次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載ではビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第26回は「スパイス飲み」。
「スパイス飲み」って何?
近年、カレーやエスニック料理店だけでなく居酒屋などでも積極的にスパイスを使った料理を提供し、お酒と合わせることが多くなってきている。またスパイス料理に合わせるなら、従来は軽い味わいのアジアンビールなどが定番だったが、最近は味わい豊かなクラフトビールやワインなどを合わせることも増えてきた。スパイス料理をつまみにお酒を味わう、それが最近話題の"スパイス飲み"だ。
ぐるなびは2019年1月に、「2019年の『グルメトレンド』を編集部が大予想! 今年注目のグルメキーワードはこれだ!」企画の中で、「量り売りビール」や「ラム肉ブーム」などと一緒に「スパイス飲み」がトレンドになることを予測した。それを受けて、「スパイス飲み」特集をお届けするメディアも増えてきている。
「スパイス飲み」はどこで味わえる?
基本的にはスパイス料理とお酒の組み合わせであれば、「スパイス飲み」ではあるので、さまざまな飲食店で味わえるし、自宅で「スパイス飲み」ももちろん可能だ。
全国にグループで約500店舗を展開している飲食企業DDホールディングスでは、今年の夏は「スパイス飲み」を打ち出した。クミン・コリアンダー・ナツメグなどのメジャーなスパイスからガランガル・フェネグリークといった普段あまり目にすることのない珍しいスパイスまで使ったスパイス料理を全20種類、全国67店舗において提供した。
グループ広報担当の重田委久子さんによると「夏にスパイス飲みのフェアを実施したのは今年が初めてで、王道のエスニックやスパイスカレーはもちろんオシャレなスープやスイーツまでスパイスをきかせ、料理の幅を楽しんでいただけたようです」とのこと。
それを受けて今冬は、フレッシュなスパイスを楽しむ「生スパイス鍋」や「辛旨スパイス鍋」など、全国32店舗で23種類の「スパイス鍋」を提案中だ。
「スパイス飲み」を体験してみた!
都内にあるタイ料理店「クルン・サイアム」と「オールドタイランド」の10店舗では、タイ料理店としては珍しい、スパイス料理とワインのペアリング企画を10月1日から実施している。さっそく「スパイス飲み」を体験!
青パパイヤの代わりにパクチーの天ぷらを使った店のオリジナルソムタム。人参・トマトなども使い、辛みの効いた甘酸っぱさがおいしい。筆者はタイ料理にはこれまでビールを合わせていたが、今回は店でペアリングとして提案しているスペインの白ワインを合わせてみることに。
タイワインのように甘めのワインかと思いきや、すっきり辛口。ソムタムには柑橘類を使っているのだが、ワインにも柑橘のようなフレッシュなアロマがあってすごくよく合う。このワイン、ソムリエの渋谷康弘さんが魚介や野菜に合うようにプロデュースした限定ワインだそう。軽やかなワインなので、辛い料理でもスイスイ飲めるのが良いところかも。このペアリングは11月30日まで提供とのこと。
12月1日からは鍋とワインのペアリングを提供するそうで、こちらも一足早く試食させていただくことに。「チムチュム」というタイの東北地方の鍋は、パクチーラオ(ディル)というハーブが山盛りで爽やか。豚バラ肉やフィッシュボール、白菜などが入って、タイの生姜やレモングラスなども使っているので酸味がきいている。
店のオススメのニュージーランドの白ワインを合わせるとすっきり辛口で、鍋の酸味やハーブの香りと見事にマッチ。「辛いのが苦手だけど、スパイス飲みは体験してみたい!」という人にもオススメの辛くない爽やかな味わいだった。
今年のトレンド「スパイス飲み」。飲食店では生スパイス鍋なども登場しており、珍しいペアリングも増えている。この機会にいろんなスパイス料理とお酒を組み合わせて、今年らしい美味しさを新発見してみては?
※価格は全て税込