WOWOWで放送・配信中の「連続ドラマW 東野圭吾『虚ろな十字架』」(毎週日曜22:00~)で初共演した香取慎吾と赤楚衛二。同作は、東野圭吾氏が2014年に発表した同名小説を瀬々敬久監督が初めて映像化し、「死刑制度」や「償い」の意味を問いかける社会派サスペンスだ。
劇中で描かれるのは、事件が起きてニュースで報じられた、その先に続いていく被害者や加害者、その家族たちの人生。赤楚は答えの出ない問いを撮影中も自身に投げかけ続け、「ずっとキツかった」と振り返る。香取もまた、裁判シーンなどを通じ、それまで知らなかった事件の“その後”に触れたという。
そして、重い作品世界の中で中原道正として生きた香取は、現場では赤楚から「今、目の前にいる香取さんとは別人」と感じられるほど役と向き合っていた。“慎吾ちゃん”に戻ると役が「ほどけちゃう」――その経験から香取自身が気づいた、意外な一面とは。
迷った時は「直感」 今回の作品では…
――今回の作品では、登場人物たちが大きな決断を迫られます。おふたりが何か迷った時やどちらか一方を選ばなければならない時、指針にされているものはありますか?
香取:僕は結構、何事も直感で決めてしまうタイプなので、あまり迷わないかな。
――なるほど。赤楚さんは?
赤楚:僕も大体、基本的には迷わないんですよ。感覚でポンと決めるような感じです。もし迷うとしたら、ワクワクする方か、惹かれる方か。やっぱり心が動く方を選ぶ感じですかね。
香取:僕も時に“迷ったふり”をすることはありますけど、実際は迷っていない(笑)。きっと最初に「こっちだ!」と思った方向が、自らの進むべき道なんだろうなと。これまで僕はずっとそうやってきましたが、間違っていなかったように感じています。
――今回お芝居をする中で、ご自身の直感に従ったような瞬間はありました?
赤楚:今回は……直感というより、相手の人がいて、その人から決断を迫られた時に、役としての自分はどうするかという場面でも、あらかじめ答えを出さずに現場へ臨みました。でも、答えは出さない一方で、その問い自体は撮影中、常に自分に問いかけていました。だから、ずっとキツかったですね。
――それはしんどかったでしょうね。香取さんはいかがですか?
香取:そういう意味で言うと、僕は基本、中原と同じ気持ちだと思いました。第4話のラストシーンに、僕がすごく象徴的だと感じたところがあるんです。それは、たとえどんなことがあっても、人は生きていかなければいけない、ということです。恨みや憎しみ、狂気的な部分があったとしても、ふと笑ってしまう瞬間もある。「何があっても生きていかなきゃいけない」というところが、自分と近いかなとは思いました。
“10秒のニュース”では見えない事件のその後
――今回の作品では、裁判や事件後の描写などを通じて、フィクションではありながらも、考えさせられる場面も多かったと思います。香取さんが特に驚いたことは?
香取:裁判のシーンなんですが、本当に柵が1つあるだけで、すぐ目の前に犯人がいるんですよね。つかみかかろうと思えば、すぐに手が届くような距離に。それでよく遺族側は感情を抑えていられるな、日々事件にならずに裁判が行われているな、と。そこは少し不思議でした。
しかも、この作品を撮影している最中に、傍聴席から柵の中に入り込んでしまったというニュースを、たまたまテレビで目にしたんです。普段はあまりじっくりニュースを見ることもないのに、自分がそんなふうに不思議に思っていた中で、実際にそういう事件があった。自分が今まで知らなかった部分が、このドラマの中にはいっぱいありましたね。エンターテインメントとしてのドラマではありますが、そういう現実を知れることはとても大きいと思います。
――完成報告会では、「10秒のニュースの裏側に何があるのか」というお話もされていましたね。
香取:そうなんですよ。単なる「被害者」というだけでは、ひとくくりにできない。僕と奥さん役の(鈴木)杏ちゃんとの間にすれ違いが生まれてくるところは、演じながらもすごく怖くて。そんなところは、ニュースを見ているだけでは見えてこなかった。被害者と加害者の二項対立なのかと思っていたら、現実にはその中でも意見が割れたりする。事件によって被害者の家族関係が壊れていくのは、非常につらいことですよね。
