次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第21回は「夏鍋」。

  • 「赤から」の夏鍋「スパイシー赤カレー鍋」は夏野菜たっぷり

「夏鍋」って何?

冬に人気のアツアツ鍋料理。夏場は売れ行きが落ち込みがちな鍋料理だが、近年、飲食店や鍋スープのメーカーなどが、「夏場こそ鍋!」と趣向を凝らした鍋を続々と提案している。例えば、ヤマキやモランボンなどの公式ホームページをのぞくと、白菜の代わりに夏野菜を使った鍋や、夏らしいカレー味の鍋など、さまざまな夏鍋が特集されている。

調味料などを販売しているイチビキでは、夏場の鍋スープの売上が5年前と比較したところ200%を超えるというデータまであるという。大手レシピサイトのクックパッドでも、「夏鍋」や「夏の鍋」というキーワードのレシピがこの時期に目立つ。

冷房の効きすぎで体調を崩しがちな女性や、連日猛暑で夏バテ気味のビジネスマンなどが、夏にあえてアツアツの鍋を食べることで、体を芯から温め、血液を全身に行き渡らせ、体調を整えるという人が増えているようだ。鍋は野菜や肉などたくさんの栄養素を一度にバランスよくたっぷり摂ることができるし、外食だとみんなで鍋を囲んで盛り上がれる点も魅力になっている。

「夏鍋」はどこで食べられる?

夏鍋を提供している飲食店は増加中だ。例えば、全国に350店舗を展開している「しゃぶしゃぶ温野菜」では、5年前から毎年、ユニークな夏鍋を提案している。今年は9月11日まで、「三色とろろの"ふわとろ夏鍋"」というとろろを使った3種類の鍋を提供。

「とろろにはビタミンCが含まれており、夏バテ防止に適した食材です。お肉や野菜をとろろと一緒に召し上がっていただくとスルッと喉越し抜群で、食欲減退の時期でも食が進みます」とレインズインターナショナルの温野菜MK部 坂本亜希乃さん。しかも、そのとろろに入っている"白くまコラーゲンが可愛すぎる!"と、とても話題だ。

  • まるで白くまがとろろのお風呂に入っているような見た目が可愛らしい

鍋は酸味のきいた「塩レモン」、花山椒のシビれる辛さが魅力の「麻辣」、爽やかな香りの「バジル」の3種。お肉や国産野菜、おつまみなどは食べ放題だ(1人前2,980円~)。可愛らしい白くまコラーゲンをとろろと一緒に鍋スープに入れると、少しずつ溶けて沈んで消えていってしまう。そんな白くまの姿がなんともはかなく切ない。思わずスマフォで撮影して、SNS投稿してしまう人が続出なのだ。筆者も試食したのだが、個人的にはとろろはタレ代わりにして、具材を付けて食べてもトロトロ食感が楽しめて美味しかった。

他には「薬膳レストランkampo's」(東京・銀座)では「旨辛×酸味の夏の薬膳鍋」(3,800円)という夏のダイエットにオススメの薬膳鍋も提供している。

「夏鍋」を食べてみた!

昨年より「夏鍋プロジェクト」を始動している居酒屋「赤から」では、今年は「スパイシー赤カレー鍋」や「氷鍋」、「麻辣赤から鍋」「トマチー赤から鍋」など4種の夏鍋を提供している(8月31日まで)。

さっそく「スパイシー赤カレー鍋」1人前1,290円(2人前から提供)を実食(冒頭の写真参照)。グツグツと煮込まれたカレー鍋からは、香ばしくて甘いスパイスの香りが。一気に食欲がそそられる。

  • 「スパイシー赤カレー鍋」の〆はチーズリゾットがおすすめ

ナスやトマト、ヤングコーンなどの夏野菜に豚バラ肉、名古屋コーチンつくねなども加わってボリューム満点。同店の看板メニュー「赤から鍋」にも使われている名古屋味噌を使ったオリジナルの赤からスープに、クミンやガラムマサラなどのスパイスも入って奥深い味わいだ。辛さは3番をセレクトしたらちょうどいい辛さで、クセになる味わいだった。ちなみにスープの辛さは0~10番まで選べる。そして〆はチーズリゾット。チーズのまろやかなコクと赤からカレー味の相性が絶妙で、あっという間にたいらげてしまった。

  • 赤からの「氷鍋」990円。1人前から提供可能

「赤から」の夏鍋といえば「氷鍋」も有名。今年はタピオカが大流行しているので、同じようなプチプチした食感の"水玉子"を氷鍋にのせたという。こちらも実食。具材はトマト・ナス・キュウリ・蒸し鶏・えび……そして冷麺も入っている。それらの上にたっぷりとクラッシュアイスが盛られ、3色の水玉子が彩りよく散らされている。卓上でトマトベースの冷たい赤からスープを店員が注ぎ入れてくれると、あっという間に白い鍋が赤い鍋に早変わり。思わずスマフォで動画撮影したくなるメニューだった。

お味は盛岡冷麺のようなスッキリとした美味しさ。野菜たっぷりでヘルシーなので、「スパイシー赤カレー鍋」の後でもぜんぜん重くない。3色の水玉子はそれぞれ、赤からスープ味(赤)、レモン(黄)・わさび(緑)なので、口の中でプチプチと弾けるたびに味のアクセントになって食べ飽きない。また、添えられているえび味噌をかけると、香ばしさが増して"味変"も楽しめた。こちらも辛さは1番・3番・5番から選べる。

外気と冷房の寒暖差でなんとなくだるい、夏の疲労が蓄積してきた、と感じている方、今だけの夏鍋で楽しく体をリセットしてみてはいかがだろうか。

※価格は全て税別