「色々と引かれて手取りベースではだいたいこれくらいです。」といった会話をよく聞くことがあります。皆さんも一度はこんなことを口にしたことがあるのではないでしょうか?

この「色々と引かれて」という部分は、当然ですが皆さんが会社を通して間接的に税金や社会保険料を払っているのです。多くの人が「払わないといけないものだからしょうがない」と割り切っている印象がありますが、「せっかく払っているのであれば、ぜひ興味を持って、そして有効に活用してみよう」と少し発想を変えてみませんか?
今回はその中の1つ、雇用保険に注目します。

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雇用保険は失業手当だけではない

雇用保険というと失業した際の失業手当(正式名称は「求職者給付」)をイメージする人が多いと思いますが、実は様々な保険としての機能があります。実は「介護」も対象になっているのです。

介護といえば「介護保険」がありますが、雇用保険の場合の介護は、「介護される側」ではなく、「介護をする側」になり、仕事ができなくなった場合に休業給付を支払ってくれるというものです。実の両親のみならず義理の両親の介護も対象となっているため、これからこの制度を使う人も増えてくると思われます。ぜひ押さえておきたいポイントの1つです。

さらには教育訓練給付金も2014年(平成26年)10月よりパワーアップし、かなり充実した制度になっています。

以前からある「一般教育訓練給付金」制度は非常に有名で駅前の英会話などで利用ができますが、受講料の20%上限が10万円までとなっています。

一方、2014年にできた「専門実践教育訓練給付金」はより本格的に中長期的なキャリアを磨く人を応援する制度で、最大で支払った費用の70%(最長3年間で上限144万円)と非常に大きな金額を負担してくれるのです。

今後の転職や独立など、自身のキャリアについて考える機会は多いと思いますが、こういう制度を知っているかどうかで、随分と違ってきますよね。当制度に該当する講座はハローワークのホームページ等で確認することができますので、一度調べてみてください。

ただし、当然条件があり、大きな注意点を以下2つ紹介します。

・3年以上雇用保険に加入していること(初めて利用する場合は2年)
・離職の日の翌日以降1年以内に受講を開始すること

つまり、長年会社に勤めていた人が起業して飲食店を始めたとします。経営者として歩み始め、しばらくして「会計の知識は経営で重要。本格的に勉強したい」と該当講座を受講しても1年を経過している場合は、全額自己負担で受講しなければならないのです。

この場合、「飲食店開業前に会計を勉強しておこう」と退社前や退社すぐに当該講座を受講すれば前述のような手厚い給付金をもらうことができるのです。大きな違いですよね。

45歳まではさらに大きな特典あり

大変充実している「専門実践教育訓練給付金」ですが、さらに45歳未満の人には嬉しい特典があるのです。

文字通り専門的に実践できる講座です。医療や福祉、会計や法律など転職・独立に有利なスキルを身に付けることができ、期間も2年や3年など長期に及ぶものがほとんどです。よって、「会社勤めしながらだと忙しくて通学できない」という人もいるでしょう。でも会社を辞めると生活ができなくなるという人に対して支給されるのが、この「専門実践教育訓練給付金」なのです。

45歳未満(その他諸条件あり)であれば雇用保険の基本手当の日額に相当する額の80%を「教育訓練支援給付金」として講座終了までもらうことができます。つまり最低限の生活費をもらいながら、講座費用の大部分も負担してもらうことができるのです。「会社を辞めてでもどうしても自分磨きをしたい」という人には大変嬉しい制度です。

給与明細のその先に

年末は冬の賞与に加え、年末調整での還付もあり、給与・賞与の明細を見てニンマリとしている人も多いと思います。ぜひその際に、厚生年金・健康保険・40歳以上の人は介護保険、そして今回取り上げた雇用保険に幾ら保険料を払っているのか? 再度確認をしてみてください。

今回は雇用保険に焦点を当てましたが、皆さんが勤務している間のケガや病気が対象となる労災保険も治療費のみならず様々な手厚い補償があります。一度調べることで、「これだけ守られているのであれば、あの生命保険を解約しても大丈夫だろう」といった家計の見直しにもつながります。そして、その分で老後に向けて上手に積み立てを行っていくというのは、まさに金融リテラシーが高いからこそ実現することです。

「勝手に引かれているからしょうがない」ではなく今回のように、引かれているお金のその先を見てほしいです。

今回紹介しました「一般」または「専門実践」の教育訓練給付金を活用して会計やファイナンス分野などを勉強することで一段と金融リテラシーを高めるというのも良さそうですね。