「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回は、金融における「情報の透明性」をテーマに、株式会社フィンプラネットの創業者・代表取締役の長谷部直大氏にお話を伺いました。

  • 株式会社フィンプラネット 創業者・代表取締役 長谷部直大氏/2001年、慶應義塾大学理工学部を卒業後、JPモルガン証券会社エクイティデリバティブ部・日本株式営業部に所属。デリバティブ商品の組成や機関投資家向けに日本株投資のアドバイスを行う。2006年、モルガン・スタンレー証券会社法人営業部所属。金融機関以外(上場会社・未上場会社・学校法人・宗教法人・財団法人)の法人に対して、運用・財務戦略に必要なあらゆる金融商品を提供。当時時価総額トップ10に入る上場会社や誰もが知る宗教法人など多くの法人をゼロから新規開拓した。2009年、プルデンシャル生命保険に転職。一般的な個人の保障に加え、相続・事業承継対策プランや東証1部上場会社・医療法人などの法人保険もお預かりをする。2017年に株式会社フィンプラネットを創業。

子どもの誕生とお客様のエピソードが創業のきっかけに

――長谷部さん、本日はありがとうございます。まずは、ご経歴やフィンプラネット創業のきっかけについて教えてください。

2001年に慶應義塾大学理工学部を卒業して、JPモルガン証券に入社しました。

エクイティデリバティブ部を1年半、日本株式営業部を3年半ほど経験し、2006年からの約3年間は、モルガン・スタンレー証券の法人営業部で上場会社や未上場会社、学校法人、宗教法人、財団法人などのあらゆる法人に対して、運用・財務戦略に必要なあらゆる金融商品をご提供しました。

2009年にプルデンシャル生命保険に転職してからは、個人保障に加え、相続・事業承継対策プランや東証1部上場会社・医療法人などの法人保険もお預かりしていました。

時期的に「リーマンショックの影響で証券会社を辞めて保険会社に転職を?」と思われてしまうのですが、プライベートな理由の転職ですので実際はリーマンショックの影響は受けていません。

――証券と保険の両方をご経験されている人って珍しいですね。起業したいというお気持ちは、ずっと心の中にあったのでしょうか。

そうですね。証券会社時代から起業をしたいという気持ちありました。当時は、ライブドアやGMOなど、IT企業が数多く生まれた時期でそれを見ていましたから。ですが、当時はまだ勇気も経験もお金もアイディアも人脈もなかったのでできませんでした。

プルデンシャルに転職したのは、子どもが生まれて子どもの幸せを考えたからです。どうすれば子どもの可能性を広げてあげられるのか? 一流大学に進学して一流企業に就職することだけが幸せではない。子どもも自分も、もっと自由に生きて良いと感じました。

――そのことが、創業に至るきっかけになったわけですね。

はい。子どもが大きなきっかけをくれました。それと、あるお客様との出会いも大きかったです。

担当していたお客様の中に「日本企業で億単位の年収があるマネージャー職」と「シンガポールの企業で年収1000万円+出来高制のプレーヤー」の2つのオファーがあったとき「もっと能力を高めてからマネージャーとして社会貢献したい」と、シンガポールの企業を選ばれた方がいて。

その方のお話を聞いて「お客様のために金融の知識やノウハウを磨いてきたけど、守りに入ってる自分」に気づくことができました。

このまま会社にいたら、自分は成長できないと思い、2016年末に決意して1年後にフィンプラネットを創業しました。

――そのお客様も、リスクを取って高みを目指している素晴らしい方ですね。創業の想いもぜひお聞かせください。

証券会社と保険会社で16年間、多くの方とお付き合いをさせていただきました。しかしあるとき、多くの人にとって「金融の世界」はわかりづらく、苦手だと思われていることに気がつきました。

私が大好きで得意な金融アドバイスを、金融がわかりづらく苦手な人に届けることができたら、どんなに多くの人に喜んでもらえるだろうか。金融の力で社会貢献をしたいというのが、私の想いです。

保険料の「払いすぎをゼロに」、活用されていない「眠った資産をプラスに」して、金融の力で日常生活を豊かにすることが私たちのビジョンです。

Win-Winであれば、金融は絶対に良いサービスを提供できる

――長谷部さんが想う、「理想の金融サービス」とはどのようなものでしょうか?

「顧客の利益と金融サービス提供者の利益の方向性が一致していること」が重要であると考えています。Win-Winであれば、金融は絶対に良いサービスを提供できると確信しています。

ところが、「本質的なアドバイスが行えていないにも関わらず料金だけはしっかり請求する」というサービス提供者や、「自分の成績のために顧客の利益が二の次になっている」というサービス提供者が、全員がそうではないですが残念ながらいます。

本来的に、「顧客のためにサービス提供を行う」はずなのですが、実態はそうなっていないことも多々あります。

私たちは、保険仲立人や投資助言業のライセンスを持ち、「情報の透明性」「顧客利益の最大化」を前提に金融サービスをご提供しています。

――フィンプラネットさんと言うと、「金融ロボットアドバイザー(ロボアド)」のイメージが強いですが、他にどのような金融サービスを提供されているのか教えていただけますか?

保険関連のロボアドは『ほけんパシャ』と『ほけん選び』の2つ、資産運用関連のロボアドは『fintsDC』で、計3つのロボアドの開発・運営、金融コンサルティングが主なサービス内容です。

『ほけんパシャ』は、「保険料をもっと安くしたいけど、どんな保険に切り替えたらいいのかわからない」という方向けに、簡単に保険を見つけられるロボアドです。契約している保険証券をスマホで写真に撮り、LINEでアップロードするだけで、保障内容は落とさずにもっと安い保険の提案を受けることができます。保険料を4割節約できたという事例もあります。保険は長期の契約になることが多いので、その分効果も大きくなることがあります。

『ほけん選び』は、スマホで年齢や家族構成、保険選びで重視する内容などを回答すると、3分ほどで自分にピッタリな保障内容やおすすめ保険商品がアドバイスされ、そのまま保険に加入できるサービスです。対面だと具体的な保険商品が提案されるまで数時間掛かることもあるので、時間を節約できますし、対面でのプレッシャーもありません。

最近、保険のロボアドサービスが多く提供され始めていますが、実際に利用してみると具体的な商品名すら表示されず、結局は資料請求や対面相談に誘導する場合が多いです。フィンプラネットのサービスはオンラインのみでお客様が自分に合った、自分だけの保険商品を選ぶためのサービスを目指しています。

『fintsDC』は、DC(確定拠出年金制度)における加入者の資産運用を支援する資産運用ロボアドです。 資産運用ロボアドを用いた金融商品の提供がかなり広がってきていますが、手数料が高いと感じています。フィンプラネットの資産運用ロボアドは投資助言を行うサービスなので、手数料を安く抑えられるようにサービスを提供していきたいと考えています。

まずは、企業型やiDeCo(個人型)の活用を進めていますが、今後はNISAや投信なども展開していきます。いずれも、保険仲立人や投資助言業のライセンスがないとできないプロダクトですので、優位性は高いと感じています。

――保険による必要な保障と、運用による利殖を可視化してくれるのは極めて良いサービスだと思います。日本では、お金や資産運用のことを気軽に話せない雰囲気がありますが、ロボアドでしたら相談しやすいですね。

「海外の金融リテラシーは高く、日本の金融リテラシーは低い」という幻想

――お金の使い方に人の本性は現れると思いますが、お金そのものが汚いとか下品ということはないのですけどね。お金の話はオープンにしにくい風潮が根強いですよね。

教育の影響もあるのかもしれませんが、「お金って面白い」という感覚を持っている人が少ないとは思いますね。

よく「海外の金融リテラシーは高く、日本の金融リテラシーは低い」と言われますが、私はそんなことないと思います。「海外の金融教育はレベルが高い、しっかりとした金融教育が行われている。だからみんな株などで資産運用している」とも言われますが、金融教育を受けたからではなく、株価が上がるから株を持っているだけです。

「株や不動産を持っていれば、価値が上昇し、儲けられる、儲かったお金を消費に回せる」と思っているから、株や不動産を持っているだけのことです。ビットコインやロビンフッドも、みんな儲かる儲けたいと思っているから投資したにすぎません。

英語教育と金融教育は似ていて、日本での日常生活で英語を使う機会がないから英語が話せるようにならないわけです。金融もそれと一緒で、日常生活で使う機会がない知識やスキルなわけです。使わないものにリテラシーを求めてもしょうがないのではないかと私は思います。

だからこそ金融サービス提供会社は、金融リテラシーがそんなにない人が金融商品を買うことを前提とし、消費者に対して誠実に金融商品を提供しなければならないのです。「情報の透明性」が重要で、Win-Winの関係を持続することが両者の繁栄につながると思います。

――素晴らしい考え方ですね。体現できる人はなかなかいないと思います。最後に、コロナ時代の今、長谷部さんが20代だったらどんなことを学びたいですか?

これまでと同じ経験をまたしたいですね。証券、保険、起業という流れを経験できたことが、確実に今につながっていますから。

私のベースになる考え方として、「過去の事実は変えることができないが、今や未来によって、過去の解釈は変えられる」というのがあります。今をしっかり生きることができれば、今をしっかり活かすことができれば、過去も未来も幸せなものになると思います。

他人のことばかりを気にしていると、今も未来も幸せになれません。相対的に物事を捉えるだけでなく、20代のうちから「自分はどう生きたいか、どうすれば幸せになれるのか?」を考えること。自己肯定感や自己達成感、自己評価基準を身につけることが大切だと思います。自分が幸せじゃないと人を幸せにできませんから。社会人になった後の方が、学生時代よりも評価が複雑です。努力や経験を得ることが30代以降の自信につながるのだと思います。