読売テレビが手がける『秘密のケンミンSHOW極』『鳥人間コンテスト』『ベストヒット歌謡祭』『名探偵コナン』。放送開始から長い年月を経ても愛され続ける4番組には、どのような共通点があるのか。

7日に開催されたビデオリサーチ主催の「VR FORUM 2026」では、「熱狂は、もっと進化する~ファンダムを育てるコンテンツの挑戦と、『データ×ナレッジ×AI』が拓く次の可能性~」と題したセッションが行われ、読売テレビの多賀規恵氏が長寿番組の制作戦略を紹介。番組の持つ本質を変えず、ファンが自発的に参加・発信する仕組みを育ててきたことを明かした。

  • 読売テレビの多賀規恵氏

    読売テレビの多賀規恵氏

『ケンミンSHOW』地域の「違い」から「誇り」へ

多賀氏は、4番組が長く支持されてきた理由について、「それぞれの番組の核となる大切なもの、面白いと思うことはぶれずに変えずに番組を作ってきております」と説明。一方で、制作側が一方的に番組を届けるだけではなく、「ファンの皆様、番組を愛する方々が自発的に参加して、発信していきたくなるような環境」を作ってきたことも重要だという。

その一例が、2007年に放送を開始した『秘密のケンミンSHOW極』だ。県民を主役に地域の食文化や風習を描くという基本コンセプトは変わっていないが、番組作りの視点は変化している。

かつては地域ごとの「違い」を面白がることに重点を置いていたが、現在はその違いを地元の人々がいかに愛しているのかという「愛情の深さ」や「誇り」を描く方向へと変わってきた。

これによって、番組で取り上げられた地域のスーパーや自治体が自発的に情報を発信し、さらに「次は自分たちの県を取り上げてほしい」という期待にもつながっている。

その効果は視聴率にも表れているという。多賀氏は、長崎県の坂の多さや自転車に乗らない人が多いという地域性を取り上げた回で、長崎地区の個人全体視聴率(ビデオリサーチ調べ)が13%に達し、通常の2倍以上になった事例を紹介した。

11月には大阪で「ケンミン熱愛グルメフェス」を開催予定。放送で紹介されたグルメを実際に味わえる機会を作るほか、YouTubeでは番組内の転勤ドラマを縦型コンテンツとして展開するなど、テレビ放送以外の接点も広げている。

『鳥人間コンテスト』結果ではなく「挑戦」を応援

1977年に始まり、今年で49年目を迎えた『鳥人間コンテスト』。多賀氏は、この番組の熱狂を生み出す核を「挑戦への共感」と表現する。

地上波で描かれるのは、パイロットが飛距離を競う姿だけではない。設計者や製作者、仲間、支援者など、一つの挑戦を支える人々のストーリーだ。1年間かけて準備しても、本番では一瞬で挑戦が終わってしまうかもしれない。そんな筋書きのないドラマを描くことが、視聴者の共感につながっている。

一方、近年はYouTubeにも力を入れ、世界中のコアなファンに向けて大会全体をリアルタイムで配信。地上波とは異なり、飛行機の技術的な要素や、飛び立つまでの待機の様子なども伝えることで、別の楽しみ方を提供している。

さらに、参加者の間では、親から子、先輩から後輩へと挑戦が受け継がれていることも特徴だ。

ビデオリサーチの若狭谷笑未氏は、番組に関するSNS投稿を分析した結果、出場校の在校生やOBだけでなく、受験生が志望校を応援する様子も見られたと紹介。「スポーツと一見似ているようですが、ちょっと違うかなと思ったところは、結果ではなくて、やはり挑戦に応援が向いているというところだと思いました」と分析した。