江口洋介と松嶋菜々子がW主演を務めるフジテレビ系ドラマ『救命病棟24時』(毎週月曜21:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の第2話が19日に放送された。
孤高の天才救命医・進藤一生(江口)と、かつて彼の下で学んだ小島楓(松嶋)が、救命救急の最前線で命と向き合う姿を描く同ドラマ。第6シリーズとなる今作では、働き方改革や世代間の価値観の違いなど、時代とともに変化する医療現場の課題に切り込みながら、医師として失ってはいけないものを、令和の今だからこそ問いかけていく。
第2話では、若手医師・宮沢蓮(木戸大聖)に進藤が突きつけた厳しい試練と、ある患者をめぐる母子の物語が描かれた。目新しい展開ではない人情噺でありながら、なぜこれほど心を動かされるのか。その理由を、27年かけて築き上げられた『救命病棟24時』の世界観から考えたい。
進藤の“荒療治”に感じた『救命病棟24時』らしさ
第2話を見て、今シリーズの世界観がいかに強固であるかを改めて思い知らされた。
今回描かれたのは、視聴者の琴線に触れる“人情”の物語だ。それは前回の第1話にも通じるものだが、第2話は特に、人情噺の典型ともいえる、古臭いとすら感じるほどの母をめぐる物語だった。
物語がこちらの涙腺を緩めにきているとわかっていながら、それでもどうしても感情を揺さぶられてしまう。そんな展開を成立させてしまうところに、今作の世界観の強さを感じる。
そしてその世界観を支えているのは、言うまでもなく、主人公である進藤と小島が命を救う現場に存在していることだ。
第2話では、前回明かされた進藤の暗い過去にもつながる、今シリーズのキーマン・宮沢の物語が描かれた。
宮沢に医療の限界とは何かを思い知らせるため、進藤はある患者と一晩中向き合うよう仕向ける。これは令和の若者や現代の働き方という観点からすれば、あまりにも無茶なやり方であり、“荒療治”といえるだろう。
また、ほかの医療ドラマであれば、こうした厳しい指導を通じて若い医師が自らの限界を思い知るというエピソードには目新しさはない。結末がある程度予想できる展開であり、面白みに欠けるとすらいえるかもしれない。
しかし、そんな荒療治を進藤が命じる姿に、やはり「救命病棟24時」だなと感じさせられたのも事実だ。そこには、シリーズを通して描かれてきた大きなテーマが息づいているからである。
第1シリーズでは、小島が進藤から荒々しく教えを受け、大きく成長していった。今シリーズでは、その構図が宮沢へと受け継がれている。宮沢が進藤から学んでいく姿には、シリーズを長年見続けてきたファンだからこそ感じられる懐かしさもあった。
進藤に小島が振り回されるという、おなじみの構図も健在だ。ある意味、いつものパターンではある。だが、このおなじみ感があるからこそ、どんなエピソードが描かれても自然と受け入れ、否応なしに物語へ没入してしまう。それほどの世界観を、今作は持っているのだ。
進藤から小島、そして宮沢へ受け継がれる精神
『救命病棟24時』がシリーズを通して掲げている大きなテーマは、「どんな命でも全力で救う」ということである。医療ドラマとしては普遍的なテーマだが、そこには決して揺らいではならない大きな軸がある。
では、なぜどんな命でも全力で救うのか?それは、救うべき相手が単なる「患者」ではないからだ。患者も一人の人間であり、その人を大切に思う家族がいる。自分のことのように考えずにはいられない、かけがえのない存在だからこそ、全力で救おうとするのだ。
つまり、冒頭で触れた“人情”を描くということは、人間を描くということにほかならない。人情が胸に染みれば染みるほど、『救命病棟24時』が掲げるテーマも鮮明に浮かび上がってくる。
今回のエピソードが、たとえ展開の予想できる物語だったとしても、“人情”を描くこと自体に意味がある。それは『救命病棟24時』の精神そのものを描くことだからだ。私たちがこの作品にくぎ付けになってしまう理由も、そこにあるのだろう。そんな当たり前のことを、第2話にして改めて気づかされたのだった。
27年の世界観を支える『救命病棟24時』の生き字引
最後に余談だが、27年という長い歴史を重ね、第6シリーズまで続いてきた今作を振り返ると、脚本やプロデュースはシリーズごとに変わり、制作プロダクションにも変遷があった。さらには、W主演から単独主演へと変化するなど、主役のあり方も変わってきた。
そんな中で変わらないものといえば、DREAMS COME TRUEが主題歌を手掛けてきたこと。そして、今回の第2話を手掛けた水田成英監督が、全シリーズの演出をどこかで必ず担当してきたことも挙げられる。
今回の人情噺を、決して煽情的に演出することなく、ある意味淡々と描きながらも、かえって心に訴えかけてくる…その演出が実に冴えていた。
第1話では、シリーズ初参加となる若手の柳沢凌介監督が演出を担当した。そして今回は、大ベテランであり、誰よりも「救命病棟24時」を知る人物がメガホンを取った。そんな制作陣の顔ぶれにも、“救命ファン”の私は感慨深いものを感じてしまった。
さて、今回の宮沢は、進藤の荒療治に従い、その思惑どおりに成長への一歩を踏み出した。しかし、令和の青年たちに、それだけですべてが通用するわけではないだろう。今シリーズにその新しい風が吹いたとき、それでもこの世界観は強固であり続けられるのか? そこもまた、今後の見どころになりそうだ。次回以降の展開が楽しみだ。
















