ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

今回のテーマは、「仮想通貨のロックアップやバーンってなに?」。

  • 仮想通貨のロックアップやバーンってなに?

ロックアップとは

ロックアップとは、「一時的にその仮想通貨を使えなくすること」です。ロックアップという言葉には「鍵をかける」という意味があり、仮想通貨だけでなく株式投資でも使われています。ロックアップを行うのは、その仮想通貨の発行・運営元です。

ロックアップの場合、あくまでも「一時的に」その仮想通貨を利用できなくするものですので、仮想通貨そのものが消滅してしまうわけではありません。ロックアップされた仮想通貨は、いつか市場に放出される可能性があります。しかし、そのタイミングは発行・運営元が決めるため、いつ放出されるのかは予測できません。

元々、ロックアップという言葉は、企業が株式を新規公開する際に使われる言葉です。新規上場の前(公開前)の株式を多く所有しているベンチャーキャピタルや大株主に対し、公開後に株式を一定期間売却しない取り決めを交わすことを指します。これは、公開後の株価の大幅な下落を防ぐことが目的です。

仮想通貨の場合、そのコインを開発した人や企業が大量にコインを保有していることが多くあります。ユーザー側から見ると「いつ大量のコインが売却されるのかわからない」という不安要素になりますよね。大量のコインが売却され、市場に多く流通してしまうと、そのコインの価値は暴落してしまうかもしれません。

ロックアップによってコインを一時凍結し、一度に大量のコインが売却される可能性を低くすることで、価値暴落のリスクを下げることができます。これにより、投資家が抱える不安やリスクを軽減することができるでしょう。ロックアップを行うことで、需要と供給の関係から、その仮想通貨の価値を保つことができるというわけです。また、価値を大きく上げることもあります。

バーンとは

バーンとは、その仮想通貨を使えないようにし、供給を制限することをいいます。ロックアップでも仮想通貨を使えないようにしますが、あくまでも一時的なものです。一方、バーンの場合は「永久に」その仮想通貨を使えなくしてしまいます。バーンは「burn」と書き、その仮想通貨を燃やして使えなくするということです。

バーンされた仮想通貨は、二度と市場に流通しません。バーンは主にコインへの資金流入を目的として行われます。例えば、ビットコインのように発行枚数が決まっている仮想通貨をバーンしたとしましょう。市場にある枚数が少なくなることで希少性が増し、需要が高まり価値を大きく上げる可能性があります。

リップル(XRP)が行ったロックアップ

過去に行われた有名なロックアップには、リップル(XRP)があります。2017年12月8日、運営元であるリップル社が全体の55%にあたるリップル(XRP)をロックアップし、話題になりました。リップル社が保有するうちの90%ものリップル(XRP)がロックアップされ、リップル社は「ロックアップによって投資における判断がしやすくなる」とも発表しています。

リップル社が発行するリップル(XRP)は、その将来性から金融機関だけでなく、世界中の仮想通貨投資家から注目を集めていました。ところが投資家たちは、リップル(XRP)の価格暴落の懸念を抱き続けていました。なぜなら、リップル社が持つリップル(XRP)の量が膨大だったからです。

ロックアップの前、発行済みの1000億枚のリップル(XRP)のうち、リップル社が保有していたのは630億枚です。発行枚数の半数以上を、運営元であるリップル社が所有していたことになります。

リップル社は、リップル(XRP)のクジラ(大口保有者)で、630億枚ものリップル(XRP)がいつ市場に流出するのかは、投資家たちの注目ポイントだったのです。

ロックアップもバーンも、仮想通貨投資家が注目する言葉の1つです。ロックアップやバーンが実行された仮想通貨は、その前後で大きく値が動く可能性があります。いわゆる「仕込み時(買い時)」ということですね。もちろん、必ずしも価値が上昇するとは限りませんので、投資対象を見極めることは必須です。

次回は、「仮想通貨の代理店ってなに?」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。