藤井聡太王位に伊藤匠二冠が挑戦する伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は、両者1勝で迎えた第3局が7月29日(水)・30日(木)に北海道登別市の「祝いの宿 登別グランドホテル」で行われました。対局の結果、得意の角換わり腰掛け銀を駆使した藤井王位が151手で勝利。挑戦者用意の右玉策を封じて2勝1敗と一歩リードしています。

挑戦者のマイナーチェンジ

後手となった伊藤二冠は再び得意の角換わり右玉を採用。快勝に終わった第1局と類似のオープニングながら、左銀の活用を急いでいるのが細かな工夫で研究の的は絞らせません。一方で対応を迫られた藤井王位もテンポよい指し手で応戦。軽い桂跳ねで後手からの角打ちを消したのが定跡化された対応で、盤上は銀と桂の交換が行われ一段落となりました。

ともに想定の範囲内か、1日目の昼食休憩の段階で手数はすでに70手を数えています。駒損となった伊藤二冠ですが、その代償に馬を作って右辺を支配。「藤井玉の堅さVS伊藤玉の広さ」という構図で、戦いは前例のないねじり合いへと突入しました。2日目、局面の焦点はつかみどころのない伊藤玉を藤井王位がいかに捕らえるかという入玉含みの混戦に移ります。

悲観が招いた敗着

形勢が傾いたのは両者残り1時間を切ったころのことでした。伊藤二冠が歩を成り捨てたのは敵陣を乱せるとはいえもったいなく、局後の検討では代えて単に香を取っていれば激戦との結論に。粘りを欠いたように見える伊藤二冠ですが、一直線の攻め合いではダメと見た形勢の悲観が敗着を招いた格好で、実際にはそれ以前の局面での工夫が必要とされました。

苦しい時間を耐え抜いた藤井王位の指し手に勢いが出てきます。自陣に桂香歩と3枚の小駒を投入したのが好手で、自玉に詰めろがかからない形となって攻めに専念できるようになりました。18時49分、伊藤二冠が投了。中盤まで主導権を譲ったものの、最後はキッチリまとめた藤井王位の底力が光る快勝譜となりました。

注目の第4局は8月18日(火)・19日(水)に長崎県長崎市の「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」で行われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 藤井王位は「形勢判断も含めて急所をつかむのが難しい将棋だった」と一局を総括(写真:日本将棋連盟)

    藤井王位は「形勢判断も含めて急所をつかむのが難しい将棋だった」と一局を総括(写真:日本将棋連盟)