次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第76回は「植物性ヨーグルト」。

  • 植物性ヨーグルトの種類はいろいろ。写真はマルサンアイの「豆乳グルト」

「植物性ヨーグルト」って何?

近ごろ、プラント(植物性由来)の食品を中心とした食事スタイル「プラントベース」が注目を集めており、肉や乳製品を植物由来の原料で代替した商品が増えている。

ヨーグルトもそのひとつ。一般的なヨーグルトは牛乳と乳酸菌で作るが、これを豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルクなど植物性由来の原料に置き換えたのが植物性ヨーグルトだ。

豆乳を使った植物性ヨーグルト「豆乳グルト」を2010年から販売しているマルサンアイ開発統括部・マーケティング室の河合美琴さんは、「発売当初は乳アレルギーをお持ちの方やそのご家族が主なユーザーでしたが、次第に健康志向の強い方やトレンドに敏感な方などにもお買い求めいただけるようになりました。今では乳のヨーグルトとの垣根が徐々になくなりつつあり、ヨーグルトの選択肢のひとつとして選ばれるようになってきたと感じております」と話す。植物性ヨーグルトの市場は右肩上がりで成長中だ。

「植物性ヨーグルト」はどこで食べられる?

植物性ヨーグルトは、スーパーの棚で簡単に見つけられる。

  • 左からマルサンアイ「豆乳グルト」(270円/400g)「国産大豆の豆乳使用 豆乳グルト」(302円/400g)

もっともポピュラーな植物性ヨーグルトは、豆乳を原料にしたもの。マルサンアイの「豆乳グルト」は、2010年4月に発売されたロングセラー商品。当初は地域限定販売だったが、次第に全国へ販売エリアを拡大。2018年10月には国産大豆を原料にした濃度の高い豆乳を使った「国産大豆の豆乳使用 豆乳グルト」も発売し、2021年11月20日時点でシリーズ累計3900万個を販売している。

いずれも100%豆乳のみを使ったヨーグルト。色はややベージュがかっており、味わいは豆乳らしい甘さや旨み、そしてヨーグルトらしい酸味もしっかり感じられる。口当たりはなめらかで、ほどよいねっとり感がある。「国産大豆の豆乳使用 豆乳グルト」のほうがより大豆感が強い濃厚な味わいで、食感が豆腐に近い。

同商品は豆乳を発酵させるための乳酸菌も植物由来にこだわっており、長野県木曽地方の伝統発酵漬物「すんき漬け」から発見された「植物由来の乳酸菌TUA4408L」を使用。豆乳中の有効成分である大豆イソフラボンを吸収しやすいアグリコンに変換する働きがある。

「この乳酸菌を見つけるまでが一番大変でしたが、その他にも使う大豆や豆乳の固形分のパーセンテージ、発酵温度や時間など、さまざまな条件を考慮し、試行錯誤を重ねて開発しました」(河合さん)

そのまま食べるのはもちろん、バナナやはちみつと合わせるのもおすすめとのこと。

「植物性ヨーグルト」を食べてみた

今回は今年発売された植物性ヨーグルト2種を実食レポートしよう。

  • 「GreenBioアーモンドミルクヨーグルト プレーン無糖」(410円/350g)

まずは、ポッカサッポロフード&ビバレッジが、2021年9月に発売した「GreenBioアーモンドミルクヨーグルト プレーン無糖」。アーモンドペーストを使用したアーモンドミルクを、4種の生きた乳酸菌で発酵したアーモンドミルクヨーグルトだ。

1パックに約38粒分のアーモンドが含まれており、1日分のビタミンE(※栄養素等表示基準値より)と乳酸菌、さらに食物繊維も一緒に摂取できる。

色はアーモンドミルクが原料であることを感じさせる薄い茶色。なめらかで、かなりとろ~りとした食感。味わいはコクがしっかりあり、後味にアーモンドの風味もある。酸味はほのかに感じる程度なので、ヨーグルトの酸味が苦手な人も食べやすいはず。

開発の背景について、「すでに海外では植物性ヨーグルトについて、さまざまな素材のヨーグルトが展開されています。日本においても植物性ミルク市場では豆乳に次いでアーモンドミルクが市場拡大しており、それ以外にもオーツミルクなど選択肢が広がっています。日本の植物性ヨーグルト市場においても上記のトレンドがおきると考えており、素材の選択肢を広げることで、市場の活性化を目指しています」とポッカサッポロフード&ビバレッジ レモン・プランツミルク事業本部の小笠原千春さん。

プレーン無糖なのでアレンジ自在。シリアルと一緒に食べたり、ナッツを入れたりするのもおすすめとのこと。発売したばかりだが、30~40代の女性を中心に人気を集めているそうだ。

  • 「ココナッツヨーグルト」(386円/250g)

続いては、フルッタフルッタが2021年7月に発売したココナッツミルクの植物性ヨーグルト「ココナッツヨーグルト」。同社では2018年に前身となる「ココナッツグルト」を発売しているが、今回リニューアルで個食タイプから250gにサイズアップ。パッケージも刷新した。

まず、色が真っ白でとてもきれい。そして食べる前からココナッツミルクのいい香りが鼻をくすぐる。口に入れると、ココナッツミルクの濃厚な味わいが広がり、ほのかな酸味の後味が残る。食感はふわっとなめらかで、口の中で溶けるように消えていく。デザート感もあるヨーグルトだ。

低糖質で、ココナッツミルク由来の中鎖脂肪酸(MCTオイル)を含むのが特長。中鎖脂肪酸は効率良く短時間でエネルギーになるため、朝食時や運動前後に摂取するのがよいといわれる。一般的なココナッツミルクは安定剤・乳化剤・保存料・酸化防止剤・漂白剤が使われることが多いが、いずれも無添加。甘味料・着色料・増粘剤も不使用だ。

商品は本州・四国のイオン・イオンスタイル店舗(一部除く)での販売。「店舗によっては入荷後すぐに売り切れることも。SNSではヴィーガンや乳アレルギーの方などの口コミも広がっています」とフルッタフルッタ広報の松田恵子さん。スイーツの材料としても使いやすく、この商品を使ってヴィーガン対応のレアチーズケーキやティラミスに挑戦している料理家もいるそうだ。

気分や好みで食べ分けられる植物性ヨーグルト。話題のプラントベースフードを、まずは身近なヨーグルトから取り入れてみては?