幼少期から熱血ドラマオタクというエッセイスト、編集者の小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第114回は俳優の上杉柊平(うえすぎ・しゅうへい)さんについて。『18/40~ふたりなら夢も恋も~(以下、18/40)』(TBS系)に出演する姿を見て、HIIHの『feels like"HEAVEN"』が脳内に。映画『リング』の主題歌で、貞子の代名歌ともなった1曲のあのフレーズだ。「♪来~る、きっと来る」。「あー、この俳優さん、この後すんごいブレイクするんだろうな」という、予感が浮き上がってきた。

加瀬ドライバー、我が家にも配達に来て欲しい

最終話を迎えた『18/40』を、あらすじでおさらいしておこう。

シングルマザーになる決意を固めて、18歳で妊娠、出産をした中川有栖(福原遥)。ふいの出会いから有栖と同居を決めた、子宮系疾患を持つ成瀬瞳子(深田恭子)。無事に子どもは誕生して、亡き母との約束であるキュレーターの仕事を目指す有栖。妊娠はできないかもしれないということを恋人に告げて、結婚に向かう瞳子。わずかな同居期間で生まれた信頼関係を互いに重んじながら、二人はそれぞれに新しい道へ進む。

上杉柊平

TBS火10放送のドラマ、通称(勝手に)大人の胸キュンドラマ放送枠と呼んで楽しんでいる。ここで放送される歴代ドラマは最終的に、私を含めた中高年女性がズブズブと沼入りをしているのだ。

今回の『18/40』もスタート前は「深キョンだよね、まいんちゃん(福原遥の以前演じた役名)だよね」と高を括っていた。ついには女優陣の衣装まで口を出し、ああだこうだとプチ評論連発。しかし、有栖が無事に出産を終えた第5話あたりから、機運変更。年下男性との恋愛の不安定さ、高齢出産の恐怖、若き母の葛藤。そんな要素が次々に襲ってくるものだから、最終的には大ハマり。現代女性の生きるツボをそつなく押しているのだから、当然だ。夏ドラマ内では早々に最終話を迎えてしまったので、すでにスペシャルドラマの放送も期待している始末……

そんな大人の青春ドラマで、本コラムの主役、上杉柊平さんは加瀬息吹役を演じている。職業はトラックドライバー、元野球選手でバツイチ。女子アナと結婚までの人生の絶頂を味わったあと、加瀬に残されていたのは失望だけ。そんなところに出会ったのが、瞳子というわけだ。

ヒロインの恋のお相手として、抜擢された上杉さん。きっと敏感な世の女性たちは、彼にツバをつけ始めていると思う。

塩顔と骨格イケメンの素材を持ち合わせる

ここからは私なりに解析した、上杉さんの魅力だ。まず見た目は長身の塩顔である。彼の名前を検索すると、すぐに『清原翔』らの名前が並ぶ。切長な目を持つ塩顔好きは、常に数少ない有望株を探している。というのも、やはり広い芸能界では目が大きく、できればアイラインもくっきりしているような目力俳優をフィーチャーされがち。綾野剛、横浜流星らも貴重な存在であって、彼らに続く塩顔のチェックを怠らない。そのゾーンへ甘受された上杉さん。

彼は、骨格がかっこいいのである。「はあ?」と突っ込まれそうだが、これまで私自身も趣味と実益を兼ねて、多くの男性タレントさんの取材を長年重ねてきた。そこで気づいたのは、本当にかっこいい男というのは、骨まで見惚れる。スチール撮影であがった写真を見ていると、よく分かる。「骨まで愛して」というフレーズはこのためにあったのかと思う。上杉さんも『18/40』で、難関色と言われる薄ベージュの無地ニットをさらりと着こなし、仕上がった骨格がよく分かった。そもそも歩く陶器人形のような深キョンの恋のお相手というだけで、難しいはず。でもよく似合っていたのは、あの骨格あってこそ、だ。

今回の加瀬役を皮切りに、きっといろいろな役が巡ってくるはず。ここで希望を伝えておくと、まずはあの風貌を生かして女にさんざん貢がせるクズ男役。そして目で他人を刺すような、殺人鬼役も続けて演じて欲しい。まだ30歳になったばかり。雑誌『CLASSY.』のインタビューでは、30代に焦りがあると話していた。いやいや、寿命100年といわれる現代で換算すれば、まだ三十路なんてピッチピチ。焦らず、気負わず、また骨格を見せびらかしてほしい。