日立製作所と東芝は30日、おもに両社で構成される「Hitachi Toshiba Supreme Consortium(HTSC)」が台湾向け新型高速鉄道車両「N700ST」第1弾の製造を完了し、日立の笠戸事業所から台湾に向けて出荷すると発表した。
今回、HTSCが2023年5月に台湾高鉄から受注した新型高速鉄道車両12編成(144両)のうち1編成(12両)を出荷するという。N700STはJR東海の最新型新幹線車両N700Sをベースとしつつ、台湾高鉄の運行環境やニーズに合わせて設計されている。
車体の長さは1編成あたり約300m、最高速度300km/hで営業運転を行う。先頭車両はトンネル進入時に発生する抵抗を低減する形状を採用。先頭部は白を基調にデザインしており、台湾高鉄のコーポレートカラーで明るい未来などを意味するオレンジと、現在走行中の700Tで使用されている黒のラインを組み合わせた外観とすることで、連続性を継承しながら新世代高速鉄道車両としての先進性とスピード感を表現している。
車内に関して、標準車両の座席に既存の700Tで使用していた色を部分的に残しつつ、ビジネスクラス車両の色にグレーを採用し、より落ち着きのあるカラーリングとした。標準車両はリクライニング時に座面が沈み込む座席、ビジネスクラス車両は包み込み式座席を採用したとのこと。揺れを大幅に抑えるフルアクティブ制振制御装置を導入したほか、全席にコンセントを設置するなど、快適性と利便性の改善を図っている。
車内案内にはフルカラーの液晶ディスプレイ情報表示を採用。上2段表示により列車情報や次駅案内の視認性を高めている。全車両に荷物置場を設置して収納性を向上させ、授乳室には洗面台、コート掛け、ベビーシートを新設。車いすスペースを現行車両より増設するなど、バリアフリー設備も充実させている。
炭化ケイ素(SiC)デバイスと走行風冷却システムを組み合わせた駆動システムにより、機器の小型軽量化と電力消費量削減も実現。架線停電などの電力喪失時におけるバックアップ電源として、東芝のリチウムイオン電池「SCiB」を採用した自走バッテリ装置を搭載した。停電時に車両を低速で安全な場所へ移動させるための電力、照明やトイレなどの車内設備を継続して利用するための電力として活用される。
N700STは今後、2028年末までに全12編成(144両)を営業運転に導入する予定。北は台北市南港駅から、南は高雄市左営駅までを結び、台湾の南北主要交通ルートを走行する。今回、車両数の増強により、現行と比べてピーク時に約25%の輸送力増強を見込んでいる。








