番組では、店のママたちがここぞという時にガツンと背中を押す姿も見られる。岡崎にとって、そうした存在は母親だという。

仕事で思うようにいかず、前を向こうとしてもなかなか向けず、過去のことばかり考えてしまっていた時期があった。考えが巡り続け、止まらなくなっていた岡崎に、母は「立ち止まっててもしょうがないから」「みんなそうだから」と強く言葉をかけてくれた。

「言われた時は反発心があったんです。“なんで今そんなこと言うの?”、“今それ言われたくないんだけど”という気持ちがあったのですが、その反発心で前を向けたような気がします。寄り添ってもらえるのもいいけど、もしかしたら一緒に落ちちゃっていたかもしれない。強く言われるからこそ、同じ場所で足踏みしてたのを強制的に動かされるという感じ。それが、後々考えたらありがたかったなと思います」

「本当に支え合いの上で成り立ってる場所」

後編では、父との関係にわだかまりを抱えた女性も登場。長く口をきかなかった父と向き合おうとする姿に、岡崎は「きっとどんな方でも身近に感じる経験なんじゃないかなと思いました」と、自身の感覚も重ねた。

彼女が以前の関係を取り戻そうと選んだ舞台が、塙山キャバレーだったことに、「ちょっとくだけて、ほかのお客さんも混じり合ってワイワイとしゃべるような雰囲気。ああいう場所が逆に良かったんじゃないかと思います」と意味を感じた。

今回のドキュメンタリーから改めて感じたというのは、塙山キャバレーがただの飲み屋街ではないということ。「その人の核というか、隠されていた本音みたいなものがあらわになる場所ですよね」と、不思議なパワーを見つめた。

俳優としてドラマや映画に出演してきた岡崎にとって、塙山キャバレーの人々の歩みには、“作り物”ではたどり着けない密度を感じている。

「本当に人生の厚みがまた全然違って、十人十色で、一人として同じ人生を歩むことはないんですよね」

常連客の姿が見えなくなれば、心配したママが自宅まで向かうことも。“死んでいるか、生きているか”という話が、日常の延長にあり、「本当に支え合いの上で成り立ってる場所なんだなって思います。ドラマを超えた人間の密接な絡み合いですよね」と表現した。

  • 盛況の「塙山キャバレー」の飲み屋

    盛況の「塙山キャバレー」の飲み屋

●岡崎紗絵
1995年11月2日生まれ、愛知県出身。モデルとして 2012年『ミスセブンティーン』でグランプリを獲得しデビュー。ファッション誌『Ray』の専属モデルを約9年間務めた。俳優としては、ドラマ『教場II』『花嫁未満エスケープ』『GTO リバイバル』『あのクズを殴ってやりたいんだ』『なんで私が神説教』など話題作に出演。映画では『mellow』『ブラック・ショーマン』など数々の作品に出演した。7月11日から『告白-25年目の秘密-』、10月からは『kiDnap GAME』と、連続ドラマの出演が続く。