国内1次予選は、ただのクイズ番組の収録ではなかった。キッチンカーにグッズ販売、さらにはフォトスポットも用意され、もはや予選会というより一大イベント。1問目の発表後には、会場各所に「予想案内人」が登場し、出場者から「頼んだぞー!」と声が飛んだ。

フォトスポットには、どろんこ○×クイズ、ウルトラハットをかぶって早押し、ゾウに踏まれそうになる罰ゲームという3種類の体験シチュエーションを用意。長蛇の列ができ、特にウルトラハットの早押しは最大2時間待ちとなった。

グッズ売り場にも列ができ、フェイスタオル、Tシャツ、ステッカー、アクリルキーホルダーを買い求める人たちの姿が。負けても参加したこと自体が思い出になる番組を、存分に楽しむ人たちでにぎわっていた。

  • ゾウに踏まれそうになる筆者

    ゾウに踏まれそうになる筆者

テレビ離れの今だからこそ「お祭りが必要」

『アメリカ横断ウルトラクイズ』は、なぜ復活したのか。日本テレビの大井秀一総合編成センター部長は10日に行われた改編説明会で、円安の中で海外取材やロケを敢行する同番組について「本当にお金がかからないわけがない番組」と認めた上で、「やっぱり今、“お祭り”が必要だと思うんです」と語った。

テレビを見る人が減っているからこそ、「この瞬間だけは一緒に楽しみたい」「普段見ないけど、これは見てみようかな」と思えるものを生み出す。その候補として『ウルトラクイズ』が浮かんだという。

さらに、大規模な視聴者参加型コンテンツが減った現在において、同番組には「強力なIP」「しっかりとしたお祭り」「視聴者の方にも参加して、一緒に夢を分かち合える」という強みがあり、「今の時代だからこそやる価値がある」と強調。この日、スタジアムに広がった光景は、まさにその言葉を映し出していた。

一方、総監修を務める日本テレビの高橋利之氏は、2022年にビデオリサーチ主催の「VR FORUM」で、近年のテレビ制作者がコンプライアンスや予算削減を番組作りにおける“逃げ道”にしていないかと自問しながら、同局初代社長・正力松太郎の「見たことのないものを見せるのがテレビ」という言葉を挙げている。

30年前の番組をそのまま再現するのではない。スマホやAIがある時代に合わせた問題を作り、アメリカだけではなくヨーロッパ、アフリカへと規模を広げ、再び一般の人々を主役に世界を旅する。

「ニューヨークへ行きたいかー!」

世代を超えて拳を突き上げる出場者たちの姿に、この番組が目指しているのは単なる“懐かしの復活”ではないことを確信した。

テレビがもう一度、大勢の人を巻き込み、一つの巨大な「お祭り」を作れるのか。その挑戦もまた、この日の1次予選から始まった。