次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第17回は「タピ活」。

  • 「タピ活」

    「THE ALLEY」のタピオカシリーズ

「タピ活」って何?

近ごろ、街で行列を見かけると、その先にはタピオカドリンクを出す店があることが多い。タピ活とは、タピオカドリンクを飲む活動を指し、SNS投稿のハッシュタグとしてよく使われている。

タピオカドリンクは、タピオカ入りの飲料のこと。タピオカはキャッサバという芋のでんぷんを小さな粒状にしたもので、もともとは無色だが、カラメルなどで黒く色付けされているのが一般的だ。それを紅茶などの飲料に入れて、極太のストローで吸い上げて飲む。ベースのドリンクはいろいろあるが、定番はミルクティーだ。

「タピ活」はどこでできる?

タピ活ができる、すなわちタピオカドリンクが飲める店は増えている。タピオカドリンク専門店のほか、最近では一般的なカフェでも提供。また、多いのが台湾ティーの専門店で、トッピングや味のバリエーションとしてタピオカを用意している。タピオカミルクティーは台湾生まれだが、ブームをけん引している2大人気店「ゴンチャ」と「THE ALLEY」(ジ アレイ)も台湾発祥の店だ。

  • ゴンチャ「ブラック ミルクティー+パール」

「ゴンチャ」は2015年に日本に上陸したティーカフェ。タピオカをトッピングのひとつとして用意しているが、ほとんどのメニューに追加でき、客の約8割がトッピングするという人気ぶり。一番人気は紅茶をベースにしたミルクティーにタピオカをトッピングした「ブラック ミルクティー+パール   Mサイズ」(税込529円)だ。

「香り高いお茶そのものの美味しさと、トッピング・甘さ・氷の量など豊富なカスタマイズを楽しんでいただける点が受け入れられているのだと感じます」と広報担当者。

2017年に日本に上陸したティースタンド「THE ALLEY」も、いつも行列の人気店。なかには1時間近く行列ができる店舗もある。こちらもタピオカドリンク専門店ではないが、客の9割がタピオカの入ったドリンクを注文するという。

「THE ALLEY」は味だけでなく、鹿のかわいいロゴも話題。「創業者が元デザイナーということもあり、おいしいことにプラスしてデザイン性の高いドリンクを提供することで、見て楽しい、飲んでおいしいドリンクを実現しています」(同店を運営するポトマック広報の中島里奈さん)

2店ともこだわりの茶葉を使ったお茶のおいしさも人気の理由。女性客が多いが、最近は男性も増えているそうだ。

「タピ活」を体験してみた

実際にタピ活を体験してみた。向かったのは、6月3日に東京・自由が丘にオープンしたばかりの「印茶(いんちゃ)」。中国を中心にアジアや北米など世界に200店舗以上を展開するも台湾発祥のティー専門店で、自由が丘が日本1号店だ。

  • 印茶。大きなクマのぬいぐるみは絶好の撮影スポット

ガラス張りの店内は白とゴールドですっきりまとめられ、北欧風のオシャレな雰囲気。オープン当日の午後3時過ぎに行ってみると、すでに満席。ひっきりなしに客がやってくる。学生風の若い女性がもっとも多いが、男性や年配の女性、小さな子どもと母親の姿なども。

メニューは30種類以上あり、「タピオカミルクティー」や「黒糖タピオカミルク」など、あらかじめタピオカが入ったメニューが充実。また、タピオカなしのメニューについても、すべて追加でトッピングできる。

  • 印茶「黒糖タピオカオレオミルク」(税別650円)

今回は「黒糖タピオカオレオミルク」をオーダー。黒糖タピオカと牛乳、それに砕いたオレオクッキーが入っている。黒糖タピオカとは、ブラックタピオカを黒糖で煮込んだもの。温かな黒糖タピオカがドリンクと混ざるときれいなマーブル模様ができる。

飲んでみると、やさしい甘さの黒糖タピオカとおなじみのオレオクッキーが同時に口の中に入ってきて、新感覚の不思議な味わい。オレオクッキーのほろ苦さは、ミルクの上品な味にも絶妙にマッチ。黒糖タピオカのもちもち感とオレオクッキーのサクサク感という食感のコントラストも楽しい。食べ応えもあり、ちょっとしたデザート感覚で楽しめる。

タピオカドリンクの店はテイクアウト専門のスタンドも多いが、印茶はイートイン用の席も完備。「食べ物の提供はしていませんが、持ち込みは可能です。ショッピングの合間にひと休みしたり、おしゃべりを楽しんだりしてほしいですね」と印茶店長の中国人女性キキさん。一人でもゆっくりくつろげるので、タピ活初心者にもおすすめ。メニューにはプリンやチーズクリームなどユニークなトッピングもあり、みんな好みのスタイルでタピ活を楽しんでいた。

タピオカドリンクを気軽に飲める店は、これからもますます増える気配。男性の間でもタピ活がポピュラーになる日はそう遠くないかも。