コラム2:『ウルトラマン誕生』シナリオと番組の違い

2026年7月10日「ウルトラマンの日in杉並公会堂」イベントのプログラムとして、60年前にこの地で収録された『ウルトラマン誕生』の上映が行われ、当時を知る大人から、令和の世を生きる子どもや若者たちまで、幅広い世代のウルトラマンファンが「ウルトラマン誕生の瞬間」を映像で楽しんだ。

  • 吉本多香美(『ウルトラマンティガ』レナ隊員役/『ウルトラマン』ハヤタ隊員役・黒部進の娘)、桜井浩子(『ウルトラマン』フジ・アキコ隊員役)、そしてお2人を見守るように胸をはってポーズをとるウルトラマン

    吉本多香美(『ウルトラマンティガ』レナ隊員役/『ウルトラマン』ハヤタ隊員役・黒部進の娘)、桜井浩子(『ウルトラマン』フジ・アキコ隊員役)、そしてお2人を見守るように胸をはってポーズをとるウルトラマン

吉本多香美(『ウルトラマンティガ』レナ隊員役/『ウルトラマン』ハヤタ隊員役・黒部進の娘)と共にステージに登場したゲストの桜井浩子(『ウルトラマン』フジ・アキコ隊員役)は『ウルトラマン誕生』をふりかえり「『ウルトラマン』を撮影している途中で、科学特捜隊のみんなが呼ばれてここに来たんです。通しのリハーサルなんてやってなくて、ほぼぶっつけ本番だったから段取りが悪くて(笑)」と、入念なリハーサルをせずに収録(放送前日の7月9日)に臨んだと話していた。急なスケジュールが祟ったのか、公開収録当日は珍妙なハプニングが連発したという『ウルトラマン誕生』。シナリオで当初考えられていたのはどういった内容だったのか、資料をもとにいくつか検証してみよう。

忍者スタイルの怪獣泥棒が登場!?

忍者スタイルの怪獣泥棒が登場。配役表に「ナンセンストリオ(江口明、岸野猛、前田隣)」記載あり。3人がモンスター博士の「怪獣製造機」に忍び寄るくだりはシナリオに細かい描写がないが、収録ではナンセンストリオの人気ギャグ「親亀の上に子亀を乗せて~」を披露し、彼らが積み重なった直後にコケて倒れるといったパフォーマンスで笑いを誘った。

シナリオにあった怪獣は……

シナリオに記載されたウルトラQ怪獣はカネゴン、M1号、ラゴン、モングラー、ゴルゴス、ウルトラマン怪獣はバルタン星人、レッドキング、チャンドラー、ガボラ、ピグモン。収録ではピグモンではなく、ウルトラQ怪獣のガラモンとして、M1号、カネゴンと共に登場した。ウルトラマン怪獣はレッドキング、チャンドラー、アントラー、バルタン星人が登場。バルタン星人はテレビの撮影で壊れた片方のハサミをテープで補修して現れた。

構想通りの格闘戦が取れず…

怪獣が入り乱れるステージで奮闘する科学特捜隊。その前にさっそうとウルトラマンが登場。シナリオでは「ウルトラマン身構える/ガボラとレッドキングとの対決/格闘数合/突進する両者。衝突させてやっつけると、天に飛び上がって消える」と、ウルトラマン対怪獣の立ち回りについて細かい描写が記されていた。しかし収録では構想どおりのスマートな格闘戦ができず、苦肉の策として第3話「科特隊出撃せよ」でのウルトラマン対ネロンガ戦のフィルムを挿入したそうだ。