テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、7月26日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第29話「天下への道」の視聴分析をまとめた。

  • 『豊臣兄弟!』第29話より (C)NHK

    『豊臣兄弟!』第29話より (C)NHK

織田信孝(結木滉星)をかばい負傷

最も注目されたのは20時31分で、注目度75.0%。与一郎(大西利空)が、小一郎(仲野太賀)と慶(吉岡里帆)に見守れながら息を引き取るシーンだ。

山崎の戦いは織田方の勝利に終わった。しかし、小一郎の嫡男・羽柴与一郎は敵の放った矢から織田信孝(結木滉星)をかばい負傷する。小一郎が長浜城に戻ると、皆が与一郎を気遣い見舞いの品を持ち寄ってきた。小一郎が与一郎のもとへ戻ると、ケガを押して素振りに励んでいた。見守っていた慶によると、これからも小一郎の力になると言って聞かないという。信孝を守ったことが大きな自信となったようだ。

しかし、与一郎が寧々(浜辺美波)の用意した干し柿に手を伸ばすと、突然苦しそうに激しくせき込み始めた。小一郎と慶は慌てて与一郎の身体を支えた。日が落ちると、長浜城の一室に寧々となか(坂井真紀)、とも(宮澤エマ)が集まっていた。3人の表情は暗い。与一郎は受けた傷から毒が回って熱が出ており、今夜が峠ということだ。そこにあさひ(倉沢杏菜)と副田甚兵衛(前原瑞樹)もやってきた。2人は与一郎の快癒を祈って八幡宮へ行っていたという。5人は回復を願って静かに祈りを捧げる。

床にふせる与一郎を小一郎と慶が見守った。息も絶え絶えな与一郎の左手を慶が、右手を小一郎が握りながら2人は懸命に励ました。「ここに来てから、私の知らぬ面白いことがたくさんありました。はあ、もっともっと楽しみとうございます」弱々しく言葉をつむぐ与一郎。「そうじゃ! まだまだいくらでもある。与一郎、皆で楽しもうぞ」小一郎は懸命に声をかけた。「そういう世を、父上たちが…」与一郎は声を振り絞ったが、その言葉は最後まで続かなかった。

「与一郎」「与一郎!」小一郎と慶が呼びかけるが、与一郎はもう息絶えている。「与一郎、目を開けなさい。与一郎、嫌じゃ、嫌じゃ。ずっと一緒にいると誓ったではないか! 今度はそなたが母を置いていくのか。しっかりするのです!」慶の悲痛な叫び声が響いた。小一郎は言葉を出せずにいる。羽柴家中の者たちが祈り続けた願いは届かず、与一郎は短い生涯に静かに幕を下ろした。

  • 『豊臣兄弟!』第29話の毎分注視データ推移

    『豊臣兄弟!』第29話の毎分注視データ推移

「なまじ勇敢だったせいで…」

このシーンは、与一郎のあっけない最期に視聴者の注目が集まったと考えられる。

山崎の戦いが初陣となった与一郎。小一郎は息子の身を案じて最前線に赴く自分の側ではなく、大将である織田信孝を守るように説き伏せて、与一郎の身の安全を確保しようとした。しかし油断した信孝は刺客が多く潜む前線に出向き窮地に陥る。父の言いつけに従い、己の身を盾にして負傷。信孝を救った与一郎だったが、この時のケガが原因となりその若い命を散らした。

SNSでは「信孝様をお守りせよっていうのは戦場から離れた所なら、無事に初陣を終えれると考えた采配だったのに。与一郎くんがなまじ勇敢だったせいでこんなことになるなんて悲しい」「豊臣主役の大河でこんな哀しい山崎の戦いの終わり方は今までなかった気がする」「羽柴家のみんなをみていると与一郎くんの存在って大きかったのが伝わってくるな」と、その早すぎる死にコメントが集まった。

作中では与一郎は慶と前夫・堀池頼広の息子という設定だが、史実では小一郎の実子だったと伝わっている。13~15歳ほどで亡くなったと推定されており、斯波義統と織田信長に仕えた那古野勝泰の次女・岩姫を妻に迎えていたようだ。

与一郎の死後、岩は小一郎の養子となり後に森可成(水橋研二)の六男で森乱(市川團子)の弟である森忠政に嫁ぎ、2男3女をもうけた。のちに忠政は津山藩の初代藩主となる。嫡男である与一郎を失った小一郎は、その後丹羽長秀(池田鉄洋)の三男・仙丸を養子に迎えている。