「予算が本当に大変なことになっておりまして」――日本テレビは10日、東京・汐留の同局で10月改編説明会を開催。10月10日にスタートするドラマ『俺たちの箱根駅伝』(毎週土曜21:00~)の藤澤季世子プロデューサーが、4年にわたる企画・制作の舞台裏を明かした。

同局の大井秀一総合編成センター部長が、プライム帯の3ドラマを「差別したり区別したりするつもりはない」と前置きしながら、「『俺たちの箱根駅伝』、一番力が入っています」と思わず口にした今作。藤澤Pも「日本テレビとしてかつてない、史上初と言っていいぐらいの規模感と期間をかけて挑戦している作品」と胸を張る。

  • (左から)伊藤沙莉、大泉洋、山下智久

    (左から)伊藤沙莉、大泉洋、山下智久

池井戸潤×箱根駅伝×大泉洋「奇跡的」

原作は、池井戸潤氏が十余年をかけて書き上げ、「もう二度と、こんな小説は書けないでしょう」と語った同名小説。箱根駅伝に挑む学生たちと、その走りを届けるテレビ局のスタッフを描き、大泉洋、伊藤沙莉、山下智久らが出演する。

藤澤Pは「池井戸先生の原作で、『もう二度とこんな小説は書けないでしょう』とまで池井戸先生がおっしゃった作品」であることに加え、「題材が箱根駅伝という、日本テレビが40年にわたって中継させていただいているもの。そして主演が大泉洋さん。こんな素晴らしい三者が集まるのは本当に奇跡的と思うくらいです」と実感を語り、すでに完成している第1・2話についても「間違いなく心を揺さぶる熱い物語」「胸を張って自信を持ってお届けしたい」と力を込めた。

「不可能だから早めに諦めた方がいい」4年がかりで挑戦

ドラマ化の構想が動き始めたのは、原作が『週刊文春』で連載されていた2022年。「連載当時からこのドラマ化の話が立ち上がりまして、4年間、かなり長い期間をかけて立ち上げて制作してきました」と藤澤氏は振り返る。

時間を要した大きな理由が、箱根駅伝をどう映像化するかという難題だった。周囲からは「この撮影は本当に難しい」「とにかく不可能だから早めに諦めた方がいい」と言われたこともあったという。

箱根駅伝といえば、東京から神奈川、箱根へ至る誰もが知るコース。しかし、「そこは撮影許可が基本は絶対に取れない」。それでも、「視聴者の皆さんが知っているそのルートでしっかりと再現できなければ、気持ちも入らない。ドラマとして足りなくなってしまう」と考え、諦めなかった。

「本当に不可能と言われていた撮影だった」というが、全国の自治体などから協力を得て各地で撮影を実施。さらにVFXを駆使して箱根町や予選会を再現し、実際の場所も組み合わせながら、“箱根”を作り上げている。

岡山と広島だけでエキストラ応募2万人

4年という制作期間だけではなく、その規模も異例だ。藤澤Pは「予算が本当に大変なことになっておりまして、日本テレビとしてかつてない、史上初と言っていいぐらいの規模感と期間をかけて挑戦している作品です」と表現した。

その一端が、レースシーンを支える大人数のエキストラだ。岡山と広島だけで応募者は約2万人に達したほか、「一つの撮影で500人とか1,000人とかの規模のエキストラの方を集めて撮影を行っています」と明かす。

さらに、従来では難しかった箱根駅伝の映像化を実現するため、「いろんな新しい撮影方法を編み出しました」とも説明。単に豪華キャストをそろえた大型ドラマではなく、撮影手法そのものから試行錯誤を重ねた作品になっている。

池井戸潤から「ぜひテレビ局側をメインに」

今作の特徴は、ランナーだけではなく、箱根駅伝を中継するテレビマンたちも物語の主役になること。実は、この構成には原作者・池井戸氏の意向もあったという。藤澤Pは「池井戸先生のほうから、ぜひテレビ局側をメインに展開してほしいというお話がありました」と明かし、原作とは少しバランスを変えて映像化していく。

そのテレビ局パートの中心に立つのが、大泉演じる中継チーフプロデューサー・徳重亮。池井戸氏自身も実際の箱根駅伝中継を何度か取材したそうで、徳重は組織の不条理や上司と対峙していくことになる。

一方の駅伝チームも、一度は挫折を味わったランナーたちが再び大舞台を目指していく。藤澤Pは「主演の大泉さんが率いるテレビ局チームも、組織の理不尽と闘いながら、守るべきものを守って進んでいく」と2つの物語を重ね、「見た方が元気をもらえるような、またどんなことがあっても立ち上がって進んでいこうと思えるような作品を目指していきたいです」と語った。