会社員や主婦の副業として利用者が増加している「クラウドソーシング」。登録から案件探し、応募までオンライン上で簡単に完結するとあり、ここ数年、大変な人気を集めています。そんなクラウドソーシングですが、副業として行う場合はどのくらいの収入が見込めるものなのでしょうか。

  • クラウドソーシングで副業、どのくらい稼げる?

    今話題のクラウドソーシングってどんな仕事?

クラウドソーシングとは?

クラウドソーシングとは、企業などがオンライン上で不特定多数の人に仕事を依頼することを言います。「ランサーズ」「クラウドワークス」などが代表的ですが、こうしたサイトに発注者(クライアント)もしくは受注者(ランサー)として登録すれば、業務を依頼したり、仕事に応募して請け負ったりすることができます。

クラウドソーシングサイトでは、実に幅広い案件が掲載されています。ライティング(記事作成)やデータ入力などのほか、サイト作成、アプリ開発、イラスト・ロゴ作成、翻訳、テープ起こしなどさまざまな仕事が登録されています。パソコンで完結するものがほとんどですが、中には覆面調査や出張カメラマンなど、外出が必要になるものも含まれています。

パソコンでできる作業であれば、拘束時間はとくに指定されず、比較的自分で調整することができます。たとえば会社員なら、帰宅後の平日1~2時間や休日を利用してできる範囲の案件を選んだり、主婦なら、「平日4~5時間は時間を作れるけれど、休日は家族優先なのでお休み」といった働き方も可能です。

どれくらいのスキルが必要?

クラウドソーシングを始めるために、必要なスキルはあるのでしょうか。募集案件を覗いてみると、たとえばライティングの場合、未経験者でもできるものもあれば、その分野の専門知識や資格を有した人でないとできないものもあります。一方、翻訳やサイト作成などは、特別な知識やスキルが必要となります。

また、クラウドソーシングでは、案件を数多くこなし、実績や評価件数の多い人のほうが仕事を受注しやすい傾向にあります。そのため、特別なスキルがない場合は、はじめのうちは経験を問われない低単価の作業を積み重ねることも、収入を上げていくためには必要です。

では、始めるために必要なコストを見てみましょう。まず、クラウドソーシングサイトに登録するだけなら、費用はかかりません。あとは、インターネット環境の整ったパソコンが1台あれば、基本的にはお金をかけることなく、すぐに仕事が始められます。特別なソフトなどが必要な場合もありますが、募集の段階で明記されているか、不明な場合はクライアントに問い合わせれば回答してもらえますので、新たなコストがかかる仕事を避けることもできます。

また、実績が少し積み上がってきたところで、新たなスキルを得るため資格を取得する、高度な作業のできるソフトを購入するなど、徐々にコストをかけて受注単価を上げていくのも賢いやり方でしょう。

見込める収入はどれくらい?

案件の多さや気軽さが魅力のクラウドソーシングですが、やはり気になるのは収入ですよね。クラウドソーシングサイトで募集されている仕事には、1件数十円のデータ入力などから、1件数万~数十万円単位のプロジェクトまであり、どのような依頼を請け負うかによって収入は大きく変わります。特別なスキルがない場合は作業単価が低くなり、スキルや実績がある場合は作業単価が高くなります。

たとえばライティングは、専門知識を問われない内容であれば、1文字あたり0.5円やそれ以下の案件も多くあります。2000字の記事を1本書いて報酬が1000円や数百円だとすると、文章を書く速さにもよりますが、アルバイトの最低賃金を割り込んでしまう可能性もあります。専門知識や実績を重視する内容の場合、これよりも高い報酬で募集されています。

そのため、スキルや得意分野があるなら、自分の能力を発揮できる仕事を選んだほうが多くの収入を見込めるでしょう。英語ができるなら翻訳、ウェブの知識があるならサイト作成やシステム開発、SEOなどという具合です。会社員の副業であれば、単価の低いものを多くこなしていって月5万円くらいまで、単価の高い作業を受注したり、要領を得て作業効率がアップしたりすれば月10万円くらいまでにはなりそうです。

クラウドソーシングの将来性

オンライン上で簡単に仕事のマッチングができるクラウドソーシングは、仕事を発注する側、受注する側ともに年々増加しています。企業としては、コストのかかる専門業者に頼むより、スキルのある個人に依頼したほうが費用を抑えることができますし、ランサーとしても、自分で募集を探すのは難しい案件でも、クラウドソーシングサービスを利用すれば、すぐに見つけられるようになりました。今後も、クラウドソーシングは市場規模を拡大していくと予想できますし、副業として将来性のある仕事と言えます。

一方で、ランサーの参加者が急増したことで、単価の高い仕事は応募の競争が激化したり、よりスキルのある人が優先されたりして、必ずしも受注できないことが増えていく可能性があります。クラウドソーシングで一定の副収入を得ようとするなら、スキルアップの意識を持ち続けることは大切な要素となるでしょう。

まずはクラウドソーシングサイトに登録してみよう

クラウドソーシングは、「空いた時間で副業でもしてみよう」と思い立った時、すぐに利用できる手軽さが最大のメリットでしょう。まずはサイトに登録して、どのような仕事があるのか眺めてみるだけでも、自分にできそうな案件がたくさん見つかるはずです。

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    クラウドソーシングの総合評価

筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。

イラスト=竹村おひたし