日本プロ麻雀連盟所属、TEAM雷電・黒沢咲。
ファンの方々からは「お嬢」「セレブ」と呼ばれ、愛されている選手だ。
そのニックネームは、気品ある佇まいから来ているのだが、もちろんそれだけが理由ではない。
黒沢は打ち回しも、優雅かつ壮麗なのだ。
例えば、副露率という指標(鳴く局の割合)で、黒沢は2025-26シーズンの副露率が「14.94%」。
※Mリーグ成績速報(非公式)様からの引用。
40人いる選手の中で一番低い数字になっている。
具体的には、親でダブ東が出ても、1枚目はスルーする姿をよく見かける。
他家が切る前から「ダブ東出てくれ! ダブ東出てくれ!」と思っている筆者とは、まさに麻雀のスケールが違いすぎるわけだ。
もちろん、2枚目が出たときなど鳴くべき手は鳴くのだが、出来るだけ大きな手をつくり、可能な限り「手牌が不安定にならないようにする」打ち回しは、まさに「セレブ打法」という名前がピッタリだ。熱烈なファンも多い。
黒沢は初年度からの通算成績で、3桁のプラスを獲得している。
堂々とぶつけられる大きな手を作って、要所要所で勝負に行く姿は、美しく、そして格好良い。
10月20日(火)麻雀ch 1試合目でも、黒沢の印象的な打ち回しがあったので、今回はその場面を取り上げたいと思う。
黒沢は、南3局1本場で、
12400点持ちの苦しいポジションにいた。
そんな黒沢に、ようやく手が入る。
2索を引いて、あと1枚いい牌を持ってくればテンパイとなる、イーシャンテンの状態になった。
しかし、
「リーチ」
なんと阿久津から2巡目にリーチがかかる。
いい手はぶつかるもの、とはいえ、あまりにも早すぎる。
黒沢が持ってきたのは、
4索であった。
イーシャンテンがさらに広くなった。
ここは打北とする。
次の巡目、黒沢は、
4萬を持ってきた!
ピンフのリャンメンテンパイだ!
ここで黒沢は、
1萬を切ってテンパイを外した!
立体図を見てみよう。
(黄色の牌はツモ切りを示します。)
このまま4索を切ってリーチにいっても、手役としてはリーチピンフ。
裏が乗ったり一発がついたりしても、3900点あたりの収入が「ラッキーな部類」となる。次局でオーラスを迎えるに当たって、そのくらいの加点では着順上昇が見込みづらい。
ならば、1萬を切っておけば、タンヤオ濃厚の手広いイーシャンテンとなる。
ツモによっては、234の三色や、ソウズの一盃口にも期待が持てる手となるため、黒沢は「他家の先制リーチが入っている」状況下でも、大きな手を作る道を選んだのだ。
まさに、
「セレブ打法」だ。
焦らずにじっくり構え、黒沢は、
5索を引き入れた!!
素晴らしい組み換えだ!
黒沢は、
2萬を打ってリーチ敢行!
5萬を切って、3索でアガったときに「リーチタンヤオ三色一盃口」となるように構えて、ツモや裏などでハネマンにとる選択も有力だ。
(この場合は234三色が出来た手と見るので、5索を雀頭として扱い、手牌を分けることになる。よって、ソウズは、
22344+55
と考えるので、3索はカンチャン待ちでとるためにピンフはつかない。)
黒沢は、3索が残り2枚と少なめであることから、切る牌の安全度を優先したのだろう。
ファーストテンパイではリーチピンフだった手を、メンタンピン高目一盃口に作り変えての勝負。
めくり合いを挑む黒沢の表情にも、誇らしさが漂う。
数巡後、
阿久津から3索が放たれた!
「ロン」
「8000は8300」
メンタンピン一盃口のアガリが決まった!
これで、
オーラスは全員が2万点台にいる、実況の日吉が使う表現を借りると「全員集合」の大接戦となった。
黒沢は、
中盤に差し掛かるところで、七対子のテンパイを入れた!
場を見ると、
下家の一馬が、ソウズのホンイツ模様だ。
黒沢は、
「リーチ」
5索単騎でリーチにいった!!
七対子はどこまでいっても、単騎待ちにしかならない。
しかも、8索に続いて5索を切り出すのも、下家にいる一馬を助けることになりかねない。
よって、最初にテンパイしたこのタイミングで、5索に勝負を託した格好だ。
ツモればトップ。出アガリでも、裏裏なら条件を満たす。
黒沢が切った8索を、
一馬がチー。
7索を打って、南単騎のテンパイに構えた。
次に牌山から、親番のたろうが持ってきたのは――
5索だ…!
しかも、たろうの手はマンズのホンイツ。
たろうはここで、
西を切った。
5索は、リーチの黒沢だけでなく、ホンイツの一馬にも危ない牌だ。
1枚切れの西を打ちながら、回っていく選択をとった。
この5索は出ないかと思われたが、
「チー」
たろうは、一馬から打たれた4萬をチー。
再び西を打って、チンイツのイーシャンテンへと手を進めた。
たろうも、テンパイすれば5索を打つだろう。
黒沢のアガリも時間の問題か、と思われたが、
黒沢は、自身が2枚持っている南を持ってきてしまった。
「ロン」
「3900」
白ホンイツのアガリで一馬がトップ。
黒沢は4着となってしまった。
今回は惜しくも敗れてしまったが、黒沢の麻雀は「ファンの人に与える納得感が物凄く大きい」のが、特徴かつ魅力だと私は考える。
あのラス前のテンパイ外しや、オーラスに七対子リーチで立ち向かっていく姿を見て、
「ナイスファイト!」
「これが見たかった!!」
と思っているファンはとても多いことだろう。
だから、次の試合もまた黒沢を応援したくなるのだ。
黒沢がチームメイトの勝利を祈るように、雷電ユニバース(雷電ファンの名称)もまた、黒沢の、そしてTEAM雷電の勝利を心から願っている。
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