」と言えるタイプなので、「1人で食べてずるい」と言われれば「じゃあ半分食べる? 」と言うのですが、パートナー的には食べている途中で人から「ちょうだい」と言われるのが嫌いなので言わないそうです。この辺は、価値観の相違なのでどちらが正しいという話ではないと思います。

私は「1人で食べてずるい」と言われたら、次の機会には2つ買います。そして、自分が食べるタイミングで「一緒に食べる? 」と聞きます。でも、そうすると「なんで1人で食べないの? なんでオレを道連れにするの? 」とか言われるのです。1人で食べてたら「ずるい」。2つ買っておすすめしたら「道連れ」。どっちを選んでもバッドエンド。こっちからすると、「何言ってんのこの天の邪鬼……」となりますよね。

確認したら、本人の中では「平日は太りたくないからなるべく食べない」「週末は楽しみたいから食べる」というルールがあると言われました。「じゃあ、平日に私が1人で食べててもいいってことだよね? 」と聞くと、「1人で美味しいものを食べているのを見ると『オレにも声かけてくれたっていいのに』と思う」と言われました……。た、食べないのに?!

「楽しいことをしているのに誘われないのは寂しい」のだそうです。いや、こっちはせっかく2つ買ったのに「いらない」と断られたくないし、「しょうがないな」とイヤイヤ食べてもらうのもイヤなんですけど……。

つまりバッドエンドを避けるためには、「平日は見つからないようにこっそり食べる」「週末は一緒に食べる」のが正解ということになります。だけど、私としては「ネガティブなコミュニケーションはしないでくれ」というのが本音です。

ネガティブなコミュニケーションを許容されることを、「親しさ」だと思うことって、ありますよね。私の親がわりとそうだったので、私の中では「昭和仕草」ではないか? と思っています。昭和の頃の子育てって、「褒めたら調子に乗る! 」みたいな考えがあって、「脅し」が多かったように思います。そして、身内以外には絶対言わないのに、すぐ「太った? 」「痩せなさいよ」などと言う。かといって、それは上からしか許されず、こちらから言うことは許されない……。

そういうのって「関係性の甘え」だと思うんですよね。パートナーの行動も同様に、「ネガティブに言っても許される」という甘えに見えます。ある程度は親しさとして許容できても、度を超えていたり頻繁だったりすると言われるほうは疲弊します。

私も全くやらないかと言えば、そんなことはありません。最近パートナーはダイエットが成功して痩せたので、「あなたばっかり痩せちゃって、私が比較して太ってみえる」とか「ダイエットもうしなくていいよ~」とか言っていたら、「自分も痩せるか、痩せたことをネガティブに言うのをやめて」と言われてしまいました。

本気でダイエットをやめて欲しいわけではなくて、「ダイエット成功していいな~」と思った気持ちを相手にネガティブに伝えてしまったのですが、それってやっぱり甘えだな……と思いました。

家族ならお互いある程度の甘えは許容されたいし、許容したい。でも、それがストレスにはなってはいけない。「ずるい」などは冗談で言いがちだけど、ネガティブワードのコミュニケーションは、冗談でもやりすぎると言われたほうが疲れます。とくに私は言われたことをかなり真に受けるタイプ。パートナーに「ずるいっていうのは冗談だよ」と言われても、真に受けて行動まで変えてしまいます。気を使って行動を変えてから、「それは意味のない言葉だ」と言われても、意味がわからなくて傷ついてしまう。

私は、ネガティブワードで育てられたことで自己肯定感が下がったという自覚があるので、子どもには絶対やらないようにしています。ネガティブワードは使い出すと癖になってしまうので、甘えるならポジティブワードでの甘えができるように意識していきたいと思っています。

ネガティブワードとは別に、我が家の「甘いもの供給バランス問題」。この前は2人ともお互いの分の甘いものを買ってきてしまいました。気を使ってバッティングすることもあります。「食べたいタイミング」「食べたいもの」「食べたい量」などなど、夫婦間で相違があるのでしばらく調整が続きそうです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。