ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第16回は「#豆乳飲料」。

  • フレーバー多彩な「豆乳飲料」

    さまざまなフレーバー豆乳が登場。冬は温めて飲む人も

豆乳生産量は8期連続で過去最高を更新中

健康志向や料理へ使うなど用途の広がりを背景に、豆乳市場が拡大している。豆乳の生産量は8期連続で過去最高を更新。一過性のブームではなく愛飲者が増えていることがうかがえる。

  • 最も生産量が多いのは「調製豆乳」と呼ばれるもの

豆乳と一口によっても3種に分類される。最も生産量が多いのは、砂糖や食塩を加えて飲みやすくした「調製豆乳」(大豆固形分6%以上)。次が、大豆と水から作るシンプルな「無調整豆乳」(大豆固形分8%以上)。そして最近種類が増えており、SNS投稿も目立つのが、果汁やコーヒーなどで味を付けるなどした「豆乳飲料」(果汁入り:大豆固形分2%以上、その他:大豆固形分4%以上)だ。

Instagramで「#豆乳飲料」のハッシュタグを検索すると1万件近い投稿がある(12月現在)が、そのほとんどが味付きの「豆乳飲料」だ。食事と一緒に飲んだり、おやつ替わりに飲んだりしている様子が投稿されている。

全26種!味付き豆乳飲料が話題のキッコーマン

Instagramで「#豆乳飲料」のタグをチェックすると最も多く目にするのが、キッコーマンの商品だ。「#キッコーマン豆乳」のタグだと1.4万件(12月現在)以上の投稿が見つかる。

  • 左から「豆乳飲料 麦芽コーヒー」「豆乳飲料 バナナ」「豆乳飲料 紅茶」(参考小売価格各90円/200ml)

キッコーマンでは2019年12月現在、味付きの豆乳飲料を全26種類販売している。人気ベスト3(飲み切りタイプの豆乳飲料200mlシリーズにて)は、1位「豆乳飲料 麦芽コーヒー」、2位「豆乳飲料 バナナ」、3位「豆乳飲料 紅茶」だ。

「『豆乳飲料 麦芽コーヒー』は香り豊かなコーヒーに香ばしい麦芽をブレンドした豆乳飲料で、長年親しまれているベストセラー商品です。『豆乳飲料 バナナ』は、完熟したバナナの香りと甘みが豊かでリラックスタイムにおすすめ。『豆乳飲料 紅茶』はアールグレイの豊かな香りを楽しめる上品な味わいで女性に人気の商品です」(キッコーマン飲料チルド営業本部の荻生康成さん)

Instagramでは、気になる味をあれこれ買って、数種類をまとめて撮った写真を投稿している人も多い。飲んだ感想としては「コーヒーの味がしっかりしている」「しっかりバナナ味」など、各フレーバーの味がちゃんと感じられるという声が目立つ。

2018年から豆乳のパックを冷凍庫に入れて、そのまま凍らせる「豆乳アイス」がSNS発で話題になり、Instagramには約1.2万件以上(12月現在)の投稿がある。同社では今年、秋冬の新たな楽しみ方としてカップに移して温めて飲む「ホッ豆乳」を提案。すでにSNSへの投稿もあり、好評を得ている。「ホッ豆乳」には「豆乳飲料 きなこ餅」や「豆乳飲料 黒糖生姜」などがおすすめだそうだ。

  • 左からキッコーマン「豆乳飲料 きなこ餅」「豆乳飲料 黒糖生姜」(参考小売価格各90円/200ml)

「1年に3~4種類ほど新商品を発売していますが、企画のアイデア段階では30種類前後の案を出しています。その時々の世の中の嗜好の変化を見極めながら、皆さまに“飲んでみたい”と思っていただける商品を開発しています。最近では、“豆乳アイス”や“ホッ豆乳”など、そのまま飲むだけでなく、凍らせたり、温めたりした時にも美味しい味わいになる商品も開発しています」(荻生さん)

同社の豆乳飲料は幅広い世代に飲まれているが、とくに女性の支持が高いそう。また、凍らせる「豆乳アイス」はスイーツとして、温めて飲む「ホッ豆乳」はリラックスタイムに楽しむ人が多いとのこと。さまざまな楽しみ方ができるのも豆乳飲料の魅力といえる。

女性心をつかむ、かわいい「ことりっぷ豆乳飲料」

食品メーカーのマルサンアイと出版社の昭文社がコラボした「ことりっぷ豆乳飲料」もInstagram投稿が多い商品だ。現在は「黒蜜きなこ」「栗と和三盆」「黒ごまさつま」「マカダミアチョコ」の4つの味を展開している。

  • 左からマルサンアイ「ことりっぷ 豆乳飲料 黒蜜きなこ」「ことりっぷ 豆乳飲料 栗と和三盆」「ことりっぷ 豆乳飲料 黒ごまさつま」「ことりっぷ 豆乳飲料 マカダミアチョコ」(参考小売価格各90円/200ml)

女性に人気の旅行ガイドブック『ことりっぷ』が監修しており、パッケージの裏面にはそれぞれのフレーバーに関連する地域やイメージ感の近い地域の旅コラムがある。たとえば「黒蜜きなこ」なら松江・京都・鎌倉の3パターンがあるという。

旅行ガイドブックとのコラボした理由については、「一般的に豆乳飲料はF1・F2層といわれる20~49歳の女性の購入比率が高いのですが、この層は当社の弱いところでした。フレーバー付きの豆乳飲料はトライアルユーザーや豆乳ライト層向けで、ヘビーユーザー化してくると調製豆乳や無調整豆乳に移行していく傾向があるため、新規ユーザーを取り込むためにも力を入れる必要がありました。『ことりっぷ』は読者の大部分がF1、F2層、かつ旅好きで美味しいものやデザートにも感度が高いことから、当社の弱い層にアプローチできると考え、コラボに至りました」(マルサンアイ開発統括部・マーケティング室の河合美琴さん)

同社では「ことりっぷ 豆乳飲料」シリーズ以外にも、ユニークなフレーバー豆乳飲料を展開しており、それらのSNS投稿も多い。なかでも注目は2012年発売のロングセラー商品「豆乳飲料 ごまはち」だ。

  • マルサンアイ「豆乳飲料 ごまはち」(小売り参考価格90円/200ml)

和テイストの黒ごまにはちみつの甘みがほんのり香り、ヘルシーな印象の「豆乳飲料 ごまはち」。もともと秋葉原にあったカフェの人気メニューを再現したものだという。ちなみに同社の豆乳飲料のパックをたたむと、「たたんでくれてありがとう」という文字が見えるのだが、この「ごまはち」だけは「たたんでくれてありがとうにゅう」というダジャレになっているのもSNSでひそかな話題だ。

「フレーバー付きの豆乳飲料の開発では、大豆本来の風味とフレーバーとの調製に非常に苦労します。飲みやすさを追求しすぎると、大豆の美味しさが感じられなくなってしまうため、絶妙なバランスを探るのが難しいところです。できるだけ美味しいものをお届けしたいので、原材料の中でもとくに大豆にこだわり、それぞれのフレーバーにあった製法で作っています。大豆は輸入大豆や数種類の国産大豆、有機大豆などを使い分けています」(河合さん)

同社では、より大豆へのこだわりがわかる「ひとつ上の豆乳」シリーズも展開。大豆の青臭さを出さないよう、大豆の育種からはじめた特別な国産大豆を使用しており、「紅茶」や「白桃」など4種のフレーバーは大豆の味わいとの相性も抜群で好評だという。

地方発の豆乳飲料にも注目

福岡県の飲料メーカーであるふくれんが販売している「豆乳飲料 博多あまおう」と「豆乳飲料 いちじく」もかわいいパッケージが目を引く商品だ。

  • 左からふくれん「豆乳飲料博多 あまおう」「豆乳飲料 いちじく」(参考小売価格90円/200ml)

九州産のふくゆたか大豆を100%使用した豆乳に、福岡県産のブランドいちごである博多あまおうの果汁をブレンドした「豆乳飲料 博多あまおう」は2013年から販売。福岡県産のブランドいちじく、とよみつひめの果汁をブレンドした「豆乳飲料 いちじく」は2014年から販売している。

「海外産の大豆・果汁・野菜汁を使用した豆乳飲料が主流な中、安心・安全なこだわりの豆乳飲料を販売することで他社豆乳メーカーと差別化を図ろうと思い発売しました」(ふくれん 第一営業部 立石勇介さん)

Instagramでは「美味しそうだったから思わず衝動買い」「美味しくてリピ」といった声が多い。ふくれんにも「子どもから大人まで楽しめる」「飲みやすい」「産地が明確になった商品なので子どもにも安心して飲ませることができる」といった声が届いているそうだ。

同商品は福岡県下のJA、全国の一般量販店にて販売。ほかに「福岡県産の梨果汁」を使用した「豆乳飲料 梨」や九州産の豆乳を使用した「豆乳でつくったのむ豆乳ヨーグルト」などもあるそうだ。

大手メーカーや地方発など、続々と魅力的なフレーバーが登場している豆乳飲料市場。飲みやすいので、豆乳ビギナーでも試しやすい。まずは気になったフレーバーから、会社で小腹が空いた時などに、おやつ替わりに飲んでみてはいかがだろうか。

※価格は特記がない限り税別