日本プロ麻雀連盟所属。TEAM雷電・本田朋広。
Mリーグに4人制が義務付けられた2019-20シーズンに雷電へと加入。
ちなみに、そこからTEAM雷電は一度もメンバー変更が行われていない。
「ヤンチャな貴公子」とも呼ばれる本田朋広。
仕掛けやリーチを多用し、積極的な麻雀を打つ。
手牌を短くすることや、オールツモ切りになることには、「恐怖」がつきものだ。
それを飄々とやってのける本田。とにかく肝が据わっているのが長所だ。
たとえ、自分のアクションが失敗に終わったとしても、引きずらないで切り替え、また次局以降では自ら動いていく。
その姿は、見ていて清々しい。
そんな本田朋広が、素晴らしい立ち回りを見せた一局を振り返っていこう。
9月29日(火)麻雀ch 1試合目。
南1局に、
見事なハネマンを一発でツモった本田は、
南2局の親番で、
このような配牌を手にしていた。
色のない、寒々とした手。
まるで雪原のようだ。
大物手を一度アガったくらいでは、自分の時間帯にはなかなか入れないものだ。
本田は、
「ポン」
役牌の南を鳴いた。
役をつけておけば、いいツモがきたときにアガることが出来る。
まだ形は良くないが、アガリ役をつけることを優先した鳴きだ。
チームメイトの超門前派、黒沢咲(2025-26シーズン・副露率40人中40位)は見向きもしないだろうが、そのあたりはスタイルの違いである。
次が面白い。
下家の永井が白を仕掛け返してくる中で、本田は上家の優が切った1筒を、
ポンしたのだ!
雀頭がなくなることを気にして、「声が出ない…」と感じる方も多いことだろう。
ただ、アガリを目指すのなら、これは鳴いた方がいい。
麻雀では基本的に「雀頭を作ることよりも、メンツを作ることの方が難しい」ものだ。
雀頭は何を重ねても出来る。
一方で、3枚組のメンツを作るとなると、今ある手材料の中で「限られた牌」が必要になってくるからだ。
それを踏まえて、本田の手をもう一度見てみよう。
仕掛けた本田は2筒を切るわけだが、こう構えておくと、7萬、9萬、7筒、9筒、3索、4索、白のどれを引いても「雀頭が出来た形で」イーシャンテンになる。
特に、愚形部分であるマンズやピンズの縦引きが大きい。ドラ9萬の縦引きは激アツである。
ドラが出ていくツモの7萬は微妙だとしても、1筒をポンすることで元々完成しにくいカンチャンターツを「重ねて雀頭にすること」で解決できるようになるのだ。もちろん、白引きも嬉しい。
1筒を鳴かなくてもメンツが出来てイーシャンテンになっていた、8萬、8筒、2索、5索のほかに、上で取り上げた「雀頭が出来る縦重なり」でも一手進む格好になる点が、速度面のメリットとしては大きい。
もちろん、守備力が落ちるなどのデメリットはあるが、アガリを目指すのなら、手が進む有効牌がグッと増えるので鳴いた方がいい。
しかし、この卓は全員がアガリを貪欲に追う面々であった。遠い仕掛けを簡単に成就させてはくれない。
本田が1筒を鳴いた直後、
白を鳴いていた永井が、8索をポンしてテンパイを入れてくる。
さらに、
「リーチ」
大介のリーチが飛んできた!
ピンチとなった本田。
そこへ、優から、
大介の現物、2索が打たれた。
本田はこれを鳴くと、ソウズのメンツが出来てイーシャンテンとなるが――
スルー!
ツモ山へと手を伸ばした。
この2索を鳴くと、マンズとピンズのカンチャンが残るので、瞬間的には「どう転んでも愚形待ちにしかならない」不安定な形になってしまう。
しかも、手牌が4枚になるので、これから先まだまだ巡目が残っているのに、ずっと悲惨な選択を迫られる可能性が高くなる。
それなら、ここでツモによる「安全牌を引くかもしれない抽選」を受けながら、「場合によってはソウズも切れる」という未来を残しておく方がよい。
このあたりの選択からも、「普段から鳴きを駆使して戦っている」風格のようなものが伝わってくる。
ここは発を引いて白切り。
次の手番で本田は、
ドラ表示牌の8萬を引き入れた!
これでイーシャンテン。
そして、
「チー」
本田も追いついた!
永井が押した5筒の筋、8筒が優から切られたのだ。
こうなったら、
4索を勝負だ!
立体図を見てみよう。
(黄色の牌はツモ切り、灰色の牌は「そのタイミングで仕掛けが入った」ことを示す。)
対面の大介は2索→1索という切り順でのリーチ。4索自体はかなり通りやすいと読める。
まずカンチャン待ちが出てこなくなる。35索と手にあるなら、12索を切ってメンツを壊しているのがおかしいからだ。
そして、シャンポン待ちに関しても頻度は下がる。44索と未完成ブロックが手にあるなら、3索をキャッチするために、2索は1索より温存されるはずである。
他にも、4567索のノベタン待ちや、4456索の亜両面待ちも、同じく2索が1索より先に切られていることから、可能性としては下がる。
単純なリャンメン待ちこそ残っているが、4索自体はそこまで危険な牌ではないのだ。
それは、同じように周りが打たれていて、愚形待ちがほぼ否定されている3索にも言えることだが、待ちとしては3索の方が魅力的だ。
2索1索と外している大介が、「より持っていない」のは3索の方だろう。
かくして、本田は腹を括って勝負に出た。
3索が山に3枚も残っていたのも、
すぐに、
大介が3索を掴んだのも、本田にとってラッキーだったのは、間違いない。
しかし、
勇気を持って前に出たものにしか、この2900+リーチ棒1000点のアガリをゲットして連荘することはできない。
しかも、道中で緩急をつけながらの仕掛けだ。実に見事な立ち回りであった。
この半荘、本田は2着でまとめてチームへプラスを持ち帰った。
さて、今でこそ、このように伸び伸びと打てている本田だが、雷電に加入した初年度は思うような成績が残せなかった。
萩原や瀬戸熊、黒沢といった門前派のチームメイトと同じように戦おうとするあまり、自身のフォームを見失っていたのだ。
しかし「自分らしく打つ」積極的に動くスタイルに切り替えた本田は、それ以来好成績を残している。
これは私の所感だが、TEAM雷電は無理に門前で打つことを目指すチームではない。
「自分らしく輝ける打ち方を模索しながら、戦っていくチーム」だと思う。
今の本田の「ヤンチャなスタイル」も、実にTEAM雷電「らしい」と私は感じる。
だからこそ、こんなにも似合うのだろう。
雷電の選手がトップを獲ったときの、
「面白いんです!」
という勝利ポーズが。
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