9月末でフジテレビを退社した『ザ・ノンフィクション』前チーフプロデューサーの西村陽次郎氏が、27日に放送されたBAY FM『シン・ラジオ -ヒューマニスタは、かく語りき-』(毎週月~金曜16:00~)にゲスト出演。27年半勤めた同局を離れた理由と、今後取り組みたいコンテンツ制作について語った。

  • 西村陽次郎氏

    西村陽次郎氏

52歳で決断した独立「60歳になっても作りたい」

映像を軸としたコンテンツ制作を手がける新会社「Studio Day by Day」を立ち上げた西村氏。番組パーソナリティーの鈴木おさむ氏から、フジテレビを辞めた理由を問われ、52歳という自身の年齢と「今後もコンテンツ制作を続けていきたい」という思いを挙げた。

「フジテレビがああいった事案が起きて、社内の決定権者がだいぶ若返ったんです」と、組織の変化に言及。自身はその上の世代になったことから、「ここから先、この会社で自分が何かを作っていくというのは、正直難しいなというのが一番思ったこと」と打ち明けた。

その一方で、制作への意欲は衰えていない。「60歳になっても僕はものを作っていたいなっていう思いが強かった」と話し、会社に残れば管理職として若い世代を支える立場になり、自分自身でコンテンツを作る機会が減っていくことを考えた結果、独立を決断した。

日本のドキュメンタリーをビジネスに 実話のエンタメ化も構想

2019年から今年7月までチーフプロデューサーを務めた『ザ・ノンフィクション』では、TVerやYouTube、Yahoo!ニュースなどでの配信展開にも力を入れ、ドキュメンタリー番組の新たな視聴者層の開拓に取り組んできた西村氏。独立後に実現したいこととして挙げたのが、日本のドキュメンタリーをより多くの人に届けるための仕組み作りだ。

海外ではNetflixなどの配信サービスを通じてドキュメンタリーが幅広く視聴されている一方、日本では制作が十分なビジネスとして成立していないという問題意識を持っている。

今年、『ザ・ノンフィクション』放送30年の功績で橋田賞を受賞した際にも、視聴率や見逃し配信の好調を背景に「ようやくドキュメンタリーの時代が来たんじゃないか」とその可能性について語っていた西村氏。昨年は『ザ・ノンフィクション』が大みそかに4時間特番を放送するまでになったことを例に挙げ、「道は開けていくと思うし、それを自分が最初にやりたい」と意欲を述べた。

リスナーから今後取材してみたいテーマを尋ねられると、「僕らがずっと見てきた、同時代を生きていた偉大な人の最後の記録を残しておきたいです」と回答し、「それは映像の力だし、貴重な武器だし、きちんと残しておきたい」と、その意義を強調。

さらに、Netflixのドラマ『地面師たち』を例に挙げ、「実際に起きた事件や世の中を騒がせたことなどを、ああいう形でエンターテインメントとして残したいという気持ちもあります」と構想を述べた。