10月初めの週末、心地よい秋風に吹かれながら、ふらっと千葉県・流山市の流山本町を訪れました。この日は、江戸川堤で花火大会があるというのです。
流鉄に揺られて、秋の流山へ
久しぶりの晴天に心も浮かれた土曜日の昼下がり。千葉県松戸市(馬橋駅)~流山市(流山駅)を結ぶ流鉄流山線の車内は、すでに花火を見に行く行楽客で賑わっていました。小さな子どものいる家族に、浴衣姿の若いカップル。少し疲れた顔をした中年男性も交じっています(この記事を書いている筆者です)。
揺れるローカル線に詰め込まれた、さまざまな人生。「東京から松戸~流山あたりに移住したら、QOLはどのくらい変わるのかな?」などとボーっと考えていたら、小さな手に大事そうに硬券きっぷを握りしめている小学生の男の子と目が合いました。
流山本町は、江戸時代から白みりんの産地として栄えたエリア。流山市の中心からやや南にある流山本町まで来ると、なるほど明治・大正期の大きな古民家、土蔵がいまも立派な佇まいを残しています。まずは、流山市白みりんミュージアムに向かいました。
昨年(2025年)オープンしたばかりの体験型公共施設で、館内では白みりんの歴史、製造工程を学べます。もろみ仕込みをバーチャル体験できるほか、バーチャル工場見学、ゲーム感覚で学べるアトラクションも用意されています。
白みりんの町で、ちょっと変わった味を楽しむ
この日は花火大会当日ということで、当施設+近所の浅間神社で「流山本町ナイトマルシェ」を開催していました。当館スタッフも総出で、みりん焼きそば、みりんカシスソーダ、白みりんソフトクリーム、みりんコーヒーなどを販売していました。
みりんづくし……一体、どんな味なんだ? これは味わってみなきゃ、と中年男性は流山ボール(300円)を購入。こわごわ飲んでみると、白みりんと本格焼酎で作られた、すっきり飲みやすいお味でした。
白みりんミュージアムの川浦智子館長に話を聞いたところ、流山本町ナイトマルシェを主催しているのは、流山本町ぶらぶLOVE、および流山ツーリズムデザイン。川浦館長は「流山本町の魅力を内外に発信している団体で、今回のような地域の皆さんが楽しめる企画にも取り組んで下さっています」と紹介していました。
ちなみに過去には「流山ステーションフェスタ」(流鉄流山線の車両などを利用したイベント)、「流山本町ぶらぶらシールラリー」(流山本町の店舗や古民家をめぐるシールラリー)、「流鉄スタンプラリー」などの面白イベントも実施されたそうです。
歴史を感じる流山本町をぶらり
花火の打ち上がる18時まで、まだ時間があります。そこで、ちょっとだけ町ぶら(町歩き)してみました。実はずっと気になっていた場所が、この近所にあるのです。
それは新選組局長 近藤勇の最期の陣屋跡です。鳥羽伏見の戦いで京都を追われ、江戸へ戻った新選組。その後、流山に陣を構えた近藤は慶応4年(1868年)、新政府軍に出頭し捕縛されました。一方で、近藤に別れを告げた副長の土方歳三は、会津若松へ、そして函館五稜郭へと逃げのびていきます。ああ、幕末好きの血が騒ぐ。
閑話休題。白みりんミュージアムと共に「流山本町ナイトマルシェ」を開催している流山浅間神社も、歩いてすぐの場所にありました。こちらの創建は正保元年(1644年)で、醤油醸造の浅見家 初代当主によって建てられたとのこと。つくづく、歴史のある町です。
秋の夜空を彩る花火、流山の町をあとにする
暮れなずむ町の光と影の中、江戸川堤に向かうと、そこには驚くほどたくさんの人のシルエットがありました。こんなにも大勢の人が見に来るのか……。
土手にのぼると、人、人、人。屋台の良いにおいもしてきます。みりん焼きそば、買ってくれば良かった。
そして始まりました、花火大会。実はお隣りの埼玉県三郷市と同時開催となっており、2026年は両市で合わせて約17,000発が打ち上げられます。土手の上は立錐の余地もないので、少し離れたところから見学することにしました。隣りには、筆者と同年代ほどの女性と、車椅子に乗った母親。「わぁ、よく見えるねぇ」「きれいだねぇ」と親子で喜んでいました。
ひととおり楽しみ、頃合いのよいところで、少し早めに退散することにしました。翌日も朝から予定が入っていたし、なにより「あれだけの人が一斉に帰宅したら、電車は何本待てばいいのか……」と怖くもなったのです。
シーンと静まり返った住宅街と、背中でとどろく花火の轟音。ときどき振り返っては、住宅の合間から見える秋の花火を堪能しました。流山本町、良い場所でした。風の吹くまま、気の向くままに、また次回、訪れます。














