2026年10月、ケンタッキーフライドチキン(KFC)とマクドナルドが、それぞれチキンバーガーをリニューアルしました。発売からしばらく経ったので、両社を食べ比べ。今回のリニューアルの意図や今後のチキンバーガーの将来までを考察します。
KFCとマクドナルドのチキンバーガーはいつから販売されている?
実際に食べ比べてみる前に、KFCとマクドナルドのチキンバーガーがいつから販売され始めたのかを振り返っていきます。
KFCの「チキンフィレサンド」は1983年に日本で誕生。今は「バーガー」と呼ばれていますが、長らくチキンフィレ「サンド」として親しまれた商品です。それが2022年10月、折からの“チキン戦争”の煽りを受けてバーガー呼びに変更。以来、サンド時代よりも売れ行き好調と聞きます。
「チキンフィレバーガー」のチキンは、鶏むね肉の一枚肉。それが10月14日から、「オリジナルチキンバーガーズ」として、もも一枚肉に替わりました。その他、粉の付け方から調理法、各種ソースまで「すべての製法を刷新」したとKFCは謳っています。
マクドナルドも同様に1980年代から期間限定のチキンバーガーがあったようですが、おなじみ「チキンフィレオ」の登場は2003年。こちらもむね一枚肉です。それが2012年5月にもも肉を使った「ジューシーチキンフィレオ」に交代。2013年11月に、むね肉に戻した新「チキンフィレオ」に再度リニューアルし、以来、長らく販売されて来ましたが、本年10月にもも肉の新商品発売に伴い終了――という流れです。つまり、むね肉ともも肉を“行ったり来たりしている”歴史です。
いざ食べ比べ! 3種類を比較
いよいよ両社の新商品を食べ比べてみましょう。KFCの新定番「オリジナルチキンバーガーズ」は4品+プレミアバーガー2品。加えて、チキン単体の「骨なしオリジナルチキン」も発売。むね肉の「骨なしケンタッキー」は販売終了しています。「骨なしオリジナルチキン」のボリュームは約100グラム。大きいものは114グラムほどありました。
一方、マクドナルドの「ザクザクジューシーマック」は3品+夜マック限定の「倍」バーガー3品。さらにチキン単体の「ザクザクジューシーももチキン」も販売。こちらも、もも一枚肉で、ボリュームは80グラムほど。両社とも、主にソースでバリエーションを持たせるスタイルです。まずは基本のバーガーから比べてゆきましょう。
ベーシックなオリジナルは、どちらも刷新感アリ
KFCのベーシックな「オリジナルチキンバーガー」は、チキンパティの上にバサッとカットしたレタス。その上に軽く粘度があって、甘くフルーティーな酸味の特製マヨソースです。マヨソースはリニューアルでなく、以前のものと変わりありません。全粒粉バンズも前と同じ。
ひと口目……もも肉がジューシー! 肉の厚みがたっぷりあって、噛んでも噛んでも「踊る」もも肉。ギュッと圧縮されたようなむね肉の食感とは違う、あふれるももの魅力が全開。ちょっと味付け強めかな。ですが、チキンとソースを変えたことでだいぶ印象が変わりました。むね肉の「もさっ」としたイメージはなくなりました。イメチェン大成功。
あとは提供温度が気になるポイント。以前あたたかくないバーガーに当たったことが何度もありました。今回3店舗ほど店を変えて試したところ、チキンが低温な例はありませんでしたが、手にした時に「バンズに温度を感じない」ケースはありました。出来立て・アツアツはそれだけでごちそうです。持った時に「熱を感じない」と心底ガッカリするので、ぜひ見直して欲しいです。
一方、マクドナルドの「ザクザクジューシーマック」はチキンの上にカットレタスとタルタルソース。バンズはゴマ付き。手に持つと、まずまずあたたかい。かぶりつけばサクサク、チリチリと細かな衣の食感。挟まるチキンにKFCほどの厚みはなく、ちょっと油っぽい箇所あり。ジューシーさの表現が大げさかな。衣の味付けはマックらしくポップ。そこへタルタルのマスタードが風味よく利いて、アップグレードを感じます。
「レッドホット」vs「スパイシー」はKFCに軍配?
次は「辛い」同士の比較です。どちらもソースを辛くしたものですが、その辛さの表現が少しわざとらしく感じられました。「チキンにこの辛さは必要なのか?」という気も少々。鶏肉との相性がいいのはKFCの方だと感じました。
「てりやき」はマクドナルドが相性◎
「てりやき」も両社出しています。「KFCでてりやき」と言えば「てりやきツイスター」がありますが、実はバーガー系のてりやきはめずらしいです。みたらし団子のてりを思わせる濃い目のソースがパティの下に。上にはマヨソース。
一方、マクドナルドはパティの上にてりやきソース。衣によく滲みてソースかつのような味わいになり、もも肉のジューシーさに対してはこちらが合っている気がしました。「てりやきマックバーガー」と同じりんごピューレ入りのしょうがが利いた、おなじみのてりやきソースです。
KFCからは豪華な具材を挟んだ「プレミアバーガー」が登場
さらにKFCは「オリジナルチキンバーガーズ プレミア」をラインアップしています。「プレミアバーガー」はソースをガーリックペッパーマヨに替え、厚切りベーコンと「まるオムレツ」を乗せたベーコンエッグバーガーのような構成。チキンバーガーの可能性を模索した豪華で贅沢な一品ですが、ちょっとソースに頼り過ぎか…という印象でした。
なぜ同時期にリニューアル? 「もも一枚肉」採用の背景を考察
実は「ファーストキッチン」も10月15日より「チキン竜田バーガー」を、もも肉へリニューアルしています。なぜ各社は時を同じくして「もも肉」にシフトしたのでしょう。
まず、各社はチキンバーガーに「新たなジャンル」としての可能性を見出しています。そこで従来商品よりリッチで多彩な、満足度の高い商品を追求し、充実を図った。他方、鶏肉の価格高騰は業界一様に深刻で、そこで部位から仕入れ先から、ひと通り見直した結果であるとも考えられます。商品価格の値上がりを抑えつつ、もも肉による新たな可能性を示してみせる。守りつつ攻める――そんな表裏併せ持ったリニューアルに思えます。
これが果たして新たな「ブーム」の口火となるのでしょうか――。
2020年頃、バーガー界隈で「チキン戦争」と呼ばれる動きがありました。ハンバーガーチェーン店以外の外食企業も多数参入し、新たなチキン専門店が続々と誕生しましたが、思いのほかヒットが続かなかったのは、「期待したほどのおいしさでなかったから」と筆者は考えます。例えば日本にはおいしい「鶏のからあげ」が既にあります。チキンバーガーは果たして、からあげを超えるおいしさか……。そんなジャッジが消費者の中で無意識にされていたのかもしれません。
一方で「韓国勢」が力を伸ばしています。波打つような韓国チキンのヒダヒダは、ザクザクジューシーチキン以上にザクザク感があると感じます。「マムズタッチ」「bb.q オリーブチキンカフェ」などは、“おいしいチキン処”として注目すべき存在です。そうした各勢力の競い合いの中から、「チキンバーガーでなければ」というおいしさが生まれれば、その時こそブーム再来。よりハイレベルなチキン戦争の始まりでしょう。
「ジューシーだけど、なんかしつこい」そんな人にオススメのチキンバーガー
今回「もも肉」に全振りしたKFCとマクドナルドですが、ちょっと「ジューシー過ぎる」と感じる人もいるかもしれません。では他のチキンバーガーの選択肢はないのでしょうか。
そこで見つけたのがKFCの「クリスピーチキンバーガー」です。味付き鶏むね肉の「カーネルクリスピーチキン」を全粒粉バンズに挟んだ店舗&期間限定商品。あとは千切りキャベツに特製マヨソースという、ごく素朴な造りですが、「これぐらいシンプルなのが本来のチキンサンドでは」と思わせる単純明快な一品で、価格も安くて手ごろなので定番化をぜひ期待します。マクドナルドにも「マックチキン」がありますが、筆者はKFCの「クリスピーチキンバーガー」に軍配です。
この秋の「もも肉」へのリニューアル。肉がわかりやすくジューシーかつソフトで、インパクトはあるのですが、こればかり続くと「飽きてしまうかな」という気もします。かつて「チキンフィレオ」が1年半ほどの間に「むね肉→もも肉→むね肉」と変化した歴史を顧みるに、今回も2年ぐらいでまたむね肉に戻るんじゃないかと、筆者は予想しています。その2年の間にチキンバーガーのクオリティを高め、その幅と可能性をより一層広げていって欲しいなと強く願っています。さらに本気なチキンバーガーをぜひ!












