フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は26日、SBIホールディングス、SBIネオメディアホールディングスとメディア・コンテンツ領域における戦略的資本業務提携に向けた協議・検討を開始したと発表した。コンテンツへの共感、信頼、熱狂を経済行動につなげる“感情経済圏”の共同構築を目指す。

  • フジ・メディア・ホールディングス本社=東京・台場

    フジ・メディア・ホールディングス本社=東京・台場

「感情経済圏」の共同構築へ

今回の協議・検討は、SBIグループが推進する「ネオメディア戦略」と、FMHグループが掲げる経営ビジョン「好きでつながる明日をともに」を掛け合わせるもの。コンテンツへの共感、信頼、熱狂といった感情を起点に、新たな経済活動を生み出す“感情経済圏”の構築を目指す。

両グループは、互いの経営資源を活用し、メディア・コンテンツ領域における新たな価値創造と企業価値向上の実現に向け、事業基盤、顧客接点、コンテンツ・IP、金融・デジタル技術を活用した協業の可能性について協議・検討を進める。

SBIネオメディアホールディングスは、スポーツ、エンタテインメント、IP、メディア領域で国内外の有力パートナーとの連携を通じ、SBIネオメディア生態系を構築。IPの創出・製作・発信・拡散・収益化、ファンコミュニティ形成に加え、金融・投資機能との接続までを一気通貫で支援し得る事業基盤を目指す。

一方、FMHグループは5月に新中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」を発表。新たな経営ビジョン「好きでつながる明日をともに」のもと、メディアを持つコンテンツカンパニーとして、コンテンツを生み出し、届け、拡張する一気通貫モデルによる成長を掲げている。

IP投資、イベント、デジタルサービスで連携検討

協議・検討する領域には、コンテンツ・IP関連領域における投資・事業開発が含まれる。SBIネオコンテンツファンドへの出資可能性や、コンテンツファンドにおける投資先の選定で、両グループの知見を活用することなどを検討する。

リアルイベント・地域活性化領域でも連携を検討。FMHグループが保有する大型イベントの企画制作における知見と、SBIグループの金融機能、SBIネオメディア生態系が持つ音楽イベント、ファッションイベント、タレント、SNSマーケティング、地域活性化関連機能などを組み合わせ、スポーツ、音楽、アニメ、ゲーム、地域文化などの領域で新たな事業機会の創出を目指す。

また、SBIグループが構想・開発を進めるスーパーアプリ「SBI金融エージェント」を含む各種デジタルサービスとの連携可能性も検討。金融サービスに加え、情報収集、学習、エンタテインメント、イベント参加などをシームレスに体験できる新たな顧客接点の創出を目指す。

広告・マーケティング領域では、テレビ、配信、SNS、リアルイベント、金融顧客接点を横断した立体的な施策を検討。FMHグループの放送・配信・イベント・広告関連の知見と、SBIネオメディアホールディングスのSNSマーケティング、タレント、インフルエンサー、イベント、デジタルメディアなどの機能を組み合わせる。

IPのセキュリティトークン化も視野

さらに、コンテンツ・IPのST(セキュリティトークン)化を含む新たな流通形態も検討対象となる。コンテンツ・IPへの資金供給手段の多様化、ファンや投資家の参加機会の拡大、クリエイター・権利者への還元モデルの高度化を目指し、SBIグループが有するセキュリティトークン、ブロックチェーン、デジタルアセット関連の知見を活用する。

IP、番組、イベントなどを起点として生まれる共感、信頼、熱狂を、消費、参加、投資、コミュニティ形成などの経済行動につなげることで、“感情経済圏”に象徴される新たな事業モデルの可能性を幅広く検討していく。

なお、現時点で具体的な提携内容、対象事業、出資の有無、出資時期、出資金額、個別サービスへのコンテンツ提供、共同イベントの実施などの詳細について決定した事実はないとしている。

昨年のFMH株主総会では、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツ側が提示した取締役候補の中に、SBIホールディングス代表取締役会長兼社長CEOの北尾吉孝氏が含まれていた。FMH側は当時、株主提案の取締役候補に反対する意見を表明しており、今回のSBIグループとの協議開始は、昨年の対立的な文脈から一転し、メディア・コンテンツ領域での協業可能性を探る動きとなる。