「自分が“楽しんでできるかどうか”です」――M!LKのリーダー・吉田仁人が、仕事をするうえで最も大切にしているのは、驚くほどシンプルな基準だった。

グループとして飛躍を続ける一方、TOKYO MXドラマ『溺愛 ~ 実は、最強ヒーロー ~』(毎週金曜23:00~)で連続ドラマ初主演を果たすなど、個人としても活躍の場を広げている吉田。しかし、個人の仕事では、グループ活動の経験をもとに自身に求められる役割を冷静に見極め、立ち位置を変えているという。

さらに、M!LKのメンバー会議では、リーダーでありながら「あまり自己主張をしない」と明かす。そこには、メンバー4人の思いを大切にする吉田ならではの考えがあった。初主演への思いや撮影の裏側とともに、グループを支えるリーダーの仕事観、そして26歳の今だからこそ語れる人生の選択について、じっくりと話を聞いた。

  • 吉田仁人 撮影:宮田浩史

    吉田仁人 撮影:宮田浩史

連ドラ初主演 塩崎太智、山中柔太朗も同クールでドラマ出演 M!LKメンバーのリアクションは?

――今作で連続ドラマ初主演ですが、お話を聞いたときは率直にどう感じましたか?

“主演”となると覚悟が必要だと思うのですが、最初に言われたときはありがたいなという気持ちでした。そこに選んでいただけることはそうそうないので、すごくうれしいと思ったんですが、初めての人が虚勢を張っていてもしょうがないので、いろんな人に「今の大丈夫でした?」とか「こうすればいいんですかね?」とか、とにかく質問とコミュニケーションを取りまくりました。

5年後ぐらいに、ようやくどしっと構えた主演になれたらと思います(笑)。今回はとりあえず初なので、その初めてを大事にして、皆さんとのコミュニケーションを忘れないようにしていました。

――初主演について、M!LKメンバーの皆さんから声掛けや反応はありましたか?

本当に素直な感想で、会ったときに「あ、やるんだ!」という……これぐらいです(笑)。今、みんなそれぞれバラエティ番組やドラマなどの作品に出演しているなかで、自分も主演のお仕事をやらせていただけるのがすごくうれしいなというか、少しはグループへの貢献になっているのかなと思うので、それはよかったなと思います。

――それこそ同じクールでいうと、塩崎太智(「崎」は「たつさき」)さん、山中柔太朗さんもドラマに出演されます。

実は同じクールでドラマをやるということをつい最近知りまして……(笑)。びっくりしました。メンバーと同じクールでドラマをやらせてもらえるのは、なかなかないことなので、ありがたいです。

  • M!LK吉田仁人

――改めて、今回演じられる藤崎真白について、役柄の印象と実際に演じてみて感じた魅力や難しさを教えてください。

主人公という点も踏まえてですが、ドラマのキャラクターには、見ている皆さんが「こうなりたい」「こういう人って素敵」と感じる共感や憧れ、自分の夢を投影できる部分があると思っていて。

真白のように誰かのことを一途に愛し続けることは簡単にできることじゃないと思うんです。そんななかであらゆる困難に対しても「好き」「守りたい」という原動力でどこまでも突っ走れるキャラクターはなかなかいないですし、素敵だなと思いました。

真白を演じるうえで、「幸せでいてもらうために自分ができることは何だろう」という純粋な気持ちを、何よりも大事に持っておかなきゃいけないなと意識していました。

――難しかった点はありますか?

難しいところでいうと、やはりアクションシーン。ドラマでアクションをやるのは初めてだったので、どういうふうに映像になっていくのかというのもイメージできなかったです。

しかも、今回は基礎と組みの練習があって、本番当日に振り付けを落としてもらって、その場で分割して撮っていくというやり方だったんです。

教えていただいたことを完璧にやり切る! という気持ちで臨んだものの、自分がどういうふうに映像に映っているのかをすぐにはチェックできなかったので、「大丈夫かな」という不安が残っていたんです。でも、先ほど第1話のアクションシーンを見させていただいたら、自分の想像をはるかに超えるアクションシーンになっていて! 見ていてすごくテンションが上がりましたし、少し安心しました(笑)。

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EBiDAN研究生からの関係値――スパドラ池田彪馬との信頼で乗り切ったアクション

――かなり激しいアクションシーンだと伺いましたが、当日の振り入れだったんですね!

当日にその場で振り入れをして、すぐ本番という形式で全話分1日で撮り切りました。ここに関しては、一緒にアクションシーンをやったSUPER★DRAGONの池田もそうですが、日々振り入れをしながら、すぐパフォーマンスできる状態に持っていくということをやっているからこそ、できたことなのかなと思っています。

池田はEBiDAN研究生の頃からお互いに知っていますし、間合いや呼吸が咄嗟(とっさ)の判断でできたのは、常に身体表現をしている職業だからこそできたことだと感じました。

――アクションシーンのために体づくりなど、何か準備したことはありますか?

たまたまアクションシーンにつながっていたというところではあるんですけど、ピラティスをやっていまして。基礎体力の増強ももちろんそうですし、M!LKのライブも同じタイミングで始まっているので、そこに向けても体作りをしました。

ただ、アクションって思っていた以上に力を使っちゃいけないというルールがあったので、あまり力むことがなかったんです。アクションの先生から「力むと映像としてあまりよく見えない」ということを伺って、そこは新発見でした。いつものダンスを踊っているぐらいの体力感と一緒だったので、少し安心もしました。

――力を使わないというのは確かに意外ですね! さきほど、これまでのアイドル活動の経験が生きたというお話もありましたが、逆に今回アクションをやってみて、今後の振り入れやM!LKの活動に生かせそうな部分は何かありましたか?

そうですね、殴る振りがあればいいんですけど、あまりないですよね(笑)。率直に言うと、M!LKでやってきたことがアクションには活かされたんですけど、アクションがM!LKに生かされるかというと、ちょっと強引に結びつけづらいところではあるので……(笑)。すみません! 素直にここは「あまりなかった」と言っておきます(笑)。

アクションは苦戦される方は苦戦するものだと伺っていたので、改めてM!LKの活動の中でやっていたことが活きて、本当によかったと思います。

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――素直な回答ありがとうございます(笑)。今回は小学生の頃から知る池田さんとライバル関係を演じますが、事前にお二人でお話されたことはありましたか?

今回、撮影の前に「EBiDAN THE LIVE」がありまして、そのときに、ご飯を食べるスペースで一緒になって「台本読んだ?」「頑張ろうね」みたいな短い言葉ですけど、事前に鼓舞し合う時間はありました。

EBiDANの研究生の頃から彪馬とは一緒にいたんですが、今回のようなお芝居の現場で一緒になることも、もちろんあるだろうなと想定はしていたのですが、EBiDANという枠を超えた場所でも、研究生当時のメンバーと一緒に何かができるというのは、いいことだと思いますし、ちゃんと育ててもらった分、しっかりと発揮しようという気持ちでした。

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吉田仁人が“溺愛”するものから見えた“未完成の美学”

――ここからは作品にちなんだお話、そして吉田さんご自身のお話しをお伺いします。吉田さんはご自宅を“溺愛”されていると伺ったのですが、お部屋作りへのこだわりはありますか?

気に入らなかったら、すぐに模様替えをするというのは、個人的によくある話なんですが、僕が部屋を作るにあたって絶対に必須なのがメジャーです。

「ここにこれがあったとしたら、動線が……」とかメモに書いてみたり、買い替えるときも「今より30㎝大きくなったらどうなるのか」とか考えて、「あ、いいんじゃないかな」みたいなことをメジャーで測りながらやるんです……(笑)。

模様替えがとにかく基本的に好きなので、テンションが上がりますし、そういうことをしているので、買ってから「しまった!」という失敗はないです!

――かなり入念に準備をされているんですね!

逆に、完成品にはあまり興味がなくなっちゃうというか。昔からプラモデルとかも、完成したら「あ、もう別にいいかな」と興味を失ってしまうタイプで、次の新しいものを作る作業がすごく好き。部屋を再構築するのもそうですし、料理も作っているときが一番楽しいんです。食べるのは本当に惰性で食べているみたいな(笑)。

作っている過程が好きなのは、全部共通で覚えるもののなかでも振り入れが一番好きなので、過程が大事です。

――ちなみに模様替えはどのくらいの頻度でされているんですか?

気になったらすぐしちゃいます! 同じものでも買い替えなくても配置を変えるだけで気持ちが変わったりするので、棚の中に入っているものを入れ替えたりすることもよくあります。だから、大きな模様替えは半年に1回ぐらいですけど、1カ月に1個は気になるところが必ず出てきます。

特にクローゼットの中は多いです。靴のスタメンや、アウターやシャツでどれを今一番使うかとか入れ替え戦は激しいです。

M!LKと個人仕事の意識の差とは

――ありがとうございます! 冒頭にも少し伺ったのですが、今、M!LKの皆さんはそれぞれ個人での活動も目立っていると思います。吉田さんは個人とグループのお仕事で、意識の違いはありますか?

スタンスという意味だと、そこまで変わらないかもしれません。ただ、グループのときは、メンバーとの関係値ができているので、気が楽な部分はあります。でも「今うまくいっているのか」「大丈夫なのか」と常に自省を繰り返すことはよくあるなと思います。

ただ、個人のお仕事で求められる要素とグループで求められる要素というものは、それぞれ違うと思うので、そこを見極めて立ち位置を考えるというのは、常にやっているかもしれません。グループでいろいろな活動をやっているからこそ、個人のときは必要な要素を取り出しながらやっているというと違いはあるかもしれません。

――吉田さんの“仕事観”についてももう少しお話しを伺えればと思います。お仕事をする上で大事にしていること、信条はありますか?

これはもう一択で、“楽しいか、楽しくないか”です。楽しいことをセレクトできる環境にいさせてもらっているというのが、まずありがたいことなんですが、とにかく楽しいと思った仕事に全力を注ぐことが一番大事にしています。

グループはチームプロジェクトとしてやらせてもらっていて、個人の仕事はグループの時間を個人にかけていると考えているので、その中で何が大事かといったら、自分が楽しんでいることかもしれないと、数年前に思って、そこからは“楽しい”を基準にやらせてもらっています。

――先ほどの“過程”が好きだというお話しがありましたが、楽しいかどうかにおいてもプロセスを想像して判断することが多いですか?

そうですね。あとは直感もあります。一番最初に「やってみたい」とトライする気持ちが生まれるものや、自分を求めていただくことで、番組や企画に対していい影響が出るかを考えた上で、「これは楽しそうだな」と思えるかを大事にしています。

――M!LKの皆さんは毎週メンバー会議をやられていると伺いました。その際に発信する意見の根本にも、「5人でやったら楽しいか、どうか」という軸があるんですか?

グループのそういったことを決めるときに関しては、僕はあまり自己主張をしないんです。例えば、5人それぞれの「やりたい」が出てきた場合、精査が難しいじゃないですか? みんなのやりたいことを成立させるということが一番だと思っているので、4人の意見をもとに案を探したり、現状の案に対して懸念点が出たときにどうするかなど、会議では僕はそういうポジションに回っていることが多いかもしれないです。

グループのことに関しては、今はライブが一番楽しいので、そのほかの部分はメンバーがやりたいことをどうしていくか、という形で会議をしています。

10代から芸能界で働く吉田仁人がおくるアドバイス

――吉田さんのお仕事に対する考え方を知ることができて、よかったです! 最後に、これから様々な挑戦をする10代や吉田さんと同世代の20代の皆さんが、次の一歩を踏み出すときのアドバイスをお聞かせいただけますでしょうか?

自分のやりたいことが明確に定まっているかどうか難しい年齢だと思いますし、いま定まっているものが一生続けられるのかという心配もあると思います。

僕自身、26歳になって、いちばん最初に決めたものが、長くずっと持ち続けるものでもなかったりするなとも感じていますし、すごく思い入れを込めて「一番やりたいこと」と決めたけど、案外その道に進もうとしたら、いろんな派生が出てきたりします。ただ、そこで「どうしよう」と足が止まるようなら、とにかく一歩進んでみる。

その先に何かがあると思って、とりあえず前に進む、経験値を積むことを大事にしたほうがいいなと思います。

あとは、例えば進路を決めるときに「友達と一緒のところに行きたい」で決めるのではなく、「自分の人生としてここに行く必要があるのか」を考えるのがいいと思います。自分の人生なので、周りに流されすぎず、ちゃんと意思を持って、早めに気づきを持って動くのが大事。もちろん、周りに合わせて得られるものもありますが、それが自分の夢にとって枷になっているかもと、一瞬でも思った瞬間があったら、そこはそんなに重要視するべきではないですし、自分のやりたいことに向かって進むべきだと、僕は思っています。

■吉田仁人
1999年12月15日生まれ。鹿児島県出身。2014年に結成された5人組ダンスボーカルグループ・M!LKのメンバーとして活動し、2021年にメジャーデビュー。グループではリーダーを務める。ソロアーティストとしても活動し、自身で作詞・作曲を手がけたEP『さえない暮らし』(25)、『東京』(26)をリリース。俳優としての近年の主な出演作は、舞台『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』(24・26年)ネオ朗読劇『THE FAKE』(26年)、映画『女優は泣かない』(23)など。10月30日スタートのTOKYO MX『溺愛 ~ 実は、最強ヒーロー ~』では連続ドラマ初主演を務める。