1戦目のインタビューで、東城りおは、こう語った。

“東1局の放銃は嫌いじゃない”

総勢72名がMリーグスタジオで火花を散らした、2026Mトーナメント。

いよいよ決勝だ。

顔ぶれは、

この4名。

「日本プロ麻雀連盟所属かつMリーガー」4人による勝負となった。

2試合でのトータル勝負。ちなみに賞金は、

優勝 500万円
準優勝 250万円
第3位 200万円
第4位 150万円

となっている。優勝以外の着順勝負にも、もちろん意味がある。

それにしても、賞金額が多いことに改めて驚かされる。麻雀をとりまく環境はMリーグの設立以降、大きく変化し続けている。

あらゆる媒体で麻雀が取り上げられてるのを見て、「麻雀を始めよう」と思われる方も多いことだろう。

そんなビギナーの方がお手本とするのにピッタリなのが、

今日の主役であるBEAST X 東城りおの手順である。

東1局を見ていこう。

2巡目に、この手となった東城は、

ここから、

リャンメンを払う6筒切りとした。

いい選択だ。

こうしておけば、仕掛けていったとしても、白をホンイツドラで8000点にはなる。

高く出来そうな手なら、1つある別色のリャンメンにこだわらないで、思い切り大きく狙っていけば良い。

この手は2巡後に、

物凄いツモが押し寄せて、イーシャンテンになっていた。

伸びゆく手牌を見つめる東城。

しかし、対面の勝又から先制リーチが飛んでくる。

東城が、

役役ホンイツドラドラの12000のテンパイから、持ってきた1萬を打つと、

「ロン」

勝又の声が掛かる。

「3900」

東城は、勝又に放銃してしまった。

非情な結果である。

ただ、冒頭で読んでいただいた、

“東1局の放銃は嫌いじゃない”

という思いが東城にはあったようだ。

ここでスイッチが入った東城は、

東3局、

またもや勝又からのリーチを受けて、

無筋の1筒をプッシュ!

このあたりが、模倣すべき打ち筋だと言える。

対面勝又の河に6索があり、1萬は他家が通している状況だ。

現物が2枚あるので、弱気になってオリたくなる人もいるだろう。

だが、自分の手はリャンメンテンパイ確定で、赤も内蔵したイーシャンテンだ。さらにはマンズ部分から、一盃口かドラのどちらか1ハンが付いてくる。

この手なら、このあと8萬も押す想定であっても、端の1筒を勝負しておく価値が十分にある。

ましてや、2戦勝負の親番。簡単にオリるわけにはいかない。

東城は、気迫を込めた手つきで、1筒を打ち込んでいった。

次に東城が持ってきたのは、

7萬だった。

ここは、

そのままツモ切りとした。

画像では小さくなってしまって申し訳ないが、対面の勝又はリーチ後に4萬を捨てている。

いったんスジの牌を打っておいて、

「リーチ」

テンパイしたら8萬を勝負だ!

勝又が次に持ってきたのは、

東城のアガリ牌、7索であった。

「ロン」

「18000」

リーチ一発ピンフドラ赤裏。

ここでトップに躍り出た東城。

南場では瀬戸熊が迫ってくるも、南3局、親番の東城は、

ここから4筒のトイツ落としに出る。

狙いは、東1局と同じくマンズのホンイツだ。

またもや、勝又のリーチを受けた東城だったが、

手牌をマンズに染め上げた東城は、岡田からホンイツ中の12000をアガる。

これで抜け出した東城が、1戦目のトップとなった。

「朝から緊張していた」

と話す東城。

大きめのトップを獲ったことで、条件は楽になった。

だが、全員が東城を狙ってくる状況だ。守っているだけでは勝てない。

どこかで、勝負に踏み切らないといけない。

2戦目の南1局、

中盤に、勝又が5索を暗カン。

そして、

親の瀬戸熊が、役牌ポンとドラ含みのメンツを完成させるチーを敢行。

勝又だけでなく、東城にとって最もトップを獲られたくない相手の瀬戸熊も、攻めてきている状況だ。

そんな中で、3着目の東城は、

役なしのシャンポンテンパイを果たした。

ここで、東城は、

「リーチ」

決めにいった!

リードしている局面だ。出来ることなら役アリのテンパイで、ひっそりとアガりたい。手牌を見ても、ダマにしてピンフへの手替わりを待ちたくなるものだ。

しかし、5索がカンされていて4索の伸びは制限されている。また、5筒と6筒は2枚ずつ場に出ている。

4索4筒ともに伸びは見込みづらいので、東城はいたずらに巡目をかけずに、この待ちに勝負を託したのだ。

絶対に押してくる瀬戸熊の河にピンズが安いのも大きい。

東城の一発目のツモに、

4索がいた!

ストレートに勝負した、自然体の麻雀が実を結んだ!

リーチ一発ツモドラ赤裏。

大きな大きな3000-6000のアガリ。

少しホッとした表情の東城。

ライバル瀬戸熊の親をハネマンツモという最高の形で落としたのだから、そうなるのも自然なことだ。瀬戸熊に親かぶりをさせたのも大きい。

ところが、歴戦の猛者、瀬戸熊直樹がそんな簡単に勝たせてくれるわけがない。

南2局の中盤にリーチをかけた瀬戸熊は、

ほどなくして、気迫のツモアガリ!

裏を乗せて、リーチツモタンヤオ赤赤裏の3000-6000。

東城は親かぶり。

東城からすると、前局のアガリをすぐさま帳消しにされた格好だ。

南4局を迎えた時点で、

瀬戸熊の優勝条件は、1000-2000のツモアガリ、もしくは東城から2600、勝又から5200の出アガリ。

東城の本当にすぐそばまで瀬戸熊が迫ってきていた。

そして、

その瀬戸熊に、条件をクリアできる手が入った!

リーチタンヤオ、ツモるか東城からの出アガリなら文句なし。勝又からの出アガリには一発か裏が必要だ。

このとき、東城は、

しっかりと手を組んで、テンパイを入れていた!

時を巻き戻すと、実は瀬戸熊がリーチをする前に、

勝又からリーチがかかっていた。

この攻撃に対して、

2筒を仕掛けていた東城は、

8索をプッシュした!

東城は、勝又の条件を把握して、「自分からはアガれない」と踏んでいたのだ。

勝又が東城から出アガって着順を上げるには、24000が必要だ。赤やドラが複数枚見えているのに、そんな手はまず入らない。

だから東城は、自分もアガりにいくべく、要らないカンチャンを外していったのである。

そもそも、ここまで6萬を残して目一杯にしていることにも、この局で決めるという意気込みを感じる。

こうやって、しっかりと手を組んでいたからこそ、

瀬戸熊からのリーチを受けた際にも、テンパイを組めていたのだ。

ション牌の発もオリずに勝負。

そして、親の岡田に、

七対子のテンパイが入った!

しかし、単独で持っている2索、7萬、いずれも他家の当たり牌となっていた。

7萬が場に放たれる。

「ロン」

西赤赤、東城が3900をアガって、

Mトーナメント2026 優勝は東城りおに決まった。

東城が強気に6萬を残していなかったら、またどこかで少しでも弱気になって手を崩していたら、岡田の切った7萬が通過して東城を除いた三者のめくり合いになっていたはずだ。

そうなれば、勝負はどう転んでいたか、本当に分からない。

東城が自分の手で掴んだ勝利だ。

溢れる想いを、東城は噛み締めていた。

おめでとう、と皆から声を掛けられる東城。

高くする手は高くして、押すべき手は押して、正攻法で勝った東城りおの麻雀は、

実に自然体で、実に美しかった。

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