正代さんは自分の人生だけでなく、その最期についても自ら準備していた。その姿を見ながら、尾野自身も「どんなふうに人生を終えたいのか」を考えたそうだ。

実は今回の収録の直前、夫とも、そんな話をしていたという。

「職人とか芸能人もそうですけど、『現場で死ねることが本望だ』と、よく言うじゃないですか。でも、私はそうじゃないんですよ。やっぱり自分が愛する人の腕の中で死にたいんです。『尾野さん、現場で死ねてよかったね』と誰かに言われたら、その時は『いや、そんなこと本人は望んでいなかった』って反抗してほしい(笑)」

自身の最期は、「結婚はしましたけど、子どもがいないというのもあるので、いずれは1人になるのかな」と想像するが、その先に思い浮かんだのは、意外な人物だった。

「私を看取ってくれるのは誰なんだろうと考えた時に、今、私の現場マネージャーが若い女の子なんですけど、『あんた頼むよ』と言ったところなんです(笑)。ちょっと年を取ってくると、いろいろ考えるんですね。そんなことも思いながら、ナレーションを読んでいました」

  • 涙する古井さん (C)フジテレビ

    涙する古井さん (C)フジテレビ

「もしいなくなったらどうしよう…」ナレーションで込み上げた母への思い

今回のナレーション収録では読みながら感極まり、何度か言葉に詰まっていた尾野。さまざまな人生の最期を見届けるなかで心に浮かんだのは、自身の母の存在だった。

「お母さんは、何にも代えがたい唯一無二の存在じゃないですか。だから今回は、『もしお母さんがいなくなったらどうしよう…』『私は何をしてあげられるんだろう…』と、いろいろと頭の中で考えてしまって。もちろん父もそうですけど、私にとって母はもう“いなくならない存在”だから、本当に想像がつかないんです」

自分らしく生きること。人生の最期を自分で選ぶこと。そして、いつか愛する人を見送るということに、「こういう話は本当に難しい。感動もするし、悲しいし、ナレーションをしながら、いろんな感情が湧き上がってきて。インタビューに答えるのがすごく難しいですね」と本音を吐露する尾野。

正代さんの人生を見つめ、さまざまな感情を抱えながら読み上げた今回のナレーション収録は、尾野自身にとって、自分の人生を見つめ直す時間になったようだった。