昨年、米国で騒ぎになったチキンサンドイッチ。フライドチキンのチェーン店『Popeyes』が売り出したチキンサンドをめぐり、殺人事件まで起きるという一大騒動に発展したが、日本にもその「チキン戦争」の波がやって来るのか。国内の動きをまとめた。

「チキン戦争」なるものは、日本でも過去に何度か起きている。2010年、「アイコンチキン」の発売をめぐって勃発した『マクドナルド』を中心とするチキン戦争。2016~17年ごろに起きたコンビニ大手3社によるフライドチキン戦争。そして2020年、もし今年、新たなチキン戦争が起きるとすれば、それは新たな顔ぶれによる、ワンステージ上の戦いになると思われる。その注目勢力のひとつが『シェイクシャック』だ。

“らしさ”全開! シェイクシャックの限定チキンは斜め上の個性派

2015年に日本に初上陸し、現在国内に13店舗を展開するニューヨーク発のハンバーガーレストラン『Shake Shack』(シェイクシャック)が、チキンの新商品を2月1日に発売した。レギュラーメニューの「チキンシャック」をアレンジした期間限定メニューだ。

「チキンシャック」とは、フライドチキンをバンズに挟んだチキンサンドイッチのこと。本国のシェイクシャックでは、折からのチキンブームを受け、2015年の夏に「チキンシャック」をブルックリンの3店舗でテスト販売。翌2016年の冬には全米で発売した経緯がある。その後は販売を世界各国の店舗へと広げ、日本では2018年11月に発売した。

  • シェイクシャックのチキンシャック

    「Chick'n Shack」(チキンシャック)760円(税別)。注文が入るたびに衣を付けて揚げる“クリスピーチキン”に、シュレッドレタス、ピクルス、3種類のフレッシュハーブが入ったハーブマヨソースを組み合わせる

こちらがチキンシャック。マリネ液に浸け込んだホルモンフリーのチキン(推定110g)を黒コショウのきいた衣で包んでフライにし、生地にジャガイモを練り込んだ「ポテトバンズ」で挟んだサンドイッチだ。チキンの下にはレタスとピクルス。かぶりつけば衣がガリガリ。ピクルスはザクザクと心地よい歯ごたえ。ハーブマヨソースが「キュッ!」と酸味をきかせて、サンド全体の味を締めている。筆者がこれまで国内で食べてきたものとは質の異なるチキンサンドだ。

新商品の期間限定「ホットハニーチキン」は、レタスの代わりにコールスロー、クリスピーチキンにホットハニーソースが絡んだ一品である。これがなかなか手間がかかっている。まず、ソースに使う唐辛子は「店で」挽いている。日本で入手できるチリパウダーでは本国のような味にならず、そこで乾燥唐辛子2種を店内で挽いて粉末に。これにハチミツなどを合わせて作るホットハニーソースは、チキンの表面にムラなく均一に行き渡るよう、一枚一枚「刷毛」を使って塗るという手の込みようだ。コールスローはりんご入り。そのりんごの風味がプンプンとよくきいて、甘くて辛くて「りんご味」なチキンサンドに仕上がっている。

  • シェイクシャックのホットハニーチキン

    2月1日発売の期間限定「Hot Honey Chick'n」(ホットハニーチキン)790円(税別)。ガリッとクリスピーなフライドチキンに甘辛いホットハニーソースを絡めて、その下にりんごやチェリーペッパーが入ったコールスロー。りんごは酸味のきいたジョナゴールドを使用

本来素朴な食味の鶏肉に、これだけハッキリとした派手な表情を付けてきたあたりに、シェイクシャックらしい新しさを感じる。この先、さらに斬新なアレンジの「チキンシャック」が登場するのではないかと予感させる、チキンブームの熱気と興奮が伝わる一品だ。

  • シェイクシャック日本1号店

    外苑いちょう並木にあるシェイクシャック日本1号店

シェイクシャックによると、昨今のチキンブームの背景には、牛や豚と比べて鶏肉は「低カロリーでヘルシー」なこと、「宗教イメージが少ない」こと、そして"comfort food"、「昔懐かしい、心安らぐ味の食べ物」であること――といった理由が挙げられるという。そこで、続いては、昔懐かしい"comfort"な趣きのあるハンバーガーショップを見てみよう。