自身の制作スタイルについても、独立後、改めて意識するようになったことがあるという

生成AIが急速に普及し、企画書作成でも利用する人が増える中、玉野氏自身はAIを仕事に取り入れることには「大賛成派」。ただし、「例えば“この芸人さんの新番組を考えて”とAIに丸投げして、AIが出してきた案から選ぶ人がものすごく増えていて、それでは、作り手自身の個性がどんどん薄れて、同じような企画書ばかりが生まれてしまうのではないか」と感じている。

そこで大切にしていることが、企画者のロジックではない“超個人的な主観性”だ。

玉野氏は「例えば、僕でいうと普段から『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)を見ていて、“東京では見せない濱家さんのちょっぴり粗い感じが、なんか好き”、“そんな濱家さんを前にむちゃくちゃ常識人になる山内さんが、なんか好き”と感じるんです。その極めて個人的な“なんか好き”を企画の起点に置いて、“この魅力を別の形で引き出すにはどうすればいいか”設定して、そこからAIと一緒に考えていくほうが僕は好きです」と語る。

「HANAのオフがずっと“修学旅行感”なのが、なんか好き」「なにわ男子・大橋和也くんの声が、なんか好き」「ドンココ、なんか好き」――ロジックでは説明しきれない“なんか好き”という感覚を日々ストックすることが、玉野氏にとって企画作りの根っこにあるようだ。

「パン屋の息子が何しとんねん!」と言われる挑戦を

今後の展望を聞くと、「一度きりの人生なので、大阪のしがないパン屋の息子が、最終的に“世界”で何かできたら、むちゃくちゃおもろいなぁと思っています」と大きな夢を語ってくれた。

例えば、絶対にありえないことですけど、「パン屋の息子」と「ヨウジヤマモト」がまさかのアパレルでコラボしたり、『パンどろぼう』と「パン屋の息子」というキャラクターを作ったり、いつか自分が作ったコンテンツが世界配信されたり――「“パン屋の息子が何しとんねん!”って、みんなにツッコんでもらえるくらい、思いっきり新しいチャレンジをしていきたい」と目を輝かせる。

ちなみに、独立を機に撮影したプロフィール写真を手がけたのは、著名人を数多く撮影してきた写真家の大木雄介氏。「“パン屋の息子が、何を写真家に撮ってもらってんねん!”とイジられる新しいチャレンジの一つです」と、その狙いを明かした。

仕事をする上では「ご縁」を大切にしているという玉野氏。「このインタビューの記事を見つけて最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。これも貴重な“ご縁”です。もし『パン屋の息子』に興味を持っていただける方がいらっしゃったら、一緒に何か新しいことができれば幸いです。お恥ずかしながら、まだホームページを作る余裕はありません。インスタがありますのでよろしくお願いいたします」と呼びかけた。

  • 撮影:大木雄介

    撮影:大木雄介

●玉野鼓太郎
1986年生まれ、大阪府出身。立命館大学卒業後、2012年にフジテレビジョン入社。『ホンマでっか!?TV』『さんまのお笑い向上委員会』『ダウンタウンなう』『人志松本の酒のツマミになる話』などバラエティ番組を担当し『街グルメをマジ探索!かまいまち』『ワンピースバラエティ海賊王におれはなるTV』などを企画、26年3月末で同局を退社した。その後、クリエイティブ会社「パン屋の息子」を立ち上げ、配信プラットフォームを中心に企画開発を展開。ABEMAのオリジナルバラエティ番組『エイジレスボーイズ』(毎週木曜21:00~)で企画・総合演出を務める。