「奇をてらって撮影していないんですよ」――フジテレビ系ドラマ『波うららかに、めおと日和』(毎週木曜22:00~)で演出を手がける平野眞監督は、作品の魅力を生み出す工夫について尋ねると、意外にもそう答えた。

名前も顔も知らぬまま、「交際ゼロ日」で夫婦となった江端なつ美(芳根京子)と瀧昌(本田響矢)。2人の何気ない日常を丁寧に描く同作は、大きな事件や激しい対立がなくとも、夫婦の小さな心の動きで視聴者を引きつけてきた。

なぜ、これほど穏やかな物語が成立するのか。平野監督と宋ハナプロデューサーに、演出の舞台裏と、俳優たちが生み出す繊細な表現について聞いた――。

  • (左から)本田響矢、芳根京子 (C)フジテレビ

    (左から)本田響矢、芳根京子 (C)フジテレビ

2人だけのシーンで台本十数分ページに

一般的な連続ドラマでは、事件や登場人物の対立がストーリーを動かす原動力になることが多い。しかし、『波うららかに、めおと日和』では、夫婦のささやかな会話や何気ないしぐさそのものが見どころとなっている。

こうしたドラマで視聴者を飽きさせないために、どのような工夫をしているのか。平野監督は「意外とそんなにはしてないんですよ」と笑い、「2人だけのシーンで、(台本)十数ページでワンシーンということが普通にあるんです」と明かす。

もちろん、長い会話をただ座ったまま撮影するわけではない。「見ている方も演じる方も、それだと飽きてしまうので、なるべく動きの演出はプラスさせようとはするんです」というが、そこで加えるのは決して特別な行動ではないという。

「例えば、ドアを閉めるとか、洗濯物を干すとか、日常のことでしかないじゃないですか。だから結局、日常生活の延長を表現するしかない。そんなことをいつもやっているので、すごく楽しいです」(平野監督)

派手な出来事を付け加えるのではなく、普段の生活で見過ごしてしまうような行動を丁寧に映し出すことが、作品の空気感につながっているのだ。

  • (C)フジテレビ

    (C)フジテレビ

宋Pも、大きな事件があまり起こらないことこそ、このドラマの良さだと語る。

「2人は会えていない時間が長い分、互いの小さな言動も大きく受け取る。会話やモノローグ、小さな表情の違いや動きのちょっとしたところを、演出の方々がこまめに散りばめてくれています」(宋P)

なつ美と瀧昌は、相手の言葉を素直に受け止めるからこそ、ささいな一言にも心を大きく動かされる。宋Pは、そうした2人の気持ちが視聴者にも伝わり、何気ない会話を楽しんでもらえているのではないかと分析する。

  • (C)フジテレビ

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