今回は、コロナの影響で夫の年収が120万円ダウン、貯金ができなくなり老後資金が心配だという49歳の女性からの相談です。 女性のお金の専門家・ファイナンシャルプランナーの山根純子さんがアドバイスします。
◆相談者さんのプロフィール
相談者
相談者 かなえさん(仮名)
女性/パート/49歳
家族構成
夫(会社員/52歳)、子ども1人(17歳)
◆お悩み
夫の勤め先の業績がコロナの影響で悪化し、昨年からボーナスがカットされています。年間120万円のダウンで、貯金がほとんどできなくなりました。
日々の支払いはカード払い中心です。家計簿は付けていないので、何にいくら使っているか細かいところを把握していません。
コロナが流行る直前に、長年の夢だったエステサロンを自宅で開業しました。軌道に乗れば、パートを辞めてサロンに専念する予定が、思うように売り上げが伸びません。
今後、老後のお金をどのように貯めればいいかを教えてください。
◆かなえさんの家計収支
収入
支出
現在の貯蓄額
月収は手取りで55.1万円(夫婦合算)。
月の支出はカード払いが15万円、現金払いが4.6万円、住宅ローンが10万円、住宅維持費が3.5万円、車両費が2.6万円、電気・ガス・水道料金が2.3万円、通信費が1万円、教育費が2.8万円、医療費が3,000円、保険料が4.5万円、夫の小遣いが5万円、デパート友の会が5,000円、定期預金が1万円、持ち株会が2万円となっています。
貯蓄は定期預金が400万円、普通預金が100万円、大学進学費用として貯めている普通預金が別途500万円、持株会は不明で、合計するとわかっているだけで1,000万円です。
妻の収入について
子どもの大学卒業までには退職したい。パートは社会保険の扶養から外れないように調整をしている。エステサロンは、機器のローンもあり利益はない。
夫の収入について
勤務先がコロナの影響から回復するには時間がかかりそう。夫もお小遣いを半額に減らすなど協力してくれてはいる。また、退職年齢がわかっておらず、夫からは「退職金はないと思っていてほしい」と言われている。
子どもの進学について
現在、私立高校3年生。自宅から通える私立4年制大学理系学部への進学を希望。学費500万円は準備済み。
老後資金について
年金は夫・月約15万円、妻・約10万円の計25万円の予定。生命保険の生存給付金が計260万円受け取れる。
現在の貯蓄のうち老後資金にできるのは500万円。持株会については、夫の管理で現在価格は不明。
◆FPからのアドバイス
現在のかなえさんの家計は、ちょっぴりメタボ家計。老後に必要なお金は、どこまで生活費をスリム化できるかで大きく変わってきます。
総務省の家計調査によると高齢者夫婦の生活費の平均は月約26万円。ゆとりある老後生活を送るには、約36万円必要と考えられています※。
その間を取って老後の生活費を月31万円、ご主人の定年が65歳と仮定すると、年金や貯金等を差し引いた30年分の生活費1400万円を12年間で貯める必要があります。
※(公財)生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」より
アドバイス1: 先取り貯金で確実に貯める
まずは、先取り貯金で確実に貯金を増やしましょう。
積立定期預金など、設定しておけば自動的に貯まる仕組みの預金を使うと便利です。iDeCoやつみたてNISAなどのお得な制度を利用して投資を始めるのもいいでしょう。
幸い、教育費は準備できているので、これからは「貯め時」になります。お子さんが大学生のうちは月2万円、卒業後は月5万円を目標とします。合計で576万円。積立金は、支出を減らすことで確保します。
現在の支出の細かい内訳はわかりませんが、固定費以外のカード払いと現金払いで計約20万円。総務省の家計調査によると、3人家族において、これらの項目の合計額の平均は約14万円なので、減らす余地は十分にありそうです。
削れる出費を見つけるには、カードの明細やレシートを確認して振り返るのが効果的です。
アドバイス2: 収入アップを目指す
現在かなえさんは、扶養内で働くことを意識されていますが、「扶養を外れて働く」「長く働く」ことも考えてみてください。仮に手取りを月2万円増やし65歳まで働けば408万円用意できます。
さらに、夫婦それぞれが65歳以降も5年間アルバイトなどで手取り年42万円の収入があれば420万円のプラスとなり、収入アップによる貯蓄は計828万円となります。先取り貯金と合わせれば老後資金の1400万円を用意できる計算です。
エステサロンを開業し、やりたい仕事を続けられる環境をすでに整えられているのはとてもいいですね。生涯現役も可能なので、ぜひ売り上げアップを目指してください。
◆相談者さんからのご感想
コロナの影響で貯金ができてない状態を「仕方がない」と思っていました。頑張れば何とかなりそうとわかってホッとしました。早速、先取り貯金に取り掛かろうと思います。 ありがとうございました。